「時計トレンド研究所」は、2022年10月、高級腕時計市場の売上が拡大していることを受け、世界的な高級腕時計ブランドとして揺るぎない地位を確立しているオメガ・ブルガリの動向を調査。メンズ腕時計専門店「ジャックロード」とレディース腕時計専門店「ベティーロード」に取材し、その内容を発表した。

  • メンズ腕時計専門店「ジャックロード(JACKROAD)」

ジャックロード店長 阿部氏に昨今の腕時計市場ついて質問したところ、「ロレックス相場の乱高下に気を取られがちだが、その陰でオメガとブルガリの販売は好調に推移している。それぞれのメーカーが思い描く、長期的なブランド戦略が結実してきたことが要因といえる」とのこと。

  • オメガ売上昨年同月比

2022年10月に同店で前年同月比187%、姉妹店のベティーロードで前年同月比169%の売上となったオメガの躍進について、その理由を阿部氏は「ブランド戦略の肝と言える搭載ムーブメント全てのマスターコーアクシャル化。これにより技術力の高さをアピールでき、順調に高価格帯モデルを増やしている」と指摘。

  • コーアクシャル キャリバー

さらに阿部氏は「3万円台という低価格でありながら『スピードマスター』の伝統的な三つ目クロノグラフを楽しむことができる『ムーンスウォッチ』の成功、そしてそのデザインバリエーションのおかげで若い世代、特に女性へオメガの名をすり込むことができた」と話す。

  • ムーンスウォッチ

同研究所はこの指摘をうけ「高級腕時計市場も直面している愛好家の高齢化問題。それを打破すべく、鮮やかな一手を打ってみせたオメガ。スピードマスター以外にも手堅い人気コレクションを抱えており、危なげない体制を築いているといえる」と分析している。

  • ブルガリ売上昨年同月比

同じく好調であるブルガリ。ジャックロードにおける2022年10月の売上は昨年同月比で167%、べディーロードで128%だったという。その理由について「ブルガリは創業1884年の老舗ジュエラーだが時計の専業メーカーに劣らない技術力を有しているから」とのこと。

中でも、7年連続で世界最薄記録を更新し続けている『オクト』は、2021年には厚さ僅か2.75mmという極薄ムーブメントによってジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)で大賞を受賞しているという。

  • 左)オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダー 右)ブルガリ グループCEOのジャン-クリストフ・ババン

さらに阿部氏はブルガリのデザイン性について「ブルガリは技術力にくわえて時計そのもののデザイン性においてもオリジナリティーを発揮している。『オクト』やレディースモデルの『セルペンティ ウォッチ』はひと目でブルガリとわかるアイコニックなデザイン。これほどの洗練された造形は老舗ジュエラーの職人技の賜物だ」と指摘する。

  • ブルガリ セルペンティ

同研究所は今回の調査をうけ「一般的にジュエラーによる時計は圧倒的な宝飾技術を駆使し、貴金属や宝石を惜しみなく用いたジュエリーウォッチで単価を上げるもの。しかし、ブルガリは時計製造に関しては後発であるにも関わらず自社製ムーブメントによる付加価値という武器を手にしている」と分析している。