――葛藤があるなかでの挑戦でもあったんですね。AKB48グループには、卒業という節目がありますが、シンディーさんも卒業を考え始めたタイミングがあったのでしょうか?

私はAKB48グループに入って、一度も自分から「卒業したい」と言ったことがなくて、肩を叩かれたら出ようと思っていました。SDN48は「みんなで卒業だよ」という風に告げられて卒業することになったのですが、当時、私は渡り廊下走り隊7に加入することが決まっていたので、卒業コンサートとお披露目コンサートを同時に進めていて、「どういうメンタルで卒業すればいいんだ!」という感じでした(笑)。私はファンの皆さんがとにかく大好きで、卒業は考えずにずっとやっていましたし、ファンの方がいてくれる限り、芸能のお仕事も続けたい。なので、結婚したら終わるなって恐怖感もずっとあって、思っていたよりも晩婚になってしまいました(笑)。

――実際にご結婚されて、ファンの皆さんの反応はいかがでしたか?

結婚したら、ファンの方もいなくなっちゃうんじゃないかなと思っていたんですけど、それは完全な勘違いでした。誰もガチ恋じゃなかった……(笑)。

――一人の人として愛してもらっていたんですね(笑)。

そうなんです(笑)。結婚して、結婚した写真をSNSに投稿して、結婚指輪もしていますけど、17LIVEの配信でも応援してもらっていて。あんなに悩んでいたのはなんだったんだろうと思います(笑)。ありがたいです。

■マッチングアプリもしてたんですけど……

――現在、17LIVEのイチナナライバーとしても活動されていますが、ライブ配信をやってみて、いかがですか?

AKB48時代の握手会は、ファンの方とお話できるのは大体10秒から20秒くらいの限られた時間で、すごく寂しいなと思っていたのですが、ライブ配信では時間いっぱいお話できるのが嬉しくて。ファンの方とも毎日会えて、お話する内容も「昨日こんなことがあったよ」という風に、直近の報告ができるのもすごく楽しい。

コメントを書き込んでくれる方のプロフィールから、「この人はこういう感じの人なのかな」と、イメージがつくんです。大体○○時頃に来てくれるから、生活リズムはこんな感じなのかな、お仕事はこんなお仕事なのかなって。顔は見えないんですけど、配信に遊びに来てくださるファンの方は、それくらい身近な存在ですね。

――AKB48は「会いに行けるアイドル」がコンセプトで、アイドルとファンの距離感をグッと近づけた存在でした。近年はSNSの普及もあって、その距離感がますます近づいている印象もありますが、ライブ配信はさらに関係性が深まりそうですね。

そうですね。芸能界って、世間からの見え方を気にしないといけない業種だと思っていて。最初の頃は、ライブ配信も「事務所に所属しているタレントなのに、一般の方と並ぶんだ」というような目で見られることもあったと思うんです。それも分かるというか……芸能は特別感を売るお仕事だと思っていたので、その特別感を崩して、ライブ配信をするのはどうなんだろうという葛藤もありました。

でも、これから年齢を重ねていって、ライフスタイルも変化していくなかで、おうちでファンの方と繋がれるライブ配信はすごくありがたいツールですし、ファンの方とこれからも一緒にいたいという気持ちが勝ったから、ライブ配信にチャレンジしました。もし、以前と同じように世間の見え方を気にしていたら、今もライブ配信はしていなかったと思います。

――いわゆるプライドのようなものよりも、ファンの方とのこれからを優先されたと。ご結婚後もその関係性が変わらなくて、ますます良かったです(笑)。旦那様はお見合いで知り合った方なんですよね。お母様から紹介されたとか。

アイドルの婚活はめっちゃ大変なんです! マッチングアプリもしてたんですけど、マッチした方とお会いして怒られたこともありました。

――えっ!? なぜ怒られたんですか……?

「こっちは本気で結婚相手を探してるのに、冷やかしはやめてください」と……。

――芸能人が本気でマッチングアプリを使うわけがないと思われたんですね。

私も本気で探してたんですけどね。悲しかったな。それで結局マッチングアプリはやめたんですけど、お母さんに紹介してもらった素敵な人と結婚することができました。

――ご結婚は、秋葉原のAKB48劇場で行われた「3期生15周年公演」で発表されました。ここにもAKB48への愛が感じられるのですが、シンディーさんにとって、AKB48とはどのような存在でしょうか?

そうだなあ……帰ってきてもいい場所、かな。AKB48ができた頃、最初に衣装さんが言ってくれたことで、その時はどういうことなのか分からなかったんですけど、自分たちの劇場があって、そこで活動させてもらえる環境って他のアイドルさんにはなかなかなくて。そんな劇場があるからこそ、何かあった時にステージに立たせてもらったり、衣装さんが「AKB48が、あなたたちの帰る場所だからね」と言ってくれていた意味を、今すごく感じています。結婚報告をAKB48劇場で、ファンの皆さんの前でできたこともすごく嬉しかったです。AKB48は自分のなかの青春だから、ずっと大切な場所です。

■プロフィール
浦野一美
1985年10月23日生まれ。埼玉県出身。2005年、AKB48のオープニングメンバーオーディションに合格し、芸能界入り。2009、『AKB48_13thシングル選抜総選挙「神様に誓ってガチです」』でシングル選抜入りを果たした。同年、SDN48としての活動を開始。翌年には同グループに完全異動し、AKB48を卒業した。2012年、AKB48の派生ユニット・渡り廊下走り隊7へ加入。同年、SDN48を卒業。2014年、Zeppダイバーシティ東京で行われた解散ライブをもって、渡り廊下走り隊7自体の活動が終了した。2022年、6歳年下の男性との結婚をAKB48「3期生15周年公演」で報告した。現在はフリーランスでタレント活動のほか、YouTuberや17LIVEのイチナナライバーとしても精力的に活動している。12月12日発売のファッション誌『ar』(主婦と生活社)誌面に登場する。