里見香奈倉敷藤花への挑戦権を争う、第30期大山名人杯倉敷藤花戦(主催:倉敷市、アルスくらしき、山陽新聞社)の挑戦者決定戦、西山朋佳女流二冠―香川愛生女流四段戦が9月28日(水)に東京・将棋会館で行われました。結果は113手で西山女流二冠が勝利し、里見倉敷藤花への挑戦権を獲得しました。

本局は先手の西山女流二冠が三間飛車に振り、対抗形となります。37手目に西山女流二冠が▲3五歩△同歩と突き捨てて、▲5五歩△同歩▲同角と歩交換しつつ角を飛び出したのが機敏な動きでした。次に▲3四歩の桂取りがあるため、香川女流四段は△2三銀と受けますが、▲3三角成△同玉▲4五桂という王手角取りの強攻を敢行しました。

先に角を捨てているので先手が駒得になった訳ではありませんが、後手陣を乱したのが大きいのです。数手後の▲6六角が飛車香の両取りで、今度こそ先手の駒得が確実になりました。

香得を果たした西山女流二冠は一転して7筋の桂頭攻めに出ます。香川女流四段も反撃を見せて、結果的に7筋で桂の取り合いになりましたが、このやり取りで後手は陣形を乱されてしまいます。対して先手は美濃囲いの堅陣が手付かず状態です。

85手目▲7三歩の垂れ歩からはお手本のようなと金攻めで、このと金が後手の金と交換になって大勢が決しました。最後は西山女流二冠が端攻めから香川玉を即詰みに討ち取り、見事勝利を手にしました。 勝った西山女流二冠が初参加の倉敷藤花戦で挑戦権を獲得し、里見倉敷藤花との三番勝負に挑みます。

今年度における両者のタイトル戦はこの倉敷藤花戦が5回目となります。マイナビ女子オープンは西山勝ち、女流王位は里見勝ち、白玲は現在2勝2敗の五分、そしてこれから女流王将と倉敷藤花の番勝負が開始します。同一年度で同一カードによる5タイトル戦は史上初のことです。また里見―西山戦は今年度ここまで14局指されていますが、この数字もどこまで伸びるのでしょうか。女流2強時代を象徴する秋のタイトル戦に注目です。

相崎修司(将棋情報局)

初参加の倉敷藤花戦で挑戦を決めた西山女流二冠(写真は第14期マイナビ女子オープン五番勝負第5局のもの)
初参加の倉敷藤花戦で挑戦を決めた西山女流二冠(写真は第14期マイナビ女子オープン五番勝負第5局のもの)