芸能人の投資トラブルが話題になっています。このような話を目にすると、投資に対するネガティブなイメージを抱いてしまいますが、どうすれば身を守ることができるのでしょうか。今回は投資詐欺を皮切りに、投資にあまり馴染みのない方に向けて、投資を安全に始めるために気を付けたいポイントについてお話ししようと思います。

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■投資詐欺の手法とは

まず初めに、よくある投資詐欺の手法のうち、特に注意したい2点について見ていきましょう。

(1)登録していない業者に注意

投資トラブルに関わってしまう場合、芸能人の事例のように知人からの紹介か、電話勧誘などが発端になるケースが多いのではないでしょうか。取引個人や名の知れない組織と金融取引を行うことは危険です。

金融商品の取引行為を事業としてする場合、金融庁への届け出が必要になります。登録されている業者は公開されていますので、投資の話が持ち掛けられた場合は、ちゃんと登録された業者であるかを確認することで、未然に怪しい話に関わることを防ぐことができます。

また未上場株や社債など、特別な商品の取引ができるといった持ち掛けをされることもあるかもしれません。しかし、特定の商品が一部の人のみに提供されるということは一般的になく、金融取引業者を通して広く販売されるはずです。誰が何を持ち掛けてくるかという両面から注意をすると良いでしょう。

(2)元本保証や必ず儲かるといった誘い文句には注意が必要

投資詐欺では、「資金の元本は保証される」、「必ず儲かる」といった形で勧誘されるケースもあると思います。しかし、投資において絶対はありません。

それを踏まえた上で、甘い誘いに惑わされないためにも、一般的な金融資産ごとのリスクとリターンについて把握することが重要です。1つ間違えやすい点を補足しますと、リスクとは、資産の変動のことを指します。「損失」と意味を捉えがちですが、リスクがあるというのは損失する可能性があるという意味ではなく、変動する可能性があるという意味なので、そこは留意してください。

資産運用において、リスクとリターンは隣りあわせです。つまり、高いリターンがほしいのであれば、それに見合うリスクを負う必要があります。ローリスク(ノーリスク)で高いリターンを得ることはできないのです。投資詐欺などでは、「元本が保証されている上に絶対に儲かる」といった宣伝文句が利用されることもあると思いますが、そもそもそのような商品は存在しません。金融商品取引業者は、その点も注意しながら日々の広告を行っています。

リスク・リターンのイメージをするために、具体的な金融商品を例に挙げて見てみましょう。

元本が保証されている預金はいわずもがなですが、そのほかでは債券、投資信託、株式といった順にリスクが高く、それに応じて高いリターンが得られる商品と考えられます。

  • 資産運用におけるリスク・リターンのイメージ図※筆者作成

例えば株式は金融商品の中ではリスクが高い方ですが、年間の期待されるリターンはだいたい4~6%とされています。中には短期間で数十%、あるいはテンバガーと言われるような急成長する銘柄もありますが、そのような事例は数ある中でのほんの一握りの事象です。

上記のように、一般的なリターンの相場観を知って多くことも身を守ることにつながるでしょう。

■自分の身の丈に合う投資を

投資における、リスク・リターンについて見てきましたが、ここではその話と合わせて安全に投資を開始するための金額の考え方について見ていきます。

身の丈に合うというのは定義するのが難しいですが、1つの例として、精神的に耐えられる額かという考え方を筆者は提案します。

当たり前ですが、投資をする金額が増えれば増えるほど、1日あたりに変動する金額も大きくなります。例えば1日で投資資産が1%減少した場合、投資額が10万円なら1,000円の下落ですが、100万円なら1万円、500万円なら5万円と、マイナスの額はどんどん大きくなっていきます。

投資を始めたところで、気になって日々の生活に支障が出てしまっては本末転倒です。ご自身の日々の生活と照らし合わせて、どれくらいの金額なら心配にならないかをまずは考えましょう。投資を始めようとすると、まずはお金を用意するところから考えがちですが、「変動する際にいくらなら生活に支障がないだろうか?」という視点で考えると、また違った視点で投資を始める準備を進められるのではないでしょうか。

昨今では少額での取引やポイント投資などが普及しており、小さな額から投資できる環境が整ってきています。これは初めから投資に大きな額を捻出できない方への解決策でありますが、それと同時に、金額の変動に対しても小さく始めることで慣れることができるといったメリットがあります。自分にあった投資金額のイメージがついたら、それに合ったサービスを探してみると良いでしょう。

投資業界はたびたび「詐欺」の話が話題となり、ネガティブなイメージを持たれやすいですが、正しい金融・投資の知識を広めるための情報発信もされています。投資初心者の方こそ、間違った事例や情報に惑わされずに、適切なやり方で投資と向き合っていきましょう。