ファイントゥデイ資生堂は、10月20日に「頭髪の日」を迎えるのに合わせ、「ヘアドネーションに関する意識調査」の結果を発表しました。ヘアドネーションに関する現状や課題、医療用ウィッグプログラムの新たな取り組みをご紹介します。

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がん患者の外見変化による苦痛を軽減する「医療用ウィッグ」

日本人の2人に1人が罹患するとされるがん。患者の約3人に1人は20~60代の働く世代で、治療を続けながら働くがん患者は36万5,000人と言われています。

医学の進歩により、治療後まもなく社会復帰する人も多くなったものの、仕事をしながら治療を続けるがん患者にとって、大きな苦痛となっているのががん治療に伴う外見の変化です。国立がん研究センター調査(※)によると、髪の脱毛などの外見変化が心理的苦痛となり、外出機会が減少したり、仕事や学校を辞める・休むといった患者も約4割もいることがわかりました。

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そこで現在、注目されているのが、外見の変化を補完することで、外見の変化から起こるがん患者の苦痛を軽減する「がん患者のアピアランス(外見)ケア」です。

その中のひとつが「医療用ウィッグ」。治療により、頭髪が抜けてしまう脱毛症で悩むがん患者にとって、医療用ウィッグは日常生活を送るうえでの大切な選択肢のひとつ。そのウィッグを作るため、長く伸ばした髪の毛を寄付する活動が「ヘアドネーション」です。31cm以上の髪の長さがあれば、年齢や性別、くせ毛・白髪・カラーリングなど、髪質問わず参加することができます。

ウィッグを作る髪を寄付するヘアドネーションに、8割が「ハードル感じる」

同社では9月2日~5日、ヘアドネーションに関する意識調査を実施。「ヘアドネーションを今後やってみたい」「ヘアドネーションに興味はあるがする予定はない」と回答した10代~60代男女1,129名に、ヘアドネーションに興味がある理由としてあてはまるものを尋ねたところ、最も多い回答は「病気などで苦しむ人の力になりたいから」(56.0%)でした。「社会の役に立つ活動に関心があるから」(47.0%)、「髪を伸ばすだけなら、自分でもできる気がするから」(32.2%)と続きます。

  • ヘアドネーションに興味がある理由としてあてはまるもの

ヘアドネーションをするにあたって、ハードルを感じることはあるか聞いてみると、77.9%が「ある」と回答。その理由で最も多かったのは「伸ばす過程のヘアケアが大変そう」で、「自分の髪質でもヘアドネーションできるか不安」、「ヘアドネーションに対応している美容院がわからない」「自分の年齢や性別でも挑戦できるのかがわからない」と続いています。

  • ヘアドネーションをするにあたって、ハードルを感じることはあるか

ヘアドネーションについて、どうすればもっと多くの人が参加しやすくなると思うか尋ねると、42%が「寄付した髪を十分に活用してくれそうなところ」と答えました。次いで「ヘアドネーションのためにカットした髪の送付まで美容院がサポートしてくれる」(37.2%)、「髪を伸ばすところもサポートしてくれる」(29.5%)と続きます。

  • ヘアドネーションについて、どうすればもっと多くの人が参加しやすくなると思うか

今回の調査では、ヘアドネーションに興味はあるものの、ドネーション毛を寄付することへの条件面がわからないという不安が、参加のハードルになっていることがわかりました。また、どこに寄付したらいいのか、対応している美容院はどこかなど、寄付するまでのサポートを希望する人も多くなっています。

医療用ウィッグプログラマう「HAIR TOUCH YOU のばせば届く。」

現在、カットした髪の発送業務は、ドネーションをする人が発送するのが主流です。しかしアンケート結果にもあるように、寄付先や送り方がわからないという人も多いのも事実。寄付した髪はきちんと活用されるのか不安である人もいることでしょう。

ヘアケアブランド「フィーノ」は2022年春から、医療用ウィッグをとりまく360°すべての方をつなぐプログラム「HAIR TOUCH YOU のばせば届く。」をスタート。ヘアドネーションを募り、寄付された髪を医療用ウィッグ製作のために支援団体に提供する取り組み「fino ウィッグBank」も実施しています。

同プログラムでは、ドネーションする髪を送る封筒、ヘアゴム、ヘアカルテなどがセットになった「finoオリジナルドネーションキット」を希望者に無料配布。寄付する髪の送り先は、ヘアドネーションの髪を使った医療用フルオーダーウィッグの製作を行うNPO法人「全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)」です。寄付された髪は、ふくりびが医療用ウィッグとして手頃な価格で販売するほか、レンタルや体験用として活用されます。

  • finoオリジナルドネーションキット

今後、「フィーノ」ではヘアドネーション対応、医療用ウィッグのカット対応が可能な美容院の開拓も実施予定。「finoオリジナルドネーションキット」も、ふくりびが提携する全国約120(現時点)のサロンで配布することも予定されています。

「finoオリジナルドネーションキット」の応募は、公式サイトにて受付中。ヘアドネーションに興味がある方や、興味はあるもののハードルを感じて寄付に至らなかった方は、まずキットの入手から始めてみてはいかがでしょうか。

※国立がん研究センター がん患者に対するアピアランスケアの均てん化と指導者教育プログラムの構築に向けた研究(平成29年4月~令和2年3月)