昨今、お酒の買取相場の上昇が注目されている。特に熱視線を浴びているのがジャパニーズウイスキーだ。6月には、ニューヨークのオークションで300万円の「山崎55年」が約8000万円で落札されたことが話題をさらった。
どんなお酒が高く売れるのか、また、お酒を高く買い取ってもらうためにはどのようなことに気を付ければいいのだろうか。「買取大吉」を運営するエンパワー大吉事業部の木村健一本部長に聞いた。
■値上がりが顕著な「ジャパニーズウイスキー」
――「買取大吉」へのお酒の持ち込みはどれくらいの頻度であるのでしょうか?
6月の実績では、直営店舗への持ち込み件数が700件以上・2600本以上でした。1日あたりにすると100本近い本数となります。持ち込まれるお酒の種類は日によってまちまちですが、ウイスキーやブランデー、ワインが中心です。
――近年、お酒の買取相場が高騰していると聞きました。特に高く売れるお酒のブランドや特徴を教えてください。
特にジャパニーズウイスキーが高騰しており、メジャーなところでいうと、サントリーの「山崎」や「白州」「余市」「竹鶴」などの高騰が目立ちます。また、埼玉・秩父の「イチローズモルト」も注目度が高まっており、値上がりが顕著ですね。
ジャパニーズウイスキー以外では、「ルイ13世」や「レミーマルタン」などのブランデーも買取価格が高額になることが多いです。ブランデーには「バカラ」のクリスタルボトルが使われているものがあり、装飾品としての需要もあるため、プラスアルファの付加価値があるものは高値が付きやすいです。
ワインは温度や湿度の影響を受けやすく、品質を保つのが難しいため、ジャパニーズウイスキーやブランデーほどの金額にはならないことが多いですが、「ロマネ・コンティ」のように名の知られた高級酒は高額買取になることもあります。
――特にジャパニーズウイスキーが高騰しているというのはなぜなのでしょうか?
ジャパニーズウイスキーが世界的な賞を受けるようになったことで、海外での需要が高まったからです。
世界のオークションでも日本のウイスキーが高く評価されるようになっており、2019年には、香港のオークションで「イチローズモルト」の54本セットが約9750万円で落札されるという出来事がありました。それによって、ジャパニーズウイスキーへの注目度がさらに高まる結果となっています。
海外でのジャパニーズウイスキーへのニーズが高まっているものの、原酒不足により供給が追いつかない状態になっています。そのため、以前は街の酒屋さんやスーパーで買えたようなウイスキーが在庫切れで買えなくなり、プレミアム価格が付くようになっているのです。
今年6月には、アメリカ・サザビーズのオークションで、2020年に100本限定・300万円で販売された「山崎55年」に8000万円の値段が付き、話題を呼びました。
■高いものでは数千万円~億単位の値が付くことも
――お酒は、高いものだといくらくらいで売れるのでしょうか?
ワインは見た目だけでは状態が判断しにくいため、極端な高値が付くことは少ないですが、「ロマネ・コンティ」であれば500~700万円程度の買取価格が付くことが多いです。
ジャパニーズウイスキーについては、先日当社の店舗で「山崎50年」に約3500万円の買取価格が付いた実績があります。品物によってはさらなる高額買取もあり得ます。またウイスキー同様、ブランデーも劣化しづらいため、数千万円、あるいは1億円単位の値段が付く可能性があります。
希少なお酒は年数が経てば経つほど価値が上がっていくので、ジャパニーズウイスキーやブランデーを「資産」ととらえて投資する人も増えていますね。
――ジャパニーズウイスキーの価格高騰は今後も続くと見ていますか?
正直言って、今後も価格が上がり続けるかどうかはわかりません。ただ、ウイスキーは飲めばなくなってしまいますし、気化することもあります。生産量が限られた銘柄の場合、年数が経てば経つほどさらに希少価値が高まるため、価値が下がることはないと考えています。
■高く買い取ってもらうためのポイントは?
――お酒を高く買い取ってもらうためにおさえておくべきポイントを教えてください。
箱や冊子などの付属品がしっかり揃っていると査定評価がアップします。また、1本単位で持ち込むより、まとめて持ってきていただいたほうが業者さんとの交渉がしやすいため、買い取り金額が上がる傾向にあります。
――お酒の買い取りが多い店舗はどのような店舗ですか?
お酒をまとめて持ち込む場合、車を利用される人が多いこともあって、宇都宮店のように都心から少し離れた店舗はお酒の買い取りが多い傾向にあります。買取件数はある程度来店者数に比例するのですが、宇都宮店は来店者数も全国ベスト5に入っています。
店舗によっては1ヵ月で300本近い点数が持ち込まれることもあり、全体の8分の1以上を占めている計算です。
――「買取大吉」では、ブランド品や貴金属など、さまざまな品物の買い取りを行っていますよね。店舗のスタッフがさまざまなジャンルのものを査定するのは大変ではないでしょうか?
その点は、本部でシステマティックに査定行うことで解決しています。具体的には、お持ち込みいただいた品物を店舗スタッフがスマホで撮影し、本部の査定員に送っています。各店舗のスタッフが査定をするのではなく、過去の販売実績や現在の相場と照らし合わせて本部で一括して査定を行っているため、幅広いジャンルの品物の買い取りが可能です。
写真撮影のポイントもしっかりとマニュアル化されているため、どの店舗でも正確な査定が行えます。
■お酒に限らず、増える中古品売買
――最近はSDGsへの注目が高まるなど、「限りある資源を有効活用しよう」という機運が高まっていますよね。お酒に限らず、買取店への持ち込みは増えているのでしょうか?
増えていますね。昨年6月と比較すると、本年6月の持ち込み件数は+155%の実績です。今年の5月と6月を比較しても、6月は+158%なので、安定的に持ち込みが増えている状況です。
その背景として、リユース業界全体が継続的に成長していることが挙げられます。環境・資源問題への関心が高まっていることもあり、さまざまな不用品を「捨てるのではなく、使ってくれる次の人に渡したい」と考える人が増えている印象です。
近年では「メルカリ」や「ヤフオク」のように、個人で中古品の売買ができるプラットフォームが浸透してきたことで、若い世代を中心に中古品に対する抵抗感が薄れていますよね。こうしたことから、不用品を「売りたい」という人だけでなく、中古品を「買いたい」という人も増えているように感じます。
需要の高まりから、弊社でもフランチャイズの加盟店を拡大しており、店舗オーナー様を随時募集している状況です。業界として、お持ち込みだけでなく、フランチャイズ経営をしてみたいと考えていらっしゃる方にも、ぜひ興味を持っていただきたいですね。