ランボルギーニの業績を押し上げ、人気を拡大し、新規ユーザーを増やし、同ブランドのイメージをリフレッシュした立役者といえば、スーパーSUVの「ウルス」だ。ここへきて登場した新型ウルスには「ペルフォルマンテ」と「S」の2タイプが用意されているが、何が違うのか。ペルフォルマンテに本国・イタリアで対面し、ランボの重要人物に話を聞いてきた。

  • ランボルギーニ「ウルス ペルフォルマンテ」

    ランボルギーニ「ウルス ペルフォルマンテ」にローマで乗ってきた!

「ウルス ペルフォルマンテ」の開発思想とは

イタリアはローマで開催された試乗会で、ウルス ペルフォルマンテとの初対面を果たした。乗った感想は別稿でお伝えするとして、まずはこのクルマの詳細について、ランボの説明に基づきつつレポートしていきたい。

ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEOによると、「ペルフォルマンテ」とは最高のパフォーマンスを生み出す性能を身につけたクルマだけに与えられるサブネームであり、同時に発表された豪華バージョンの「ウルス S」とはかなり開発思想が異なるのだという。

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    ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEO(この写真は撮影:原アキラ。ほかはランボルギーニ提供)

ちなみに、1モデルにつき最低でも1種類の新バージョンを開発するのは既定路線であり、他モデルとのパワー競争に巻き込まれた結果としてウルスのハイパワーバージョンを企画したわけではないとの説明もあった。

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  • ボディサイズは全長5,137mm、全幅2,026mm、全高1,618mm。ホイールベースは3,006mm。新しいスチールスプリングの採用により全高は20mm低くなった。トレッドは16mm、全長は25mm拡大している

ウルス ペルフォルマンテのスペックを見てみよう。4.0LのV型8気筒ターボエンジンは、最大トルクの850Nmこそ標準タイプと変わっていないものの、最高出力は16PSアップの666PSとなっている。公称の性能は0-100km/h加速3.3秒(Sは3.5秒、ノーマルは3.6秒)、0-200km/h加速11.5秒、最高速度306km/h(Sは305km/h)、100km/h-0km/hの制動距離32.9m。ウルスのトップパフォーマンスモデルにふさわしいデータだ。ボディの軽量化により、パワーウエイトレシオはクラストップレベルとなる3.23kg/PSを達成。アストンマーティン「DBX707」にはわずかに劣るが、ライバルの多いスーパーSUVクラスのベンチマークとなっている。

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    停止状態から100km/hまでわずか3.3秒で加速するというモンスター級SUV「ウルス ペルフォルマンテ」

「ウルス ペルフォルマンテの最大の特徴は、ボディの軽量化と空力の改善にあります」と解説するのは、デザイン責任者のミーティア・ボルケート氏。エアアウトレット付きの軽量鍛造カーボンファイバー製ボンネット、新しいラインを描くブラックのカーボンファイバー製フロントバンパー、左右のスプリッターがセットになったフロント部分を指さしつつ、「ペルフォルマンテらしさあふれる新しいデザインは最も注目してほしい部分」とアピールした。特筆すべきは、新形状のスプリッターにより発生するエアカーテンの効果だ。気流をフロントホイールの上に導くとともに全体の空力効率にも貢献しており、さらにはエンジン冷却性能を高める効果まで得られるという。

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  • 新デザインにもしっかりと機能の裏付けがある

リアのパーツについては、「アヴェンタドールSVJ」からインスピレーションを得て新しく設計したリアスポイラーがポイント。その効果として後部のダウンフォースは38%、ボディ全体のダウンフォースは8%増加している。

ホイールアーチやリアバンパー、ディフューザーなど、多くの部分にカーボンパーツを使っているところも豪勢だ。アクラポビッチ製の4連エグゾーストパイプも目をひく装備で、こちらも軽量なスポーツタイプとなっている。

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  • 徹底的に軽量化を図った「ウルス ペルフォルマンテ」の車両重量は2,150kg

結果として、トータルでの車両重量は標準タイプに比べ47kgも軽くなっている。軽量化もヒト1人分に近い数字となると圧倒的だ。まさに、カーボンファイバーによるダイエットの成功例といえる。

インテリアも新しくなった。標準仕様では、ブラックのアルカンターラに新しい六角形デザインのシートスケッチを施した「ペルフォルマンテ トリム」を採用。レザータイプに比べて体の滑りが少なく、サーキット走行などではよりピタリと乗員をホールドしてくれる。オプションの「ダークパッケージ」では、各操作スイッチ類がマットブラック仕上げに。「アド ペルソナム」を利用すればさらなるパーソナライズも可能だ。

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  • 「ウルス ペルフォルマンテ」の価格はプレスリリースによると26万676ドル。145を掛けると3,800万近い数字となってしまうから、円安がつくづく嫌になる

馬力と空力性能の向上に徹底的な軽量化が加わると、ウルスの走りはどう変わるのか。そのあたりについてはローマのサーキットとダートコースで存分に試してきたので、次の記事で詳しくレポートしたい。