漫画家・さくらももこ氏による名作漫画『ちびまる子ちゃん』を舞台化した、「ちびまる子ちゃん THE STAGE 『はいすくーるでいず』」が上演される(12月15日〜25日 天王洲 銀河劇場)。原作は1986年に『りぼん』(集英社)で連載がスタートし、2021年に連載開始から35周年を迎えたことから、21年〜22年を『ちびまる子ちゃん』原作35周年記念イヤーとし、アニバーサリー企画を実施しており、そのラストを飾るのが同舞台となる。
「まる子のクラスメイトである3年4組の男子たちが、高校生になったとしたら!?」という物語を描く“もしも”の話となり、花輪クン、丸尾君、はまじ、藤木君、永沢君、ブー太郎、小杉君、山根君、大野君、杉山君といったおなじみのキャラクターたちの青春が繰り広げられる。今回は、はまじ(浜崎のりたか)役の松島勇之介にインタビュー。高校生になったはまじがどういった成長を遂げているのか、また自身の青春や仲間についても話を聞いた。
■ファンからは「花輪クンじゃないか」と予想も…
――今回まさかの『ちびまる子ちゃん』舞台化、しかも未来の話ということですが、お話を聞いた時の気持ちはいかがでしたか?
僕も小さい頃からアニメを見ていた『ちびまる子ちゃん』の世界から8年後の未来、高校2年生の話ということで、全然想像できないことが逆に良かったです。ましてはまじ役ということで「早く台本が読みたい!」という気持ちでした。
――高校生になったはまじ役ということで、どんなキャラクターになるのでしょうか?
小学生のはまじって、お調子者でおちゃらけた感じのイメージあるじゃないですか。今回ももちろんおちゃらけてはいるんですけど、熱い思いと夢を持っており、かっこいい育ち方をしたんだなという感じですね。
――意外な成長ですね。
「生半可な気持ちでやるんじゃねー!」と檄を飛ばすような熱い人間になっています。今のところ、モノマネをするシーンもあり、そこも精一杯応えなければと思います(笑)。僕も自分で漫才のネタを作るほどお笑いが好きなので、ワクワクしていますし、ついていけるように頑張ります。
――松島さんは声が大きいとよく話題にもなっていますが、はまじ役にも生かされそうですか?
そこは生かします! 先日、東京ドームで行われた『ACTORS☆LEAGUE in Baseball 2022』に出場したんですが、僕はキャッチャーだったのにレフトスタンドまで声が届いていたみたいで……そのうち、声で県またぐかもしれない(笑)。東京から神奈川あたりまで届く勢いで声出します。
――当初は配役が発表されておらず、色々な予想が飛び交っていたみたいですが…
SNSなどでいただいたコメントを見ると、ファンの方からは「花輪クンじゃないか」という意見も多くて、ニヤニヤしました(笑)。花輪クンで想像してはまじだったなんて、いい意味で皆さんを裏切ることができたんじゃないかな。
――共演者の方々についてはいかがですか?
山根君役の(石川)凌雅くんは別作品でご一緒して本当にお芝居に熱い方ですし、小杉君役の川崎優作(※崎はたつさき)さんとは大親友なので、楽しみで仕方ないです。優作さんはもう、面白いんですよ。よくキャンプに行ってるらしいんですが、優作さんの家に遊びに行くと「ここに座って」とキャンプの椅子が出てくるから、座りづらい(笑)。
今回逆に初めましての方もたくさんいらっしゃって、大ベテランの酒井敏也さんの演技を間近で感じられるのも嬉しくて、早く稽古が始まらないかなと思っています。それとやっぱり、花輪クン役の佐奈(宏紀)さんをはじめ、キャストのみなさんといい関係性を築いて楽しくやっていけたらいいなと思っています。
■俳優仲間から刺激
――ご自身にとって、青春と言われて思い出すのはいつでしょうか?
中学3年生まで野球をやっていたので、部活が1番の青春でした。決して強いチームではなく、僕も全然上手じゃないんですけど、持ち前の明るさで副キャプテンに指名され、慣れないリーダーシップをとっていました。夏休みも1日中グラウンドを走って、教室に連れて行かれて先生監視のもとで宿題をやらされたこともあったりとか……。
――よく漫画で見るエピソードですね!
