ランボルギーニ「ウルス」の新型「ペルフォルマンテ」が「Lamborghini DAY Japan 2022」に合わせて日本に上陸した。このクルマに一足早く試乗し、ランボのステファン・ヴィンケルマンCEOとチーフデザイナーのミーティア・ボルケルト氏に話を聞いたので、その模様をお伝えしたい。

  • ランボルギーニ「ウルス ペルフォルマンテ」

    ランボ首脳に聞く「ウルス ペルフォルマンテ」

なぜ「ペルフォルマンテ」に?

イタリア・ローマで開催された、ランボルギーニのスーパーSUV「ウルス」の最新バージョン「ペルフォルマンテ」の試乗会。会場には同社のヴィンケルマンCEOとチーフデザイナーのミーティア・ボルケルト氏が来ていたので、このクルマについて聞いてみた。まずはCEOから。

――新型ウルスのサブネームとして「ペルフォルマンテ」が選ばれた理由は何でしょう? 「EVO」でも「テクニカ」でもなかったですね。

ヴィンケルマンCEO:ウルスの新バージョンを出すにあたって、名前のアイデアは2つありました。ひとつは「S」で、フェイスリフトなどでよく使う名前です。そしてもうひとつが「ペルフォルマンテ」でした。

今日試乗していただいたクルマについては、よりパワフルなものとして開発したので、ペルフォルマンテが最もふさわしい名前であり、正しい選択だったと考えています。

――今回の新バージョンは他メーカーの最新SUV、例えばフェラーリ「プロサングエ」のデビューなどの動向に左右されたものなのでしょうか。

ヴィンケルマンCEO:ひとつのモデルサイクルの中で、最低でも1回はアップデートというか、リモデルというか、ニューバージョンは出したいと思っていましたので、既定路線ではあります。ランボルギーニとしては単純なパワーアップというだけでなく、オーバーオール、360度のパフォーマンスアップを考えて世に出すことが、本社としてやるべきことだと思っています。それがメーカーとしての哲学であり、誇りなのです。ペルフォルマンテの初期生産分は完売状態なので、1年ほど待てば次のロットが手に入るはずです。オーダーするならなるべく早く、というところです。

  • ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEO

    ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEO

ペルフォルマンテの注目点は?

チーフデザイナーのミーティア氏は、ピット内のデスクで細いテープを使って切り貼りするウルスのドローイングを見せてくれたり、目の前で「ウラカン」「アヴェンタドール」「ウルス」の3モデルのデッサンを描いて見せてくれたりした。まさにこれは”マジックタイム”ともいえるような体験。ウルス ペルフォルマンテのデザインではどこに力を入れたのか。

  • ランボルギーニ チーフデザイナーのミーティア・ボルケルト氏
  • ランボルギーニ チーフデザイナーのミーティア・ボルケルト氏
  • ランボルギーニ チーフデザイナーのミーティア・ボルケルト氏
  • テープを使ったドローイングやデッサンを披露してくれたミーティア氏

――デザインスケッチには鉛筆を使って描くだけでなく、テープを使う方法があるのですね。

ミーティア氏:こればテープドローイングという方法です。いろんな太さのテープを使って切ったり貼ったりを繰り返すんです。CGがないころは、こんな“ベリー・アナログ”な方法でやっていました。下書きはなくて、テープだけ使って仕上げます。

――ウルス ペルフォルマンテで最も見てほしい場所はどこですか?

ミーティア氏:フロントの左右のコーナーに設置した、エアカーテンを発生させるサスペンションタイプのウイングですね。これがペルフォルマンテの最大の特徴です。ランボルギーニには3つのモデルレンジがあって、横からのシルエットを見るとランボだとわかります。ウラカンはショートホイールベース、アヴェンタドールはロングホイールベースで、後ろにパワーユニットがあるのでそこが強調されます。一方のウルスはフロントエンジンタイプなので、それらと同じようなシルエットの再現は無理ですけど、グリル部分が前かがみになっていてシャークのようなデザインになっています。デザインとしてはシルエットが1番、2番目がミッション(用途)で、サーキットトラック用かデイリーユースなのかなどによって変わってきます。

  • ランボルギーニ「ウルス ペルフォルマンテ」
  • ランボルギーニ「ウルス ペルフォルマンテ」
  • ランボルギーニ「ウルス ペルフォルマンテ」

――ペルフォルマンテらしさとは?

ミーティア氏:「ドライビングエモーション」「アドベンチャー」「デイリーユース」といった3つの方向性に沿いつつパワーアップし、さらにはライトウェイトで、スマートなエアロダイナミクスがあるところです。ペルフォルマンテではカーボンファイバーやマイクロファイバーなど軽量な素材を多用していて、そのおかげでラップタイムが速くなっています。開発時には技術者とデザイナーがチェックリストのような膨大な数値とにらめっこして、エアロダイナミクスを向上させていく必要がありました。

――ゼロからデッサンを描く様子は、魔法のようでした。

ミーティア氏:やっぱりブランドの責任者として、ランボルギーニデザインのDNAが、例えば真夜中にたたき起こされてもちゃんと答えられる、一言で定義できるというように、常に頭の中にあることが必要です。仕事の結果としては、ジャーナリストだけでなく、普通の人が見てもすぐにランボルギーニだとわかるようなものを作っていきたいと思っています。