1年のうちでもっとも長く、宿題量も多い夏休み。いよいよ終盤にさしかかり、その進捗具合にやきもきされている親御さんもいることと思います。宿題や勉強に対しての子どものやる気を引き出すには、どう声掛けすればいいのでしょうか。

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今回は、小学生の保護者より寄せられたお悩みに対して、やる気スイッチグループが運営する個別指導塾「スクールIE」で多くの生徒を指導し、保護者の悩み相談にも答えてきた経験を持ち、自身も2児の父である石井雄一さんに答えてもらいました。


はじめに

お子さんの宿題への取り組み方、進捗についてなどさまざまなお悩みを頂戴しました。一緒に過ごす時間が長くなる夏休みは、その様子に親御さんも心配が募りやすいですよね。生活や学習に対して気を配っているからこそと思います。

その中で、親御さんご自身は、「実際に宿題が少しでも進んだことを確認してあげていますか? 」

この確認の必要性は、どのお悩みにも共通する大切なポイントになるため、最初に質問をさせていただきました。それではお悩みごとにお話ししていきましょう。

大事なのは「やったかどうか」の確認

~お悩み1~計画的に夏休みの宿題を終わらせてほしいのですが、テレビや遊びばかり優先で、毎日声をかけてもなかなか手をつけません。どう声がけすれば良いでしょうか。

テレビや遊びはお子さんにとって楽しみなものですよね。もともと勉強が大好きという子どもは多くはありません。ですので、宿題に取り組んだ時に親御さんがどのような声がけをするかが重要であり、それによってお子さんの意識が変わります。

一方で、やりがちなのが「やりなさい」とだけ伝えて、「やったかどうか」の確認をしないことです。それでは、お子さんにとって楽しみなテレビや遊びを我慢して宿題をやったとしても、「せっかくやったのに、なんだよ」と反発心が大きくなり逆効果となってしまいます。

また、宿題を終わらせるための計画は、親子で一致していますか? お子さん自身が考えている計画と、保護者が理想とする計画に乖離があるケースはよくあります。そのため、計画を一緒に立てることをおすすめします。

そのうえで、一日のはじめに「(その日)やった宿題を見せてね」「できたら、これで一緒に遊ぼうね」とあらかじ約束をし、計画通りに実施できたら、たくさん褒めて、さらに「嬉しい」というご自身の気持ちをぜひ伝えてください。恥ずかしさを感じる年齢の子であっても、大好きなお父さんお母さんに喜んでもらえることは、お子さんにとってモチベーションになるためです。

褒める・伝える・イメージさせる

~お悩み2~自由研究や絵日記など、自分の興味がある宿題は何も言わなくても取り組むのですが、算数など苦手な宿題は一切やろうとしません。親としては万遍なく進めてほしいと思っています。

お子さんにどのように声がけをしていますか? お子さんからすれば、自由研究や絵日記も「宿題をやったこと」になりますよね。率先して取り組めていること、素晴らしいと思います。まずはそのことを認めて、褒めてあげましょう。そのうえで、苦手な算数などの宿題も同じようにやってくれたら、「とても嬉しい」とご自身の気持ちを伝えてあげてください。

また、苦手な宿題を残さないためには、「苦手なものが後に残ったらどうかな? 」「算数などを先に終わらせられると、自由研究にたくさん時間を使えそうじゃない? 」というように、お子さん自身がイメージし気付けるよう誘導してあげてもいいですね。

「なぜ」「どんな」をきちんと伝える

~お悩み3~せっかくの夏休みなので、サマースクールなどでいろいろな体験をしてほしいと子どもに勧めてみたのですが、どれも興味を示しません。このままでは宿題や公園遊び以外は何もしない夏休みになってしまいそうです。どうすればいろんなことに興味を持ってくれるでしょうか。

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まずはお子さんが、今どんなことに興味を持っているかに耳を傾けてみてください。それを聞いたうえで、勧めてみたいことと関連性があれば、その点を詳しく話してあげましょう。もしお子さんの興味と違うものを勧めてみたい場合には、できるだけ動画や写真を見せてあげて、その魅力を親御さんがしっかり語れることが大事です。

というのも、ご自身に置き換えてイメージしてみていただきたいのですが、初めての場所に行く時、初めての経験をする時、情報を集めませんか? お子さんにとって初めての挑戦を促す際、同様以上の情報を示せているでしょうか。自分で調べることが難しい年齢の子の場合には、なおさらです。

また、何事にも積極的に行動してくれると、お父さんお母さんが嬉しい気持ちになれることを、ぜひ伝えてあげてください。一歩踏み出す力になるでしょう。


どのお悩みにも共通する重要ポイントは、「なぜ宿題/体験をしてほしいのか」という理由を親御さんが持っていて、それをお子さんに伝えられているか、という点です。

そして、お子さんが大好きではない勉強/体験だとしたら、それらを少しでも「やった」こと(検討したこと)を、きちんと確認して、褒めてあげてください。

大人の基準値は高くなりがちです。どんなに小さなことでも、見つけて褒めてあげましょう。それがお子さんの可能性を拡げることにつながります。

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