女優の吉高由里子が、2023年1月期の新ドラマ『星降る夜に』(毎週火曜21:00~)でテレビ朝日のドラマ初主演を務めることが23日に明らかになった。俳優の北村匠海とタッグを組み、脚本は大石静氏が手掛ける。

  • 左から吉高由里子、北村匠海=テレビ朝日提供

先日発表されたばかりのテレビ朝日・火曜21時の新ドラマ枠で、ドラマオリジナル作の「10歳下の彼との大人のピュア・ラブストーリー」を届ける。のどかな海街の病院で働く産婦人科医・雪宮鈴(35歳/吉高)と、高齢化社会となった日本で今まさに注目を集めている職業=遺品整理士として働く柊一星(25歳/北村)。「命のはじまり」と「命の終わり」をつかさどる2人がひたむきな10歳差恋愛を育んでいく。

鈴は窮屈で息苦しい社会の中で心がすり減り、誰に弱音をはくこともできない“孤独”を抱えていた。努力でお金と地位を築いたが、共に戦った仲間や昔抱いていたはずの熱意や夢を失ってしまい、「女性の社会進出」と無駄に時代に誉めそやされたかと思えば「上を目指す女は面倒」とむげに扱われ、どこか死んだ魚のような目で働くヒロインだ。

ある日息抜きのためにソロキャンプへやってきた鈴の前に現れたのは、何も語らず自分に向かってカメラのシャッターを切る一星。しかもいきなりキスをされてしまう。そんなドラマチックな出来事を経た翌朝、鈴は一星が何か手でサインを伝えたまま去ってゆく背中を見送ることに。やがて一星の手話が「お前のゲロは全部片付けた、バカ女」と悪態をついていたことに気づく。それがお互いにとって「かけがえのない運命の出会い」となる。

音のない世界を生き、映画鑑賞にキャンプに世界旅行にカメラと多趣味で自由奔放、心のままに人生を謳歌している一星。世界中に友人を持ち、自信に満ちあふれ、どこまでもフラットで、コンプレックスもない――10歳年下の彼に触れ、さまざまな「既成概念」に押しつぶされて窮屈に生きる鈴の心はどんどん解放されていく。

今回主演を務める吉高は、ゲスト出演した『時効警察』、『PS -羅生門-』(06年)以来約17年ぶりにテレビ朝日のドラマに凱旋。『花子とアン』(14年)、『東京タラレバ娘』(17年、20年)、『最愛』(21年)といった大ヒット作を多数経て、2024年放送のNHK大河ドラマ『光る君へ』でも主演に抜擢されている。相手役を務める北村は、『君の膵臓をたべたい』(17年)や『東京リベンジャーズ』(21年)などの大ヒット映画をはじめ、テレビ朝日では『にじいろカルテ』(21年)に出演。今回は自身のドラマ出演作では希少なピュア・ラブストーリーに真っ向から挑む。脚本を手掛ける大石氏は『セカンドバージン』(10年、11年)や『大恋愛~僕を忘れる君と』(18年)、『あのときキスしておけば』(21年)など珠玉のラブストーリーを次々と生み出し、『光る君へ』も執筆することが決定している恋愛ドラマの名手。今作で令和の恋愛ドラマ史に新たな歴史を刻む。

メイン監督を務めるのは映画『白夜行』(11年)や『神様のカルテ』シリーズ(11年、14年)、『にじいろカルテ』などを手掛けた深川栄洋氏。さらに、『民王』シリーズ(15年、16年)や『おっさんずラブ』シリーズ(18年、19年)でメガホンを取った山本大輔監督も参戦する。また、劇中音楽は『アンナチュラル』(18年)、『監察医 朝顔』シリーズ(19年、20年)、『MIU404』(20年)を手掛けた得田真裕氏が担当する。

■大石静(脚本)コメント

2021年4月期に放送した『あのときキスしておけば』の台本を執筆している頃、貴島プロデュ―サーから、この企画をやらないかというお話をいただきました。貴島Pは学生時代に手話サークルに所属されていた経験があり、長い間温めてこられた企画だそうです。私もそれから取材をしたり、音のない世界を経験したりしながら、一緒に物語を作ってゆきました。

当たり前の価値観の向こう側にあるかもしれない“真実”を求めて、ドラマを作っているのだと、私は常日頃から思っています。このドラマは産婦人科医の女性と、遺品整理士の聾の青年のラブストーリーですが、青年は音のない世界に生きているからこそ、逆にのびやかで、感情豊かで、自由な魂の持ち主です。固定観念を鮮やかに飛び超える、10歳年下の青年との出会いによって、ヒロインも閉ざしていた心を次第に解放させ、自分らしさを取り戻してゆきます。

吉高由里子さんとは2度目の連ドラで、この先、大河ドラマもご一緒する予定ですが、彼女は美ぼうで華やかなだけでなく、孤独な心を胸にしみるリアリズムで表現できる稀有なる女優さんです。この閉塞した時代を生きる“出来る女の孤独”を、今回もしみじみと表現してくれると思います。平安時代に行くとしばらく戻って来られませんので、吉高さんの才能と素敵さを現代劇で思いっきり味わっていただきたいと思いながら書いています。

北村匠海さんとは初めての仕事ですが、『君の膵臓をたべたい』で彼を知った時の衝撃は忘れられません。色っぽさと透明感が同居していて、シビレました。あの映画の頃よりずっと大人になった北村さんが、今回、強気でわがままで、一直線で、既成の価値観を軽々と越えて行くろうの青年を、どのように演じてくれるのか、楽しみにしています。

“命の始まりと終わり”を司る産婦人科医と遺品整理士の、星降る夜の宿命の出会い、そして恋。テレビ朝日火曜21時の“新枠”ということで、2023年幕開けにふさわしい記念すべきドラマとなるよう、頑張ります。このドラマが提示する新しい価値観が、日本の中だけでなく、国境を越えて世界中の方に届くことを祈りながら……。

どうぞ、ご期待下さい。