――ドンブラザーズのみなさんはチームワークがとてもいい印象です。劇中では素面の5人がほとんど揃わないのに対して、実際の役者さん同士はよくお会いしているのでしょうか。

柊太朗の翼以外は、互いの正体がバレているので、同じシーンで一緒にいることが多くなりましたし、同じ場所じゃなくてもその日に撮影が入っていれば、男メンバーの楽屋が一緒ですから、空き時間によく話していることが多いです。1日の撮影が終わったら、柊太朗も一緒にみんなでご飯を食べに行ったり、遊びにいったりもしますね。

――みなさん揃って遊びに行ったりするのですか。

幸平が「サウナ行こうぜ!」ってよく誘ってきます。僕もいっしょに行くことがありますが、なんか今日は面倒だからいいやって思うと、すぐ断ります(笑)。行きたいなと思えば行くし、行かないときは行かないという関係。決して、行きたくないのに無理して行くという選択肢はないんです。そこまではお互い気を遣わない、心地よい関係性です。幸平たちと僕とではかなりの年齢差なんですけど、年上だからってヘンな気遣いもされず、普通に接してくれています。今のこういう雰囲気がとてもステキだと思います。

――つよしがものすごく愛している妻・みほは、イヌブラザー/犬塚翼(演:柊太朗)の愛する人・夏美と同一人物ではないか?という描写が散見されますが、この謎はこれからどのように解明されていくのでしょう。

先のことはぜんぜん知らされていないので何とも言えません……、現在のところ、みほと夏美だと家庭に入っているぶん、みほの要素のほうが強いですよね。でも、今もなお翼は夏美を追いかけている。今後、両者がどういうことになっていくのか、今はただ想像するしかありません。

――鈴木さんとしては「夏美を思う翼」のことをどんな風に思っているのか、聞かせてください。

愛する人に会いたいのに会えない、辛いのはどう考えても翼のほうですよね。最近、だんだん翼と夏美の過去が描かれるようになって、最初のころよりも夏美に対する愛の大きさがふくらんできているはずなんです。つよしとみほちゃん夫婦が今幸せにやっているだけに、これから翼と夏美の関係がどう描かれていくのか、すごく気になります。

――驚いたときや興奮したときに見せるつよしのリアクションがキレキレで、確実に笑いを取りに行っている頼もしさがあります。コメディ演技についてはどんなお考えをお持ちですか。

僕が関西の人間だからというのもあるんですけど、笑いについてはやや自分の中でハードルを高めに設定している気がします。動きをオーバーにしたり、変顔を派手にやったりすると面白く見えるけど、やりすぎると人間としてヘンですし、リアルな部分を残しておかなければと思うんです。「こいついま、笑かそうと頑張ってるぞ」なんて見透かされるといけませんから、どこまで動きを見せればいいのか、毎回バランスに気を遣いながらやっています。

――つよしの言動がリアルだからこそ、突飛な状況でうまい具合に笑いが起こるんじゃないかと思います。頭に塩を乗せたままアバターチェンジする回(ドン11話「イヌのかくらん」)みたいに、シチューエションの面白さで笑わせるところもいいですね。

ああいうのはシンプルに面白いですよね。あれってすごく頭が重そうに見えるんですけど、実は本物の塩は周辺だけで、中空にして軽く作られているんです。それを、いかにも重そうに演技をするのが楽しかったです。あれってよく考えたら、アバターチェンジして戦闘エリアに転送されたとき、なんで頭の上の塩まで一緒に転送されたんだって話でしょう。しかもあの塩のおかげで、つよしの正体がバレるという(笑)。

――いろいろハジケたことをやりすぎて、この先つよしが平凡なサラリーマンに戻れるのかどうか、心配ではあります。

みほちゃんを傷つけるやつは許さない~!という欲望が爆発してヒトツ鬼になり、倒されて元には戻りましたけど、大元の原因が解決したわけじゃないですからね。これからもみほちゃんと一緒に暮らしている以上、またみほちゃんに何かあったら、つよしは再びヒトツ鬼になってしまうかもしれません(笑)。

