日本テレビ系ドラマ『ファーストペンギン!』(5日スタート、毎週水曜22:00~)出演する堤真一。ファーストペンギン(=最初に荒海へ飛び込む勇気ある1羽目)のように、縁もゆかりもない漁業の世界に飛び込んだシングルマザー・岩崎和佳(奈緒)とぶつかり合いながら、共に改革に挑む仲間となる船団長・片岡洋を演じる。
古い常識や慣習を次々と打ち破り、しがらみだらけの業界で、まさかの大革命を巻き起こすという実話をモデルにしたサクセスストーリーが描かれるドラマだが、長年にわたって俳優という仕事に身を置く堤は、撮影現場などでの慣習も大きく変わったと語る――。
■“一番労力がかかる人たち”への思い
――今回のオファーを受けての心境は、いかがでしたか?
(モデルとなった坪内知佳さんの話は)元々ニュース番組のドキュメンタリーで見ていて知っていました。結構いろんなドキュメンタリーを見るんですけど、これは面白かったんで見入ってしまって。男社会の中に入って壁を壊していく大変さと、男たちの意地というところの葛藤がドキュメンタリーではよく出ていました。「これはドラマ以上にドラマだな」と思って見ていたので、今回はきっと面白くなるだろうなと思いました。
――「漁業」をテーマにしたドラマというのは、なかなかないと思います。
漁師の役は20代の頃にやったことがあるんですけどね。「食」って大事なことなので、1次産業を大事にすることが伝わればいいなと思います。スーパーに行けば野菜があるし、魚もあるというのは当たり前のことではあるけど、それを育てたり獲ったりすることがいかに大変か。それをしてくれる人たちに一番労力がかかるのに、彼らへのリターンが少ないという仕組みはやっぱりおかしい。そういうところもきちんと感じ取っていただけるようなドラマになればいいなと思います。
――森下佳子さんの脚本の印象は、いかがですか?
実際のエピソードに絡めながら、脚色していく部分も多いとは思うんですけど、そこがすごくリアルに感じるんですよね。人間ってこうだよね、組織ってこうだよねというところとか、男のダメさ加減もよく分かっていらっしゃって(笑)、素晴らしいですね。読み物としても、「この先、どうなるんだろう?」と思えるような脚本でした。
■役柄に共感、役者も「芝居してなんぼや」
――「漁師」という仕事には、どんなイメージを持たれていますか?
僕が演じる片岡洋という役は、代々漁師をやっている家に生まれ、親の後ろ姿を見ながら自分も漁師になるという役どころなんですけど、そこはうらやましいなと思いますね。言ってみれば、親に弟子入りするようなものじゃないですか。僕はサラリーマンの子どもで団地住まいだったので、職人のような世界で生まれて、農業でも先祖代々田んぼを受け継いでその土地で生きるのって、カッコいいなと思います。
――実話をベースにする中で、驚いたのはどんなところでしょうか?
国が「6次産業化」(=農林漁業者の収入向上を目指す政策)を推進してるということなんですけど、実現までの大変さたるや(笑)。いろんな手続きもあるので、普通の漁師だったら「やめじゃ!」ってなると思うんですよ。僕もそういう手続きとかができない人間なので、びっくりしました。
――役柄に共感するところですね。
「漁師は魚を獲ってなんぼ。あとのことは知らん」というように、「役者は芝居してなんぼや」と思うので、実はこういう取材とかは苦手です(笑)。それと、僕の娘たちはまだ小さいのであまり小うるさく言わないようにしようと思ってるんですけど、ついつい小言を言ってしまう(笑)。のびのび育てたいと思いつつ、どこか自分の価値観に合わせようとしてしまうことがあるので、そのあたりは似ているかもしれないですね。