多くの人にとって、いつかは直面しなければならない「相続問題」。遺産というと土地や建物などの不動産、預貯金をイメージしますが、実際はどのようなものが多く相続されているのでしょうか。そうした遺産を相続するにあたり、大変だったことも知っておきたいものです。

そこで今回はマイナビニュース会員310人に「相続」についてアンケート。相続して最も大変だったことについて、具体的に聞いてみました。

  • これまでに「相続」をされたことはありますか?

Q.これまでに「相続」をされたことはありますか?

・はい……42.9%
・いいえ……57.1%

今回、アンケートを行ったマイナビニュース会員310人のうち、「相続」をしたことがある人は42.9%でした。約4割超と、相続は身近な問題であることがわかります。次は、どのようなものを相続したのか、具体的に聞いてみました。

Q.どのようなものを相続されましたか?

1位 現金、預貯金……46.1%
2位 不動産(建物、店舗、土地、田畑、山林など)……30.6%
3位 動産(車、宝石、家財など)……11.9%
4位 負債(借金、借入金、未払い分の税金など)……5.0%
5位 有価証券(株式、投資信託、社債など)……4.1%
6位 権利(著作権・特許権・損害賠償請求権など)……2.3%

最も多かった回答は「現金、預貯金」でした。次いで、土地や建物などの「不動産」、車や宝石といった「動産」となっています。4位にランクインしていたのは、できれば相続したくない「負債」でした。

相続というと、手続きの煩雑さや遺産をめぐっての争いなどをイメージしてしまう人も少なくないはず。そこで実際に相続してみて、最も大変だったことを聞いてみました。

Q.相続するのが一番大変だったものは何ですか? 具体的に教えてください

農地、畑、山などの土地

  • 「祖父の田舎の土地を親族でどういうふうに分けるか」(男性/45歳/兵庫県)

  • 「不動産の名義変更。特に親族の同意」(男性/64歳/北海道)

  • 「不動産。司法書士に登記手続きを依頼するなど手間取った」(男性/57歳/神奈川県)

  • 「不動産。親父が先に亡くなって祖父が亡くなった時に1つ飛んだ相続の大変さ」(男性/50歳/広島県)

  • 「農地。大した資産価値もないのに維持費が高い」(男性/51歳/京都府)

相続したもので一番多かった「不動産」。それだけに不動産が相続で大変だったという声が多く集まりました。相続するにあたり、煩雑な手続きを行い、分配について親族で何度も話し合いをしたのに、資産価値を調べたらそれほど価値がなかったとしたらがっかりですね。

戸籍謄本関連

「戸籍謄本を揃えるのが面倒だった。出身地から何度か引越しして違う街にいたりしてたので、その街その街の戸籍謄本を申請しなければならなかった」(男性/50歳/北海道)

  • 「全て。父から相続したが、何度も本籍変更しており、謄本が大変」(男性/56歳/北海道)

  • 「親の戸籍を遡り入手しなければならず、苦労した。加えて不動産の確定に時間が掛かった」(男性/58歳/神奈川県)

  • 「戸籍謄本等の書類を準備をするのが大変だった」(男性/60歳/福岡県)

相続には、書類を揃えることが必要になりますが、その中でも特に大変だったという声が多かったのが「戸籍謄本」でした。子が親の遺産を相続する場合、亡くなった親が出生した時からの戸籍謄本が必要となります。意外に親が幼少期に住んでいた街や本籍を知らない子も多いようですよ。

税金が高い

  • 「相続税が思っていた以上にかかった」(男性/46歳/兵庫県)

  • 「山の相続があり、ラッキーと思ったが固定資産税の支払いが大変であった」(男性/34歳/徳島県)

  • 「兄弟はいないので相続がスムーズにできるのがうれしいが、相続税の額がすごかった」(男性/34歳/徳島県)

相続というと、「相続税が大変」というイメージを持つ人も多いですが、今回のアンケートでも、相続税の額に驚いたというコメントも多くありました。土地など不動産の場合、固定資産税も毎年払わなければならず、相続と税金は切り離せないようです。

時間がかかる

  • 「一連の手続きが面倒で一年位かかった」(男性/44歳/神奈川県)

  • 「土地の名義変更が家族が多いので、同意を得て届け出ることに手間取った」(男性/52歳/大阪府)

  • 「預貯金の手続きも面倒だが、不動産は登記など手間と費用と時間がかかって大変だった」(男性/59歳/奈良県)

前述した親の戸籍謄本の取得だけでなく、相続には手間と時間がかかるという声が多数。特に不動産の場合は相続によって所有者が変わる「相続登記」の手続きが大変だったという声が目立ちました。

弁護士、税理士などのお金がかかる

  • 「相続整理のために、税理士と弁護士の費用が多くなった」(男性/43歳/大阪府)

  • 「一人ではできない。専門家に頼むと高額な費用が掛かる」(男性/59歳/静岡県)

  • 「土地と家屋。司法書士に依頼せずに自分で相続の手続きを行った」(男性/42歳/埼玉県)

相続にあたり様々な手続きを踏む必要がありますが、専門知識が必要なこともあるため、税理士や弁護士、司法書士など、専門家の手を借りることも時として必要となります。遺産をめぐって親族間トラブルが発生した時などなおさら。そのための費用が想定外だったという声も多くありました。

隠れた負債があった

  • 「不動産がありましたが、抵当設定された借金がたくさんあり、また隠れ借金も予想されたので、相続放棄をしました」(男性/58歳/福島県)

  • 「父の会社が倒産して数年後に亡くなったが、まだ借金が大量に残っていて、裁判所に申請したり大変だった」(女性/49歳/北海道)

相続したものランキングで4位に入っていた「負債」。親が亡くなって初めて、大変な借金を抱えていたことや、完済していないローンがあったことを知った人も少なくありませんでした。

まとめ

相続で大変だったものは「不動産などの土地」という声が多数でした。揃える書類も多く、相続する親戚が多いと話し合いや説得の時間も必要なため、手続きが完了するまで時間がかかったという人がほとんど。相続してホッとしたのもつかの間、すぐに相続税や固定資産税の支払いがやってきます。専門家からのフォローが必要なことも多く、相続には時間に加え、お金が必要であることもわかりました。複雑なフローを乗り切るための気力も必須でしょう。

まだ相続を経験していない人は、今のうちから少しずつ、相続に関する準備を進めておいてもいいかもしれません。特に多くの人が苦心したという親の「戸籍謄本」の取得に備え、親が幼少期に住んでいた街や引越しについて聞いてみてはいかがでしょうか。

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調査時期: 2022年7月26~27日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 310人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
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