本当にそうなんです! ただ考えてみたら、生まれてから今までずっと青春かもしれないですね。高校では男子校に進んで、3年生の時に体育祭の応援団長を務め、注目してもらえることの楽しさを知って福岡でスカウトをしていただいたのをきっかけに芸能の世界に入りました。でも東京の大学に受かっていたので、平日の月〜金曜は東京で授業を受けて、金曜日の夜に夜行バスで福岡に帰って仕事して……という生活で。結局、色々なことに挑戦するのが青春だと思うと、福岡から東京に芸能活動の拠点を移して、こうやって新しく『ちびまる子ちゃん』にも携わらせていただいて、青春は続いております。
――俳優としてはどんどん注目度も上がっているかと思いますが、その変化は感じますか?
注目いただいているなあという感覚はあります。ただ、僕自身の中身が追いついてないんじゃないかという不安もあります。常に、不安なのかもしれない。「これでいいのかな?」と思いながら進んでいます。
不安が解消することはこの先もたぶんないだろうし、それでいいと思うんです。自分で「成長したな」と思っちゃったら、そこで終わりな気がして。初舞台に立った時から今まで色々と環境が変わったけど、自分自身は変われているのか問いかけながら、「老若男女、誰からも愛される俳優になる」という目標に向かって日々もがいています。最近はたくさんの方に見てもらうために努力をしたい、色気のある男を目指そう! と思って筋トレを始めたんですけど、やりすぎてマネージャーさんに止められ……こっそりジムに行ってます(笑)
――こっそり行ってていいんですか?
これを言ったら、また止められるかもしれない(笑)。まあでも公演のための体力作りも必要なので! やりすぎないように、きちんと体の基礎を作って、長く活動していけるよう健康で頑張りたいです。
――ちなみに、今「仲間」と言われて思い浮かべる存在はいますか?
劇団番町ボーイズ☆として活動しているので、そのメンバーは仲間でありライバルでもあると思います。それぞれが個人で仕事をして、そこで得たものを公演で持ち合わせるような感覚です。稽古場でも「こういうこともできるようになったんだ」と見せ合うような雰囲気もあって、刺激し合える仲間として1番に思い浮かびます。中でも菊池修司くんは僕より1歳年上で、身長も同じくらいで、ひょっとしたら、オーディションで同じ役を競い合うような存在かもしれないと、いい意味で意識しています。
他の俳優さんでも仲間と呼べる人はたくさんいて、先ほど話に出た川崎優作さんもそうです。それから『ハイキュー!』で双子の相方を演じた神里優希くんとは背格好が似てるし、本当に双子のような感覚があります。有澤樟太郎くんも役者の先輩として尊敬していて、敵わない存在だけどいつかは追いつきたいと思わせてくれる方なんです。皆さんと共演する中で、たとえば優作さんの面白いところや神里優希くんのしなやかな動き、修司くんの熱いお芝居、樟太郎くんのオーラ、そういった素敵なところを学ばせてもらいたいと思いました。
――それでは、最後に改めてメッセージをいただけたら。
本当に清々しいほどの熱い青春をお届けする内容になっているので、僕たちがさらに色付けをして、皆様に元気をお届けしたいです。やっぱりこのご時世で、しんどいことも多いと思うんです。きっとお客さんもそうだと思うんですけど、役者側も「何の気兼ねもなく舞台を楽しんでほしい」と願っています。そんな世の中だからこそ、この作品で元気になっていただけるように頑張りたいですし、たとえば「『ちびまる子ちゃん』を観た次の日の朝、いつもより目覚めがよかった」とか!(笑) 少しでも明るくなっていただけたらと思います。
■松島勇之介
1996年11月17日生まれ、福岡県出身。高校生の頃のスカウトをきっかけに芸能界入りし、主な出演作にハイパープロジェション演劇『ハイキュー!!』(19年〜21年)、ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stage (20年〜)、演劇調異譚『xxxHOLiC』(21年)、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ (22年〜)など。