4月クールのドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ系)のイジワルな姉・美保子役での怪演が大きな話題を呼んだ女優、松本若菜。SNSで「クセになる」と広まった“松本劇場”のコメディ芝居には松本発のアドリブも多かったという。その舞台演劇的なアドリブ力のルーツを聞くと、挙がったのは『吉本新喜劇』や『ごっつええ感じ』といったお笑い番組だった――。
そんな松本が演じるシングルマザーの佐知子が、主演の佐々木蔵之介演じる空吉と“大人の恋”を繰り広げるのが、ABCテレビのスペシャルドラマ『ミヤコが京都にやって来た! ~ふたりの夏~』(30日24:24~、10月1日24:05~・2日24:25~に3夜連続で放送)。2021年1月期に放送された連続ドラマの続編である今作は、風光明媚な京都を舞台に12年ぶりに再会した父・空吉(佐々木)と娘・ミヤコ(藤野涼子)2人のぎこちなくも愛おしい共同生活を丹念に描く。
今回は今作の見どころや共演した佐々木の印象、松本のアドリブ力のルーツや今後の展望について話を聞いた。
――昨年1月クールに放送された連ドラ版の『ミヤコが京都にやって来た!』は「東京ドラマアウォード2021ローカル・ドラマ賞」を受賞するほど高い評価を受けましたが、佐知子役で続投となる松本さんはどんなところが今作の魅力だと感じますか。
父と娘のうまくいかないちぐはぐな物語の中に娘が国際ロマンス詐欺に遭ってしまったりという今っぽさが織り交ぜられていて、それが趣のある京都の街並みとうまくマッチしているんですよね。空吉さんはサスペンダーやカラフルな靴下を身にまとっていて、ミヤコちゃんも前作では髪の下の部分をブルーに染めていて……見ている人もオシャレな気持ちになれるドラマだと思います。ドラマアウォードを受賞されたと聞いたときは、私も参加できた作品だったのでとてもうれしかったです。
――今回の続編で印象的だったシーンを教えてください。
佐知子には漆の世界で生きていきたいという夢があるのですが、私自身、昔から細かい作業が好きなので初めて漆塗りを体験できてワクワクしました。物語の中で、佐知子はその夢に試されます。伝統工芸を続ける過程では何度もふるいにかけられると知って、よく「神は乗り越えられない試練を与えない」と言うけどあながち嘘じゃないのかなと。諦めるのは簡単だけど、その何倍苦労しても続けることを選ぶ人たちがいて、その人たちがいるからこそ伝統が受け継がれている。そんな日本の伝統工芸の素晴らしさを感じられるのも見どころの1つだと思います。
――主演の佐々木蔵之介さんの印象や撮影の裏話を教えてください。
前回はご挨拶くらいしかできなかったのですが、今回は同じシーンが多くしっかりとお話しできる時間がありました。不安だった京都弁のセリフを教えてくれたり「台本にはこう書いてあるけど、この言い方のほうが京都の女性っぽいと思うんだよね」と提案もしてくれて、より一層佐知子像が濃いものになったと思います。あと、蔵之介さんしか知らないような四条のグルメもこっそり教えていただきました。誰にも言っちゃダメと言われているので、内緒なのですが(笑)。
――蔵之介さんは、差し入れにもこだわってると伺ったことがあります。
今回特に印象的だったのは、笹でくるんだ生麩の夏らしいおまんじゅうです。もちもちしていて、すっごくおいしくて、暑い夏の京都でするっと喉に入って……!「よし頑張ろう」と思わせてくれる差し入れを、和菓子を中心にたくさんいただきました。撮影現場は差し入れでめちゃくちゃテンションが変わるんです(笑)。蔵之介さんは差し入れの王様だなと思いました!