女優の芳根京子が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、9日に放送される『東京デリバリー物語 ~スマホと自転車とホームレス~』。貧困から抜け出そうともがくフードデリバリーの配達員たちを追った作品だ。
これまでも、『ザ・ノンフィクション』での語りを通して、様々な学びがあったという芳根は、今回も「知れて良かったなと思うことがいっぱいありました」と語る――。
■「知れてよかったと思うことがいっぱい」
番組に登場するのは、イベント設営の派遣先を解雇され、ネットカフェで暮らすホームレスとなった40代男性や、借金返済のため、カプセルホテルを拠点に自転車をこぎ続ける元銀行員の30代男性など。月収が40万円を超えることがあっても、「地に足がついてない状態。いつまで需要があるか分からない」と、将来の不安を口にする。
普段からフードデリバリーサービスを利用しているだけに、「普通に生活していたらすれ違うくらいしかない中で、働いている方々のリアルというものを知れて良かったなと思うことがいっぱいありました」という芳根。「デリバリーのお仕事は、自転車とスマホと体があればできるということで、人との関わりが少なくて済むというのも現代らしいなとか、1つ1つ噛み締めながら見ていました」と発見を語る。
ほかにも、「タワーマンションに届けるのは大変なんだとか、距離が近ければいいわけじゃないとか、その立場でないと分からないことをストレートに全部言ってくださるから、すごく興味深く拝見させていただきました。それに、“地蔵”とか“ガチ勢”とか、どの業界にもその用語があるんですね」と細かな点で気づくことがあり、全体として「皆さん、すごく前向きな思いで過ごされているように見えました」と印象を語る。
■能動的な支援に「本当に素敵なこと」
そんな彼らをサポートするのは、生活困窮者の支援を続ける団体の佐々木大志郎さん。芳根が以前ナレーションを担当し、無料Wi-Fiに集う貧困の若者たちを追った『スマホとホームレス ~無料Wi-Fiに集う若者たち~』(21年12月12日放送)でも、その活動の様子が紹介された人物だ。
今回、再び佐々木さんの活動を見て、「改めてすごいなと思いました。自転車のレンタルもされていて、どういう支援が必要なのかが時代によって変わっていくのを感じましたし、佐々木さんに助けられている方がたくさんいると思うと、すごく大きな存在なんだろうなと思いました」と感服し、「前回も“佐々木さんが入れば救われる”という方がたくさんいらっしゃったので、勝手ながらホッとします」とのこと。
また、SOSを待つだけでなく、能動的に支援へ動く姿に、「助けが欲しくても声を上げられない人や、支援があることを知らない人がたくさんいる中で、本当に素敵なことだなと思いました」と話した。
■自分と違う世界で闘う人々の現実から得られる“厚み”
『ザ・ノンフィクション』では、戦火のウクライナから日本にやってきた避難民家族に密着した『たどりついた家族 ~海の向こうの戦火と涙~』(22年5月1日放送)でもナレーションを担当。そのたびに感じるのは、「本当に学ぶことが多いです。他の人の人生を知るきっかけを頂けて、声を入れさせていただけて『知れて良かった』と思うので、視聴者の方もみんなそうなんじゃないかなと思います」と話す。
そして、「自分の人生では感じ取れないリアル、自分とは違う世界で闘っている方々の現実を見せてもらって知ることで得られる“厚み”というものが人間にはあるのかなと思うので、本当に貴重なものを拝見させていただきました」と感謝した。
ちなみに、プライベートで自転車に乗るのが好きだという芳根。「こぐのが好きで、2駅分くらい行きます。1回、信号待ちで横にいた人に『本当に乗ってる!』と言われたことがあって、ちょっと恥ずかしかったです(笑)」と、思わぬエピソードを明かしてくれた。
●芳根京子
1997年生まれ、東京都出身。13年に『ラスト・シンデレラ』で女優デビュー。14年にNHK連続テレビ小説『花子とアン』で注目を集め、15年『表参道高校合唱部!』でドラマ初主演。16年にはNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロインを務め、以降もドラマ『海月姫』『チャンネルはそのまま!』『コタキ兄弟と四苦八苦』『君と世界が終わる日に』『コントが始まる』『半径5メートル』『真犯人フラグ』『オールドルーキー』、映画『累 -かさね-』『居眠り磐音』『記憶屋 あなたを忘れない』『Arc アーク』などに出演する。