紀文食品はこのほど、47都道府県の"鍋"についてまとめた「紀文 鍋白書 2022」を発表した。
それによると、おでん種には、全国的に食されるものの他、その土地ならではのおでん種が数多く存在する。さらに平成、令和期にかけて、欧風おでんやバルのおでんなどさまざまなおでんが登場し、おでん種の数は、今や200種を超えるとか。
その中から今回は、同社が独自取材によって調査・記録化した138種(2022年9月現在)の中から、限定的な地域において出現する「ご当地おでん種」27種類を紹介する。
北海道のご当地おでん種は、「マフラー」と「ふき」の2種。マフラーとは、長方形の平らなさつま揚げのことで、その形からこの名が付いたそう。秋田県では、クセがあまりない山菜「におさく(エゾニュウ)」、サンマの漁獲量が多い岩手県・宮城県では「さんま団子」を入れる家庭が多い。そのほか、東北地方では「つぶ貝」をおでんに入れて食するのも特徴的。
東北から北陸にかけて、「根曲がり竹」がご当地おでん種に登場。また、香箱ガニ(雌のズワイガニ)が有名な石川県では、カニの甲羅にカニの身やカニみそ、内子や外子などをのせた高級おでん種「蟹面」を入れることも。石川県・富山県では、赤と白の魚のすり身で作られた渦巻き模様の練り物「赤巻きかまぼこ」という、華やかなおでん種もある。
真っ黒な汁でいただく「静岡おでん」が有名な静岡県では、半月状の薄い練り物「黒はんぺん」と、串に刺した「もつ(豚)」が欠かせない。また、紅白2色の魚のすり身でできた「なると巻」は、削り節と青のりをかけて食すことも多いという。
名古屋風味噌煮込みおでんが特徴の愛知県では、平らで大きな方形の生麩「角麩(生)」や、ピンク色をした棒状のさつま揚げ「赤棒」というおでん種が存在する。滋賀県では、三二酸化鉄でこんにゃくを赤く染めた「赤こんにゃく」が特徴的。
中国地方からは、鳥取県の名産品「豆腐ちくわ」が登場。豆腐に魚のすり身を混ぜて蒸す、あるいは焼いて作られている。島根県では、松江市の専門店で「春菊」がおでん種として提供されるほか、トビウオなどのすり身を棒に巻きつけてあぶった「野焼き」が有名で、大きいものは長さ約 60cm、重さ約1kgにもなるという。
四国の愛媛県では、キツネ色あるいは灰褐色の「じゃこ天」が、関西〜中四国にかけては、揚げ色をつけないさつま揚「白天」がおでん種に登場。
九州地方では、福岡県・博多おでんには「餃子巻」が、宮崎県・都城市のおでんには「なんこつ(豚)」が欠かせない。また、宮崎県では長さ15cmの大豆もやし「おやし」がおでん種に。さらに、九州・沖縄地方では肉種を入れることが多いようで、宮崎の「なんこつ」のほかにも、鹿児島県では豚の「スペアリブ」、沖縄県では「豚足」がおでん種として食されている。