キリンビールは2日、クラフトビールの新商品『SPRING VALLEY シルクエール<白>』を発表した。全国の量販店で9月13日に発売する。350ml缶は273円、500ml缶は363円。どのような特徴のビールになっているのだろうか?都内で開催のメディア向け発表会で早速、試飲してきた。

  • キリンビールは、クラフトビール「SPRING VALLEY シルクエール<白>」を発表

■どんな味に?商品の概要

キリンビールでは、これまでクラフトビールブランドSPRING VALLEYにおいて主力商品『SPRING VALLEY 豊潤<496>』を展開してきた。消費者からは「このおいしさは別格」「ビールの概念を変えてくれた」などの好意的な声が寄せられているという。

  • 『SPRING VALLEY 豊潤<496>』(左)と『SPRING VALLEY シルクエール<白>』(右)

そこで同社では次なる商品として、豊潤<496>や一般的なピルスナータイプのビールとは味わいが大きく異なる”白ビール”の開発に着手。完成した新商品の『SPRING VALLEY シルクエール<白>』を、ブランドの2本目の柱として成長させたい考えだ。

  • 豊潤<496>(左)に対して、シルクエール<白>(右)は小麦麦芽を由来とした淡い色。アルコール分は5.5%となっている

  • 2つのクラフトビールの比較

会場で実際に試飲する機会を得た。缶を開けると華やかな香り。グラスに注ぎ、クルクルとスワリングしてみるとフルーティで爽やかな匂いが立ち上がる。口に含むと、小麦由来のコクがありながらも飲みやすい。豊潤<496>がズッシリと深く重く堂々とした味わいなのに対して、シルクエール<白>は口当たりもまろやかで軽さがある。なるほど初めて白ビールを飲む人にも美味しく、またビール好きにも満足感が得られる、そんな味わいに感じた。これなら料理との相性も良さそうだ。

  • 白ビールの爽やかさを表現したパッケージも印象的

今後、様々な販売チャンネルで展開する。既述の通り350ml缶は273円、500ml缶は363円で量販店を通じて9月13日より発売。このほかキリン ホームタップ向けには1Lペットボトルサイズで、キリンオンラインショップDRINXでは330mlの瓶タイプで9月15日より発売し、Tap Marchéに向けては3Lペットボトルで、スプリングバレーブルワリー直営店に向けては15L樽タイプを8月8日より発売する。

  • 今後は2本柱として展開するSPRING VALLEYブランド

■白ワインのようなビールに

発表会に登壇したキリンビール マスターブリュワーの田山智広氏は「白ビールは初めてというお客さんにも『これが白ビールなんだね』と納得していただけるような外観と味わいに徹底的にこだわりました」と話す。具体的には、無濾過による”にごり”と小麦麦芽由来の淡い液色を維持する技術を開発。またスッと飲みやすい飲み口になるように意識してアレンジを重ねたという。

  • キリンビール マスターブリュワーの田山智広氏(左)と、同 事業創造部部長の佐藤勇氏(右)

「ひとくちに白ビールと言っても、南ドイツ発祥のヴァイツェン、ベルギーのヒューガルデンなど、様々なタイプがあります。我々が目指したのは、小麦をたくさん使った特徴のある白ビールです。淡くてクラウディな、まさに白ワインのようなビールになりました。芳しい香りを出すため、ニュージーランド産の希少ホップであるネルソンソーヴィンホップも一部使用しております。SPRING VALLEYでは今後も、様々な新しいビールの美味しさを生み出して、お客様の日常をもっと豊かにしていくことに貢献します」(田山氏)

  • SPRING VALLEYの白ビールについて

また、キリンビール 事業創造部部長の佐藤勇氏は販売戦略について説明した。ビール市場について、佐藤氏は「コロナが明けても縮小傾向は続いていくのではないか」と分析する。そのなかでキリンビールとしては、既存の基幹ブランドをしっかり活性化させつつも、SPRING VALLEY、ホームタップ、Tap Marchéなどの新しい取り組みに継続的に投資を集中させて、持続的な成長を目指していくと説明する。

  • キリンビールの事業戦略

ブルワリー各社と資本業務提携を結び、また直営店や飲食店を通じて消費拡大を図るなど、クラフトビールの市場活性化に貢献してきた同社。様々な取り組みの結果、国内のクラフトビール販売規模は2021年に前年同期比で約1.6倍まで増加しており(キリン調べ)、その8割をSPRING VALLEY 豊潤<496>が占めたという。

  • クラフトビール事業への取り組み

  • SPRING VALLEY 豊潤<496>の成果

「クラフトビールは、まだまだ成長の機会があると考えています。今後、限られた人だけでなく、全国の人に手にとってもらえる存在にしていきたい」と佐藤氏。広告、店頭活動の徹底、大規模サンプリングなどを通じてブランド認知を拡大し、飲用体験の向上を目指していく、と意欲的に語る。

  • 中長期的な市場伸長の実現へ

最後は2022年の販売計画について。シルクエール<白>(缶)では約50万ケース、SPRING VALLEYブランド(缶)全体では約210万ケースを目標にしている。また、ビール類市場におけるクラフトビール市場の構成比は2021年時点では約1.5%だが、これを5年後の2027年には4%超にしていきたい考え。佐藤氏は「そのためにも今後、SPRING VALLEYブランドをさらに大きく成長させ、市場をリードしていきます」と力強く結んだ。

  • 販売計画。まずはシルクエール<白>(缶)で約50万ケース(6,500KL)を目指す