里見香奈女流五冠がプロ棋士を目指す、棋士編入試験五番勝負の第3局が10月13日(木)に関西将棋会館で行われています。

試験官は新四段5名が担当し、5局中3勝を挙げると合格となります。第1局は徳田拳士四段、第2局は岡部怜央四段が試験官を務め、いずれも里見女流五冠は敗れています。通算成績は0勝2敗と後がなくなりました。

第3局の試験官は狩山幹生四段。岡山県倉敷市出身の20歳、井上慶太九段門下です。プロ入りからの通算成績は17勝12敗、2022年度の成績は9勝9敗です。独特の感覚の力強い受けが特徴的な居飛車党です。

後手番の里見女流五冠はゴキゲン中飛車を採用。早々に動いて玉頭の一歩をかすめ取る積極的な手段に出ました。対して狩山四段は金銀をどんどんと前に繰り出して圧迫していきます。右金を7六の地点まで持っていったのが見慣れない形で、左辺の厚みを生かして戦おうという意図のようです。

狩山陣の左辺の厚みを見た里見女流五冠は、中段の飛車を軽快に活用して右辺から争点を作りました。右辺で本格的なさばき合いとなれば狩山陣の厚みの裏を突く形になるので振り飛車ペースです。2~3筋の戦いで里見女流五冠がさばけるか、狩山四段が押さえ込むことができるかが午後の戦いの焦点となりそうです。

本局の持ち時間は3時間。終局は本日夕方以降になることが予想されます。

大石祐輝(将棋情報局)

棋士編入試験第3局に臨む里見女流五冠(提供:日本将棋連盟)
棋士編入試験第3局に臨む里見女流五冠(提供:日本将棋連盟)