――みほを演じているときの新田桃子さんとは、夫婦でのお芝居についてどんなお話をされているのですか。

あまり多くはお話ししませんけれど、ときどきシーンごとに1時間くらい、簡単な打ち合わせをすることがあります。こんな芝居をしてほしいという要望ではなく、この場面だと「みほはこんな風に思っている」それに対して「つよしはこう思っている」みたいな、シーンとしての演技の方向性を示し合わせるとかは、きちんと行っています。

――つよしはタロウ、猿原真一(サルブラザー/演:別府由来)、鬼頭はるか(オニシスター/演:志田こはく)とも関わりがある上に、まったくの別行動を取っている逃亡者の翼ともわりと親しく接していて、ドンブラザーズの要的なポジションでもあるんですね。仲間のみなさんとのやりとりについてはどんな思いがありますか。

僕が言うのも何ですが、みんなの芝居がすごくうまくなってきて、人の成長する過程がこんな間近で見られるというのは、とても素敵な体験だなと思っています。特にすごいのがこはくちゃんで、誰に対してもまったく物怖じしないんです。この芝居はこういう風にやりたいです!ってドンと主張することが多くて、あのメンタルの強さは素直に尊敬しています。いいチームができてきたこともあり、最初は単発で芝居をしていたところが「ここでそう来るのなら、俺はこういう風に絡んでみるね」とか、かけあいの面白さが出せるようになってきました。これからも、みんなと一緒に芝居をするのが楽しみです。

――いよいよ映画『暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE 新・初恋ヒーロー』が公開されます。ひと言で、どんな映画になっているのでしょう。

映画の中で、ドンブラザーズが役者として映画に出演する、メタ的要素の入ったコメディです。ストーリーの妙味で笑わせる喜劇じゃなくて、ひたすらバカバカしい部分を打ち出したコメディ(笑)。テレビシリーズでいろいろ張り巡らせている伏線とか、ストーリー的なつながりはありません。今この作品が面白ければいい、という内容です。例えて言うなら、ジェットコースターみたいな映画ですね。乗る前は不安だけど、乗ってしまえばめっちゃ楽しいし、降りた後はフラフラしてしばらく余韻が残るという(笑)。

――映画の中で、つよしの存在感を示したといえる部分があれば、ぜひ教えてください。

タロウやはるかたち、メインのキャストがいる後ろで、つよし・翼・真一がワチャワチャしてほしいと言われたので、3人で「どうしようか」と簡単に打ち合わせして、アドリブでいろいろやってみた芝居があるんです。これがスタッフさんたちの中でいちばんウケたんじゃないかってくらい大爆笑をもらったので、僕ら3人的にいちばん手ごたえを感じています。

しかし、観てもらいたいのはメインの人たちだから、後ろにいる僕らは音量を下げられ、途中で切られている可能性もありますので、映画館で観てもわからない可能性があるんですよね……。ただ現場では最高にウケた、それだけなんです。僕ら3人はそれぞれのキャラのことがわかっているから、こいつならこんなこと言うなってすぐ察知して、スピード感をもってかけあいができたし、そういうやりとりが上手くハマってくれたんだと思っています。いったい、あのシーンがどこまで使われて残っているのか、僕も映画を観て確かめたいところです(笑)。

――テレビシリーズも後半戦に入りますが、鈴木さんとしては今後つよしをどんな風に演じていきたいですか?

イキリだったり、闇堕ちだったり、これまでけっこういろいろなキャラを披露させてもらったつよしですけれど、今後もチャンスさえあれば、鈴木としてはいろいろな芝居をもっともっとお見せできたらいいなと思います。正直、つよしと翼どちらも幸せな結末を迎えてほしいんですけど、なんとなくの予感ですが、どちらかが不幸になるんじゃないかな……。ぜひ、つよしとみほちゃんが幸せな夫婦のままで最終回を迎えてほしいと願っています。今度、井上さんにお酒でも持って行ってお願いしてみようかな(笑)。