東京都現代美術館が10月28~30日、「TOKYO ART BOOK FAIR 2022」を開催する。12回目となる今回は、国内外から約200組の出版社、ギャラリー、アーティストたち「作り手」が本の魅力を伝えるため集結。

前日のプレビューイベントをのぞけたので、会場の様子を簡単に紹介したい。

アートの祭典は文化祭的なノリを感じた

入場すると目前にエントランスエリアが広がり、たくさんの作品が所狭しと並んでいるのが分かる。書籍の形態を取る制作物から、Tシャツ、グッズなどありとあらゆる創作物があるので、さながら縁日のようだ。

お祭りの露店と異なるのは、出展者たちの「独創性」だろう。一目見て「あれか」と理解できるものから、さっぱり分からないものまでさまざまな内容で構成されている。

筆者は特にアートに詳しくなく、たまに美術館へ行く程度だが、見ているだけでも楽しめた。「出展者自身も楽しいでいる」からだろうか、文化祭的な空気感ともいえるエネルギーが会場で感じ取れるのだ。

宇宙航空研究開発機構も参加

ちなみに出展者は「アート関連」の団体だけでなく、例えば資生堂が企業文化誌『花椿』2022年創業150周年、創刊85周年記念号(No.830)刊行を記念し、特別展示を行っている。

「現代化粧百態繪端書」の現物を展示したり、記念号の配布と合わせて2017年からのバックナンバーも披露されたりしているのでメイクに関心があれば、より楽しむことができそうだ。

また変わり種? として筆者の目に留まったのが宇宙航空研究開発機構、通称JAXA(ジャクサ)のブースだ。アート系のイベントになぜジャクサ? ブースの造作をしていた同機構の広報部 企画・普及課(クリエイティブチーム)の中島史朗さんに話を伺った。

――畑違いな印象を受けたのですが、出展したのはなぜでしょう。

中島さん: JAXAは季刊でパンフレットを発行し、デザインなどもこだわりながら制作しているので、こうした場所で見てもらいたいなと思ったのがきっかけです。

通常は科学館などの施設や、宇宙に関連したイベントなど、いわゆる「お堅い場所」で配布されるそうだが、20、30代の若い人たち、アート志向で感度の高い人たちにも見てもらいたいと言う。

パンフレットはいわゆるタブロイド紙の形態で、ぱっと見、非常に洗練された印象だ。デザインだけでなく、内容もインタビューやコラムなど多岐にわたり、写真やイラストも多用するなど力の入れようが伝わる。

中島さん: 元々は科学雑誌的なものとして、サイズもA4サイズでしたが2019年の77号からリニューアルして今の形になりました。リニューアルでかなりガラッと変えたので、内部で承認を取るのは大変でしたね(笑)。

展示以外にもトークショーやワークショップも実施

早い時間に会場を訪れたため、準備中のブースが大多数で、残念ながらさわりしか紹介できないが、他にもゲストを招いてのトークショーやワークショップ、作家によるサイン会なども実施される。

アートに興味のある方はもちろん、筆者のような普段はあまり縁の無い人でも見ているだけで楽しめるイベントとなっている。事前予約は必要だが、もし都合がつくなら足を運んでほしいといえるイベントだ。

●information
イベント名:TOKYO ART BOOK FAIR 2022
会期:10月27日17~20時
10月28~30日10時30分~19時
会場:東京都現代美術館
住所:〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1
入場料:一般 1,000円※要事前予約