紀尾井町戦略研究所(KSI)は月に2回程度、時事関係のトピックを中心としたWeb調査を1,000人に行っている。今回は、マイナンバーカードに関する意識調査を実施。年齢、性別、地域別などのクロス集計も行っている。

同調査は2022年10月16日、全国の18歳以上の男女1,000人を対象に、インターネット上でのアンケートにて実施したもの。

  • マイナ保険証への切り替え「現行の保険証を廃止せずにマイナ保険証を併用」が最多に

政府は、マイナンバーカードをデジタル社会構築のための基盤と位置づけ、来年3月末までに「ほぼ全ての国民」が取得することを目標としている。カード普及の促進策として最大2万円分のポイントを付与する「マイナポイント第2弾」が行われ、カードの申請期限は12月末まで延長された。

総務省によると、マイナンバー制度は、行政の効率化や国民の利便性向上、公平・公正な社会の実現のための社会基盤とされる。マイナンバーは日本に住民票を有するすべての人が持つ12けたの個人番号で、社会保障、税、災害対策の3分野のうち、法律や条例で定められた事務手続きにおいて使用される。

デジタル庁によると、マイナンバーカードは、氏名、住所、マイナンバーなどが記載された顔写真付きのプラスチック製カードで、デジタル社会に必要なツールとして、法律や条例で定められた手続きにおける番号確認、本人確認書類として利用できる。

  • あなたは、マイナンバー(個人番号)制度やマイナンバーカードの概要を、どのくらい理解していると思いますか。

調査の結果、マイナンバー制度や同カードについて「十分理解している」「ある程度理解している」と思う人は計68.2%だった。

  • マイナンバーカードの申請者数は10月2日時点で約7,011万人、全人口に対する割合は55.7%でした。あなたはマイナンバーカードを持っていますか。

マイナンバーカードを「持っている」「持っていないが取得するつもりがある」人は計78.8%。「持っていないし、取得するつもりもない」人が18.4%いた。

  • マイナンバーカード普及策として、カード取得者にマイナポイントを付与する第2弾のキャンペーン(最大2万円分)を実施中です。あなたはポイントの申し込みや登録手続きをしましたか。

マイナポイントに関する対応では、「第1弾でポイントを獲得し、第2弾の健康保険証の利用申し込みや公金受取口座の登録をした」28.7%が最多だった。

  • あなたは、行政機関への申請、本人確認などでマイナンバーカードを実際に使ったことはありますか。

行政機関への申請などで実際にマイナンバーカードを「使ったことがある」29.9%、「使ったことはない」31.7%だった。

  • 去年10月から、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる「マイナ保険証」が導入されました。あなたは「マイナ保険証」を使っていますか。

マイナ保険証への対応で最多だったのは「利用登録をしたが、まだ使っていない。もしくは使える医療機関等が見つからない」35.3%だった。「利用登録して、すでに使っている」は3.3%となった。

政府は現行の保険証を2024年秋に廃止してマイナ保険証への切り替えを目指すとしていることに関し「現行の保険証を廃止せずにマイナ保険証を併用したほうがいいと思う」34.0%が最多。「マイナ保険証への一本化でいいと思う」29.3%、「マイナ保険証は不要だと思う」27.7%だった。

  • 健康保険証だけではなく、運転免許証も2年後の2024年末までに一体化を目指すと発表がありました。あなたはマイナンバーカードと自分の運転免許証を一体化させたいですか。

政府は運転免許証とマイナンバーカードの一体化を2024年末までに目指すとしている。自分の運転免許証を「一体化させたくない」49.0%、「一体化させたい」26.6%だった。

  • あなたは、どのような場面でマイナンバーカードを使いたいですか(複数回答可)

どのような場面でマイナンバーカードを使いたいかを複数回答で聞くと「オンラインでの行政手続き」48.6%が最多。「コンビニでの公的証明書の取得」「身分証明書や本人確認書類」と続いた。

  • マイナンバーカード機能のスマートフォンへの搭載が、来年2023年の5月以降にAndroid端末から始まる予定です。あなたはどの程度期待していますか。

マイナンバーカードのスマホへの搭載が来年5月以降にAndroid端末から始まる予定であることに「あまり期待していない」「まったく期待していない」が計64.2%を占めた。「大いに期待している」「期待している」と答えた人は、男性で計3割台だったのに対し、女性は計1割台にとどまった。

  • マイナンバーカードには強固なセキュリティ対策が施されていますが、それでも個人情報が漏えいしたり犯罪に使われたりしかねないリスクがあるとの指摘があります。あなたは、こうしたリスクをどのくらい許容できますか。

個人情報漏えいなどマイナンバーカードのリスクについて「あまり許容できない」「まったく許容できない」が計75.2%を占めた。「すべて許容できる」「ある程度許容できる」とした人は、男性で計2割台だったが、女性は計1割未満にとどまった。

  • 政府は、地方のデジタル化を促す「デジタル田園都市国家構想交付金」を配分する際に、自治体のマイナンバーカード普及率を要件として追加する方針です。この方針はカードの普及率向上に効果があると、あなたは思いますか。

政府が自治体のマイナンバーカード普及率を要件に「デジタル田園都市国家構想交付金」を配分する方針を示していることに関し、普及率向上に「あまり効果はないと思う」「効果はないと思う」が計55.4%を占めた。「効果があると思う」「ある程度効果があると思う」は計32.3%となった。

  • マイナンバーカードの普及を進める政策に関するあなたの考えは、どれに近いですか。

マイナンバーカードの普及で行政手続き(窓口だけではなく行政機関内の手続きも含む)を効率化することにより、行政コスト(使う税金)が減る上、利用者自身が様々なデータを利用することが可能になるとされる。

一部でも紙による手続きが残ると効果が十分に発揮できないだけでなく、コストが二重にかかるデメリットがある。個人情報漏えいなどセキュリティ上の懸念を指摘する意見が根強くある一方で、諸外国の同様の番号制度で大きな問題が起きて廃止された例はないとされる。これらのことを踏まえた場合の、マイナンバーカードの普及を進める政策に関する考えを聞いた。

行政コスト軽減などの観点からマイナンバーカードを普及させることに関し、「希望しない人には無理に保有させなくてもよい」40.5%が最多。「希望者から普及していけばよい」35.5%、「全国民が少しでも早く保有すべき」18.4%だった。

  • 政府は来年2023年3月末までに「ほぼ全ての国民」がマイナンバーカードを取得することを目標としています。あなたは、この目標は達成できると思いますか。

政府が目指す2023年3月末までに「ほぼ全ての国民」によるマイナンバーカード取得が「達成できると思わない」が76.9%に達した。

  • 政府が目標を推進するにあたり、マイナポイント第2弾のキャンペーンは効果があると思いますか。

政府によるマイナンバーカード普及目標の達成にマイナポイント第2弾が「効果がある」「ある程度効果がある」が計58.5%を占めた。「効果はない」「あまり効果はない」は計35.4%だった。

  • マイナンバーカードの取得は現時点では任意です。将来「マイナ保険証」の導入で実質義務化されるとしたら、あなたは賛成ですか、反対ですか。

マイナ保険証の導入による実質的なマイナンバーカード取得義務化には「反対」が42.6%、「賛成」29.0%だった。