秋といえば「食欲の秋」。旬な食材が豊富な季節ですが、栄養価はどのようなものが含まれるのでしょうか?過ごしやすい気候にはなりましたが、気温の変化や夏の疲れがたまって体調がすぐれないという人もいるかと思います。そこで今回は栄養価の高い食材や疲労効果について医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センターの中路 幸之助先生にお話を伺いしました。

季節の変わり目は食で免疫力アップを

秋の食材と聞くと、サツマイモやカボチャ、きのこ類や果物類、栗や銀杏にさんまと多くの食材が思い浮かびます。きのこやサツマイモは消化器系の働きを活発にし免疫力を高めたり、カボチャは「冬至にカボチャを食べると風邪をひかない」という言い伝えがあるように栄養価が高い食材として知られています。夏バテで落ちた食欲の回復や、これから迎える寒い季節に備えて栄養を蓄えるためにも秋の旬な食材を摂ることが大切なのです。

実際に詳しい栄養価や疲労効果について中路先生に話を伺いました。

――秋が旬の食材にふくまれる栄養や疲労効果について、教えていただけますでしょうか?

中路先生:キノコにはビタミンB群やビタミンDなどの栄養素が多く含まれ、特にビタミンB群には、代謝を助け神経を正常に保つ働きがあり、疲労を回復します。またサツマイモ・柿・レンコンにはビタミンCが多く含まれています。このビタミンCは抗ストレス作用をもつホルモンの合成や、鉄分の吸収にも関わっているため、特に女性の疲れにくい体を作るために重要な栄養素です。これらを上手にとり、疲労回復に努めましょう。

――食べるタイミングや食べ合わせなど、注意点があれば教えてください。

中路先生:秋にとれるくだものは美味で秋のたのしみの一つです。しかし、食べ過ぎには注意が必要です。くだものには果糖が多く含まれています。そのため、とりすぎると血糖値の上昇や中性脂肪の増加をきたす可能性があります。また、食べる順番は野菜、肉や魚・脂、ごはんの順に食べましょう。たんぱく質や脂質を炭水化物より先に摂取することによりインクレチンという消化管ホルモンの分泌が盛んになり、胃の中にあるものを十二指腸に排出するのを遅らせ、インスリンの分泌を促進し食後の血糖値の上昇を抑制することが報告されています。腹八分目に医者いらずですね。


秋の食材は、美味しいうえに栄養価が高いものや疲労回復に効果的と魅力的なものばかり。食べる順番や量に注意しつつ、秋の味わいを楽しみながら、体のコンディションを整えて、寒くなるこれからの時期に備えていきましょう。

監修ドクター:中路 幸之助先生

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター/米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医/日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医


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