帝国データバンクは7月30日、「豆腐製造業界の現状と今後の見通し」に関する調査結果を発表した。それによると、「街の豆腐店」の経営に、大豆などの原材料価格高騰が大きな影響を及ぼしているという。

  • 「街の豆腐店」市場規模推移

    「街の豆腐店」市場規模推移

国内の豆腐製造・販売業者を対象に調査した結果、2021年度の、「街の豆腐店」市場(事業者売上高ベース)は約3,000億円規模に到達。外食向けなどの販売量は低調に推移した一方で、巣ごもりによる自炊機会の増加から家庭向けが好調など、市場は16年度をピークに5年連続で減少を続けるも、減少ペースはコロナ禍の20年度以降は小幅にとどまった。

他方、損益面では苦戦が続いている。2021年度の損益が判明した豆腐店のうち、赤字の割合は42%に達し、前年度(47%)に続き2年連続で4割台の赤字に。主原料となる大豆、特に米国・カナダ産大豆の仕入価格が高騰したことで調達コストが大幅に膨らんだ一方で、スーパー向けなどでは販売価格に十分な転嫁ができず、赤字に転落するといった事例も散見された。

  • 「豆腐1丁」当たり 価格・原価推移

    「豆腐1丁」当たり 価格・原価推移

大豆の価格が急上昇している要因としては、国産大豆は近年の収穫量減少が影響しているほか、輸入大豆ではウクライナ危機に伴う需給逼迫に加え、中国などの大豆輸入量増加で国際市況は高止まりが続くなどの影響に加え、急速に進んだ円安も重なって価格が押し上げられている。

帝国データバンクが推計した1kg当たりの外国産大豆価格は、2022年は15年から75%上昇、前年からも3割増加した。一方、豆腐の平均単価はほぼ変化がなく、22年も豆腐1丁(300g)あたり平均60~70円と、15年の水準からほぼ横ばいで推移。大豆価格の急激な上昇を販売価格に転嫁できない状況が明らかとなった。