東京シティビュー(東京都港区/六本木ヒルズ森タワー52階)を会場に、水木しげる生誕100周年を記念して開催されている初の大型展覧会「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた~」(会期: 7月8日~9月4日)。妖怪たちに、そして彼らを描いた水木しげるに会いに行ってきた。
妖怪たちが「どのように生まれてきたか」を紐解く
「水木のいろいろな仕事の中で『妖怪』というものに特化した展覧会です。今までも妖怪を描いた原画を展示する展覧会は数多く開かれてきたのですが、今回はその妖怪画がどのようにして生まれてきたか、水木の頭の中はどんなふうになっていたのかをご覧いただける今までになかった機会となっています」(水木しげるの長女で水木プロダクション取締役の原口尚子さん)。
ゲートを抜けると、妖怪たちの名前が記された提灯72個が圧巻の「天空の水木しげるロード」が出現。水木しげるの出身地である鳥取県境港市に並ぶブロンズ像と同じ妖怪たち13体が出迎えてくれる。
会場内には、スマホアプリで楽しめる「妖怪カメラAR」の仕掛けも。会場内に隠れている妖怪を探していっしょに記念写真を撮ることができる。
展示の途中にある、動く「塗壁」と一緒に写真を撮れるフォトスポットも必見!
なぜ妖怪にこだわり続けるのか、人生をたどる
展示は4章構成。漫画のみならず、妖怪絵師であり研究家でもある水木しげるは、なぜ妖怪にこだわり続けるのか。第1章は「水木しげるの妖怪人生」として、幼少期、水木の家に手伝いに来ていた「のんのんばあ」にお化けや不思議な話を聞いた境港時代、生死を彷徨った従軍時代、貧困の貸本漫画家から一躍人気漫画家となった時代を通してその理由の片鱗を探る。
妖怪を描くことに繋がった所蔵古書を初公開
古書店街を頻繁に訪れ、民俗学や妖怪に関する書籍を探し、妖怪を描くことに繋げていた水木しげる。第2章「古書店妖怪探訪」では、古書店で購入した鳥山石燕の『画図百鬼夜行』や柳田國男の『妖怪談義』をはじめとする、水木しげる所蔵の妖怪関連書籍を初公開する。
どうやって妖怪を描いたのか創作方法を探る
水木しげるは晩年までに1,000点近くの日本の妖怪を描いた。第3章「水木しげるの妖怪工房」では、「妖怪工房」ではそんな水木の妖怪画の創作方法を「絵師たちから継承」「様々な資料から創作」「文字情報から創作」の3つに分けて紹介する。
シアターではNHK Eテレ「てれび絵本」より展覧会用に特別に編集された「水木しげるの妖怪えほん」映像を見ることもできる。
妖怪原画を存分に味わう
第4章「水木しげるの百鬼夜行」は、水木しげるの妖怪画を存分に味わえる章として、「山」「水」「里」「家」それぞれに棲む妖怪を展示している。
限定グッズやコラボカフェで余韻に浸る
会場内の特設ショップ「ねこや」では、展覧会限定グッズを販売中。「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展図録」(2,200円)をはじめ、水木しげるが描いた妖怪や漫画作品、展示会のキービジュアルをもとにしてデザインされたマグカップやキーホルダー、Tシャツ、お菓子などさまざまなグッズが並んでいる。
また、会期中限定で会場となりにコラボカフェ「妖怪の森Cafe」が登場。タイトルからインスパイアされた「百鬼夜行パフェ」(1,480円)をはじめ、妖怪の世界、キャラクター、水木漫画をモチーフにしたフード・デザート・ドリンク8メニューが提供されている。
水木しげるの妖怪画が100点以上にわたって一挙公開される、まさに"百鬼夜行"の展覧会。子どもの頃から知っているおなじみの妖怪、まだ知らなかった妖怪、そして彼らが生まれるまで——そのおもしろさに触れた夏のひとときだった。
前売りチケット料金は、一般1,900円、シニア(65歳以上)1,600円、高校・大学生1,300円、4歳~中学生700円(日時指定圏に空きがある場合に販売される当日券は前売券よりプラス300円)。
(C)水木プロダクション