ビジネスメールなどで「早々にご対応いただきありがとうございます」などの表現を見掛けることがよくあるでしょう。しかしいざ自分も使うとなると「目上の人に使っていいのか」「依頼に使っていいのか」などと疑問に思うことはないでしょうか。
本記事では「早々に」の読み方や意味、類語、英語表現を紹介。敬語や、目上の人に使用できるのかなどの、使い方の注意点も解説します。
「早々に」の意味と読み方とは
「早々に」の意味
「早々(そうそう)に」とは、「急いで物事を行う様子」あるいは「ある状態になった直後、すぐのとき」を表します。
「早々にご対応いただきありがとうございます」であれば「急いで対応してくれて感謝している」、「入社早々に」であれば「入社してすぐ」のことです。
「早々」の読み方は「そうそう」のほか「はやばや」も
「早々」と書いてある場合には「そうそう」と「はやばや」の2つの読み方ができます。
どちらも「急いで物事を行う様子」という意味は共通していますが、それに加え「そうそう」の場合は前述のように「~の直後に」という意味を表すことができます。
一方「はやばや」の場合は「疲れているので早々と寝る」「早々と閉店した」など「通常よりとても早い時期に物事を行う様子」という意味もあります。
また「そうそう」は「早々『に』」、「はやばや」は「早々『と』」のように、後に続く助詞が異なります。使い方とニュアンスが少し異なっているため、混同しないようにしましょう。
手紙でよく使う「草々」との違い
同じ「そうそう」という読み方で、手紙において「前略」などとセットで使う結語の「草々」があります。最近では「草々」の代わりに「早々」を使う人もいるようです。
「草々」とは「急いで手紙を走り書きしたことを詫びる」という意味を表しています。手紙においては「草々」の方が一般的なので、「早々」ではなく「草々」を使うのが無難でしょう。
「早々に」のビジネスシーンでの使い方と例文 - 自分の行動・相手へのお礼に
「急いで物事を行う様子」あるいは「ある状態になった直後、すぐのとき」を表す「早々に」。
ビジネスシーンで「早々に」を使う場合には、主に「自分自身が急いで行動する」ということを伝える、あるいは「他人がすぐに行動してくれたことに感謝する」というときに使用することが多いでしょう。
例えば、重要な案件や差し迫った問題に対して「早々に対応いたします」と答えれば、自分も危機感を持っていることが相手に伝わります。
また、早く行動してくれた相手に「早々に対応いただきましてありがとうございます」と返信することで、相手に対する感謝の気持ちをより伝えられるでしょう。
例文は以下です。
・(自分がすることに対し)早々に対応いたします
・お忙しい中、早々にご対応いただきありがとうございます
・海水浴場が混んでいたので、われわれは早々に退散することにした
・出社早々に申し訳ないのだけれど、こちらの問い合わせ対応をお願いできる?
・入社早々、彼は責任ある仕事を任されることになった
・開店早々、店の前には長蛇の列ができていた
目上の人に「早々に」を使う際の注意点
「早々に」は「急いでする」というニュアンスがあるため、目上の人への依頼には使わないようにしましょう。「早々に対応願います」などとしてしまうと、せかしていることなってしまい失礼にあたるからです。
目上の人に対して使う場合は、「早々にご返答いただきありがとうございます」など、敬語表現とともにお礼の表現としてのみ使用するといいでしょう。
また、「本件に関しては帰社次第、早々に対応いたします」などのように、自分の行動を目上の相手に対して示す際にも使用可能です。
「早々に」の敬語とは
なお「早々に」自体に敬語は無いので、敬語にしたいときは先ほども少し触れたように、前後の言葉を「対応いたします」「ご対応いただき」「ご対応くださり」などのように敬語にします。
「早々に」の類語・言い換え表現
「早々に」の類語は以下です。それぞれの意味を覚えて使いこなせるようにしましょう。
迅速(じんそく)に
「迅速」の意味は「物事の進捗具合や行動などがとても速いことやその様子」です。つまり「迅速に」は素早く行動するという意味です。
早急(さっきゅう・そうきゅう)に
「早急に」は、「非常に急であり、急がなくてはならない様子」を表します。ビジネスシーンでは、すぐに対処が必要なものや、今すぐにやってもらいたい、優先順位の高い仕事などを依頼するときに使うといいでしょう。
至急(しきゅう)
「至急」とは、「非常に急ぐこと、大急ぎであること」を表します。「至急対応してください」など、至急だけでも緊急の要件であることを示せますが、さらに早い対応が必要であることを強調したい場合は「大至急」とすることで意味を強められるでしょう。
即刻(そっこく)
「即刻」とは、「今すぐに、その時すぐに」という意味で「即時」も同じ意味です。例えば「即刻退去せよ」と言われた場合は、「他のことをやめ、今すぐに出ていけ」ということになるでしょう。
直(ただ)ちに
「直ちに」は、「ある出来事やものから間を置いていない様子」を指します。「早々に」の類語としては「直ちに出勤する」など時間的な間を置かずに行動することを表しますが、「家の玄関は直ちに道路に面している」「そのミスは直ちに失注につながった」など、物と物が直接接していることにも使えます。
速やか
「速やか」とは、「物事が速く進むことや、時間を置かずに行動を起こす様子」を表します。例えば「就業後速やかに帰宅する」という場合は、仕事が終わった後に寄り道をしたりダラダラしたりせず、できるだけ早く帰途につくことを示します。
いち早く
「いち早く」とは「素早く、真っ先に」という意味の言葉で、「逸早く」とも書きます。「いち早く逃げ出した」なら、「誰よりも早く、真っ先に逃げ出した」ということです。ただし、「一番に早く」との連想から「一早く」と書くのは誤りなので気をつけましょう。
取り急ぎ
「取り急ぎ」は、「急ぎ」を強めた言葉で、「取りあえず急いで」の意味です。「取り急ぎご連絡申し上げます」などの形で、要件だけを急いで伝える手紙やメールで使用されることの多い表現です。
「早々に」の英語表現
英語で「早々に」を表す表現はいくつかあります。
- quick
- promptly
- as soon as ~
- just after ~
- immediately after ~
例文
・He was quick to answer my questions.
(彼は私の質問に対し、早々に回答してくれた)
・Thank you for responding me promptly.
(早々に対応いただきありがとうございます)
・As soon as we established the company, we realized that we had been naive in our outlook.
(会社を設立して早々に、われわれは見通しが甘かったことに気がついた)
・Tom left just after breakfast.
(トムは朝食後、早々に出掛けた)
・She came home immediately after work.
(仕事を終えると彼女は早々に家へ帰った)
なお「早々と(はやばやと)」の意味では、「early」を使って「I went to bed early yesterday.(昨日は早々と寝た)」などと表現することができるでしょう。
「早々に」行動を起こせる人になろう
「急いで物事を行う様子」あるいは「ある状態になった直後、すぐのとき」を表す「早々に」。ビジネスシーンで使われがちな「早々にありがとうございます」という表現は「早く対応してくれてありがとう」という意味になるため、特に相手が素早く行動してくれたときや、忙しい様子が想像されるときに使うと効果的です。
メールの返信や対応を「早々に」できるビジネスパーソンになりましょう。