• トークセッションの様子=筆者撮影

『THE HEAD』が注目されるのは、スペイン最大規模のグローバル作品としてシーズン1が成功したことが大きい。シーズン1ではアジア人で唯一、山下智久が出演し、日本でも話題を集め、世界では90カ国に広がるグローバルヒットになった。好評を得て、このシーズン2が作られ、カンヌの地で製作発表の場が設けられたというわけだ。

トークセッションでは、製作総指揮のラン・テレムをはじめ、福士と共演した俳優、女優陣が勢ぞろいし、企画の背景や撮影中の苦労話などが披露されるなか、司会を務めた米最大手エンタテインメント誌・Varietyの名物ジャーナリスト、ジョン・ホープウェルが、グローバル作品であることを象徴する重要な役割について聞くと、福士の言葉に会場が沸いた。

「この役を得たときは興奮しましたし、同時に緊張もしました。自分にとってこれはグローバル作品初出演の作品。まさに海外で仕事をするのは私の夢の1つでした。だから、夢がかなったようなものです」

「夢」という言葉を素直に切り出した福士の言葉は、会場にいた参加者の心をつかんだようで、思わず漏れた感嘆の声があちこちから聞こえてきたほどだ。福士は話を続けた。

「世界の人たちと一緒に働きたいと思って活動を続けてきました。でも、日本人にとって、海外で働くのは大変なことでもあります。普段から英語でコミュニケーションする機会がないことも大きいと思います。それでも、僕は新しいことにチャレンジすることを選び続けます!」

流暢(りゅうちょう)な英語で自身の思いを伝えた福士に、トークセッション後も新たなメディアからインタビューが殺到していた。あるフランスのメディアは福士に興味を持った理由について、「SNS上で(福士の)ファンの反応が高く、驚きました。注目作品なので、彼もフォーカスしようと思っています」と話していた。

  • 筆者撮影

■海外俳優と演技談義する姿も

カンヌ滞在中、街なかで福士が共演者の海外俳優と食事をしている姿を偶然、見かけた。グローバル規模で活躍する海外の役者たちと演技談義を重ねていることが伝わってくる瞬間だった。世界で生き抜いていこうという意思まで感じられる。

「MIPCOMカンヌ」の会場では、すでに世界で活躍している山下智久出演の新作『神の雫』のプロモーションなども展開され、日本人俳優たちの活躍の場は日本だけに限らないことを示していた。

『THE HEAD』シーズン2は来年公開される見込みだ。作品が世界展開されていくと同時に、福士の活躍もますます広がっていく可能性は十分にありそうだ。

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