頼朝公像プロジェクト委員会は、ロームシアター京都にて約800年前に源頼朝がお手植えをしたと伝承される「頼朝杉」を使用した「源頼朝公像」を、10月25日にお披露目した。

  • 「源頼朝公像」

この源頼朝公像は、袍(ほう)と呼ばれる黒い上着と紫のはかま姿。しゃくを持って座った像は、高さ1メートル10センチ、幅1メートル47センチの等身大の坐像で、征夷大将軍となったころの頼朝が表現されている。

  • 現代仏教美術界の重鎮 江里康慧仏師

現代仏教美術界の重鎮、江里康慧仏師が約9カ月かけて向き合った源頼朝公像の姿は、独自の頼朝をイメージ。 京都・神護寺の伝源頼朝像、山梨県・甲斐善光寺の頼朝像に加え、東京国立博物館の伝源頼朝坐像の三体を独自に調査・研究し、頼朝の中にある「神性」を見出して現代に甦る源頼朝公像が生み出されたという。

  • 截金師 江里朋子氏

像が納まる厨子(ずし)は、截金師 江里朋子氏が担当した。像と同じ頼朝杉で制作された厨子の正面と両脇の扉の内側には、伊豆に流された頼朝が政子と共に韮山(にらやま)から眺めたであろう伊豆の風景が伝統工芸である截金(きりかね)細工で描かれている。

  • 黒田幸也氏による装束解説の様子

また、源頼朝公像がまとう装束は、京都の老舗装束店の当主で装束司の黒田幸也氏により、有職故実に則った考証がなされた。神護寺の伝源頼朝像と同様に、位の高さを表した強(こわ)装束で、黒い袍(ほう=格式の高い上着)にはつる草の茂った様子をかたどった輪無唐草(わなしからくさ)という文様が描かれている。

像は今後、11月23日に静岡県伊豆の国市の「韮山文化センター(韮山時代劇場)大ホール」にて1日限りの特別公開を行うほか、12月7日~9日東京ビックサイトで「エコプロ2022」に出展予定。その後、頼朝ゆかりの地である、神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮へ奉納されるという。

  • 頼朝杉

なお頼朝杉は推定樹齢800年で、静岡県島田市の千葉山 智満寺の境内で10年前に空洞化が進み自然倒木した、元国指定天然記念物。かつて源頼朝が挙兵前に天下治平の大願成就を祈念して植えたと伝承される樹高約36メートルにもおよぶ大杉だった。