お笑いコンビ・ピースの又吉直樹、お笑い芸人のピストジャムが2日、都内にて行われた、エッセイ集『こんなにバイトして芸人つづけなあかんか』(1,430円 新潮社)刊行記念トークイベント「ピストジャム×又吉直樹『僕とシモキタ~バイト生活20年とこれから』」に登壇。又吉が自身のアルバイトにまつわる思い出を語った。

  • ピース・又吉直樹

極貧生活を招いた時給90円の深夜バイト、笑いが止まらない超絶ラクな自治体仕事、金髪NGを突破する裏ワザ、二度と経験したくない飛び降りの後始末、宅配ピザチェーンをかけもちしたばかりにミスを連発した話など、同作では、ピストジャムが、やむにやまれず生業としてきた数多のアルバイト遍歴がつづられている。

同作のテーマにちなんで、又吉も自身のアルバイト遍歴を回顧。デパートでの接客、コンサートスタッフとそれぞれにまつわる思い出を語るなか、一番長く続けたというコンビニバイトの話題に。「『元気がない』というのはよく怒られたかな」と懐かしみながら、「一回、親子がおでんを選んでて、『僕、取りましょうか?」と言ったら、『大丈夫よ。お兄さん、この商店街で“優しい”って評判だよ』って言われたのは嬉しかった」と微笑んだ。

そして「苦情も何件かあったみたいやねん、『あの辛気くさいやつ、なんとかしろ』って。でも、顧客を俺はつかんでた」とアピール。「近所に住んでる70歳くらいの社長さんが朝イチで来るねんけど、『又吉はいるかい!?』って(笑)。その人が来たら、俺がレジに入ってた」とコンビニでは珍しい“指名”を受けていたことを明かし、笑いを誘った。

なお、それほど気に入られるようになったのは、その男性客が毎回他の店員に「大きいレジ袋に入れてくれ。小さい袋はゴミになるけど、大きい袋はゴミ袋になるんだ」とお願いしているのを聞いていたため、又吉は先んじて大きいレジ袋を用意してあげたことがきっかけだという。

また、常連客から「君は何をするために東京にいるの?」と聞かれ、「まだ全然なんですけど、お笑いの養成所に通ってます」と答えたところ、「常連でこの店をよく使うんやけど、君めちゃくちゃ浮いてるで」と指摘されたことも。

しかし、その常連客は「俺は音楽をやってたり、映画を撮ってたりするから、『なんなんやろう?』とずっと思ってて。今度ごはん食べに行こう」と続け、実際に食事にも何度も連れていってもらったそう。さらに「2年後にはその人とたまたま映画で共演したりっていう縁もアルバイトでありました」と話し、会場からは驚きの声が上がっていた。