■フット後藤の代表的な番組に育てたい
――そんな番組のMCを務めるのが、フットボールアワーの後藤輝基さんとホラン千秋さんというタッグです。お2人に決まった経緯を教えてください。
後藤さんは場を仕切る能力はもう申し分なく、いろんな番組でMCを担当されていますが、意外と今放送されている番組の中で「後藤さんがメインMCを張っている代表的な番組」というイメージがあまりなく、「後藤さんといえば『ニンチド調査ショー』」だと根付かせていきたいなと思って、オファーをさせていただきました。さらに、後藤さんが切れ味鋭いツッコミをキメていくその隣で、いろんな世代の出演者さんをバシバシさばいていくことができる人は誰だろうと考えたとき、ホランさんの名前が挙がりました。帯でニュース番組のキャスターをされているのでニンチドが高いだろうなと思っていたら本当に高かったので、この番組にうってつけだったなと。いざ特番をやってみたら、もう何年もこの2人でやってきたんじゃないかと思わされるほど相性バッチリでしたね。
――後藤さんからは「こんな番組にしていきたい」というご提案などあったのでしょうか。
懐かしいものを紹介するVTRを見ていると「ものすごく話したくなる」ということで、長めの尺で作っているVTRを最後まで流さずに一旦途中で止めて、スタジオ皆でVTRに出てきたものについて話すトークパートを挟むのはどうかとご提案いただいて、早速検討しています。実際にスタジオでは「あれ好きだったな」「あれってもうないの?」とVTRを見た皆さんがすごく楽しそうに盛り上がってくれたのがうれしかったです。
■ホラン千秋曰く「主戦場はバラエティ」
――ホランさんとはどんなお話をしましたか。
ホランさんは毎日キャスターのお仕事もされているお忙しい中で今回のオファーを快諾してくれたのですが、お話を聞くと「自分の主戦場はバラエティだ」とおっしゃっていました。だからこの番組では、ただの進行役ではなくバラエティ的なコメントや仕切りを僕ら制作陣も期待しているし、ホランさん自身も意欲的に取り組んでくれています。バラエティは自分が話したいことを自由に話せる場だからと言ってくれたホランさんが心から楽しめる番組にしたいと考えています。
■まずは「すべての世代に受け入れられる番組」を作る
――この番組はいわゆる「ファミリー層」をターゲットにしたゴールデンタイムのクイズバラエティ番組だと思うのですが、番組作りのポイントや難しい点を教えてください。
最近「ファミリーターゲット=若い世代たちに見てもらえる番組」と定義されることもあるのですが、若い世代に向けて番組を作ろうとすると上の世代が置いてけぼりになってしまう。まずは「すべての世代に受け入れられる番組」をちゃんと作った上で、若い世代にも響く企画を準備していくというバランスが大事なんですけど、そこが非常に難しいです。
――まずは「すべての世代」に向けて番組を作っていくんですね。
実家に帰ったり親戚の家に行ったりすると、おじいちゃんやおばあちゃん世代がテレビをチラチラ見ながら生活していて、上の世代にとってテレビは娯楽や情報源として大きな役割を果たしているものだと思うので、そこにそっぽを向かれるような内容は良くない。「テレビはみんなのもの、すべての世代のものだ」という感覚を大事にしています。
――世代によってテレビのポジションも変わりつつありますが、増田さんは今後どんな番組を作っていきたいですか。
映画館で見る映画にも、スマホで見るYouTubeにもないテレビだけの特性は、画面の前で会話できることだと思うんです。映画館では一般的に見ながら会話しないですし、スマホで見る動画やサブスクで見る作品も、個人で楽しむことが前提になっているものが多いですよね。その中でテレビは、誰かと食事をしながら、遊びながら見ることが許されたメディアで、自然と会話が生まれるという長所がある。もちろん、テレビにはリアルタイムでしか見られないという短所があって、そこは見逃し配信などで当然カバーしていかなければいけないのですが、改めてこの長所を伸ばしていきたい。思わず会話したくなるような番組をこれからも作っていきたいです。
――最後に番組の見どころを教えてください。
『ニンチド調査ショー』は、いろんなものを「繋ぐ」番組になっています。タレントさんのニンチドを街頭インタビューで調査することで一般人とタレントを繋いでいたり、過去の懐かしい映像を10代に見せて昔と今を繋いでいたり、思わず会話したくなるという意味では、視聴者同士の繋がりも生まれるのではないかなと。絶対に楽しんでいただける自信があるので、ぜひご覧ください。
1977年生まれ、三重県出身、早稲田大学大学院 理工学研究科 機械工学専攻修了後2003年にテレビ朝日入社。ADとして『愛のエプロン』『ロンドンハーツ』などを担当。ディレクターとして『シルシルミシル』などを担当し、チーフディレクターとして『志村&所の戦うお正月』、『ミュージックステーション』『関ジャム 完全燃SHOW』などを担当。特撮映画『Mr.マックスマン』の監督も務めた。