認定NPO法人ReBitは10月20日、LGBTQなどのセクシュアル・マイノリティの子ども・若者の、学校・暮らし・就活などの現状に関するアンケート調査「LGBTQ子ども・若者調査2022」の結果を発表した。調査は9月4日〜30日、12歳〜34歳の2,670人を対象に行われたもの。有効回答数は、2,623件。

  • この1年に経験したこと(自死・自傷)

まず、10代LGBTQにおいては過去1年に、48.1%が自殺念慮、14.0%が自殺未遂、38.1%が自傷行為を経験したと回答した。同結果は日本財団の「日本財団第4回自殺意識調査(2021)」と比較すると10代LGBTQの自殺念慮は3.8倍、自殺未遂経験は4.1倍高くなっている。

普段からセクシュアリティについて安心して話せる相手や場所が「ない」と回答したLGBTQユースは、10代では47.2%、20代では36.9%、30代では32.9%。普段からセクシュアリティについて安心して相談できる場所が「ある」層と「ない」層で比較すると、相談できる場所が「ある」層は、自殺念慮が12.2ポイント、自殺未遂が2.2ポイント、自傷行為が8.0ポイント下がっている。

この1年における心身不調・精神疾患については、10代LGBTQでは52.3%が経験したと回答した。

  • この1年に経験したこと(心身不調・精神疾患)

LGBTQユースのうち孤独感が「しばしばある・常にある」と回答したのは10代が29.4%、20代が27.2%、30代が25.8%となった。内閣府の「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(2022)」と比較すると、孤独感が「しばしばある・常にある」の回答は、10代では8.6倍高くなっている。

  • 孤独・孤立「あなたはどの程度、孤独であると感じることがありますか?」

LGBTQユースの91.6%が、保護者にセクシュアリティに関して安心して話せない状況にあるほか、89.1%が保護者との関係で困難を経験したことも分かった。具体的な困難状況は、「保護者からLGBTQでないことを前提とした言動があった」が66.0%、「保護者に自分のセクシュアリティを隠さないといけなかった」が49.7%、「保護者がLGBTQに否定的な言動をした」が47.2%で上位となっている。

  • 保護者との関係で生じた困難

過去1年の学校での経験として、LGBTQ学生の40.2%が授業でLGBTQについて学び、30.9%が教科書や副読本にLGBTQが載っていたと回答。一方で、70.7%が、過去1年に学校で困難やハラスメントを経験したと答えた。

具体的には「男女別整列や名前の「さん・くん」分けなど、不要に男女分けをされた」(39.0%)、「生徒が、LGBTQに関してネタや笑いものにしていた」(35.4%)、「生徒が、性別を理由に理想的な行動を指示していた」(28.7%)など。

  • この1年で経験した、学校での困りごと

さらに、93.6%が教職員にセクシュアリティに関して安心して相談できない状況にあるほか、33.6%は教職員が要因となっている困難を経験していることも分かった。具体的には、「先生が、性別を理由に理想的な行動を指示していた」(27.7%)、「先生が、LGBTQに関してネタや笑いものにしていた」(12.8%)などがあがっている。

10代LGBTQの52.4%が、この1年で「学校に行きたくないと感じた」と回答。不登校を経験した人は、中学生が22.1%、高校生が14.9%となっている。文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(2020)」と比較すると、不登校率はLGBTQ中学生で5.4倍高く、LGBTQ高校生では10.6倍高い。

この1年で就職・転職を経験したLGBなどの35.7%、Tの75.6%が採用選考時に困難やハラスメントを経験している。

LGBなどの具体的な困難状況は「選考時にカミングアウトをすべきか、どの範囲ですべきか分からず困った」(16.1%)、「人事や面接官から、LGBTQでないことを前提とした質問や発言を受けた」(13.3%)、「選考時に、セクシュアリティを伝えられなかった・隠さなくてはならず困った」(10.3%)が上位となっている。

  • この1年で経験した、就職・転職での困難やハラスメント

トランスジェンダーの具体的な困難状況は「エントリーシートや履歴書に性別記載が必須で困った」(41.2%)、「選考時に、セクシュアリティを伝えられなかった・隠さなくてはならず困った」(35.3%)、「選考時にカミングアウトをすべきか、どの範囲ですべきか分からず困った」(33.0%)が多くあがっている。

セクシュアリティを認知した際、LGBTQユースの69.9%が不安や恐れを感じたと回答。具体的には「自分は変なのではないかと思った」が37.7%、「人に言ってはいけないと思った」が35.0%、「家族に知られたら悲しませるのでは、怒られるのではと思った」が34.5%となっている。

また、セクシュアリティを認知した時点を振り返り、LGBTQユースの54.9%が相談したかった・情報がほしかったと回答した。具体的には、「セクシュアリティやLGBTQについて、もっと知りたいと思った」(43.0%)、「LGBTQの同世代の人たちと知りあいたいと思った」(30.5%)、「誰かに相談したいと思った」(20.3%)など。