女優の倉科カナが、13日に放送されたテレビ朝日系ドラマ『刑事7人』シーズン8(毎週水曜21:00~)の第1話で同作を卒業した。
倉科演じる専従捜査班の紅一点・水田環は、2015年に始まったシーズン1からのレギュラーメンバー。アメリカ帰りの帰国子女で高い洞察力と推理力を持ち、クールなキャラクターや美しい回し蹴りで人気に。塚本高史演じる青山新との恋模様も話題を呼んでいた。
今回はクランクアップを迎えた倉科にインタビュー。「女優としてさらにチャレンジしたい」そんな思いから選んだ旅立ち、バディを組んだ塚本や座長・東山への感謝、そして8年間を共に過ごした“もう1人の自分”環への熱い思いとは――。
――吉田鋼太郎さん演じる片桐正敏の「また1人抜けちまうか」という台詞が予告で流れ、誰かの卒業がほのめかされてましたが、倉科さんだったんですね。卒業に至った経緯を教えていただけますでしょうか。
女優としてもっともっと成長していかなければいけないという思いから卒業を決めました。『刑事7人』はずっとここにいたいと思うほど居心地の良いチームでつい甘えてしまうのですが、やはり成長のためには新たなステージに挑戦し続けないといけないと薄々感じていて……。決意したあともなかなか実感が湧かなかったのですが、クランクアップを迎えると気持ちがあふれてきて、『刑事7人』という作品が8年間という歳月の中で知らず知らずのうちに大きな存在になっていたことを感じました。
年に一度集まって暑い夏を共に過ごして、大先輩たちばかりなのですが、スタッフさんも含めて家族であり仲間であり、いろんな言葉が似合う親戚のような関係です。年に一度戻って来られるこの場所は、心が休まるおうちのような感覚だったので、旅立つのは本当に寂しいです。
――倉科さんは、昨年もドラマ7本、映画3本、舞台4本など多数の作品に出演し、『第29回読売演劇大賞』では「優秀女優賞」も受賞されるほどの大活躍でした。『刑事7人』を大切に思いながらも、女優として新たなチャレンジをする道を選んだ、ということなんですね。
その通りです。
――共演者の皆さんも寂しがっていたのではないでしょうか。
「寂しいね」「でも実感がなくて」と話している中で、鋼太郎さんに「クランクアップを迎えたら一気に実感が湧くよ」と言われたのですが本当にそうでした。あまりにも皆が「いつでも戻ってきていいからね!」と言ってくれるので、「本当に戻って来ていいんですね?」と(笑)。
――またいつか、倉科さん演じる水田環が戻ってくる日が来るかも?
殉職ではなかったので、いつでも戻って来られます(笑)。
――殉職じゃなくて良かったです(笑)。第1話では環のウエディングドレス姿が披露されましたね。
さまざまな作品で年に2回くらい着ているので個人的には新鮮さがないのですが(笑)、共演者の皆さんはもちろん長くご一緒しているスタッフさんたちの前で着ることができて、父親や母親に晴れ姿を見せられたようで良かったです。もしかしたらスタッフさんたちも見たかったのかなって(笑)。捜査の一環だったんですけどね。
――昨シーズンのクランクアップでは、東山さんがMVPに倉科さんを挙げていました。「こんなむさ苦しいおじさま方の中に1人、本当にいつも凛と咲いている美しい花でいてくれる」「倉科さんの明るさと強さはこのチームには欠かせないもので、彼女がいない時の現場の雰囲気は殺伐としています(笑)」とコメントを出されていたのですが、こんなふうに言われていたのはご存知でしたか。
優しいなぁ……知らなかったのでうれしいです。東山さんは、惜しみなくいろんなことを教えてくださる方。背中で学ばせてくださるだけではなく、いろんな人生相談に乗っていただきました。8年間頑張れたのは座長の東山さんが、いつも気にかけてくださっていたからこそ。本当に気配りがすごくて、現場もジョークで和ませてくださいますし、どんな相談ごとも的確に応えてくださるんです。
――そしてファンの方もやきもきされたのではと思うのですが、塚本高史さん演じる青山新と環の恋の決着はつかずでしたね。
ここ数年突然現れた設定で私と塚本さんはすごく驚いたんですけど(笑)、“純度の高い”2人ですよね。お互い仕事ばかり頑張ってきたから、恋愛の仕方は不器用で。環は卒業してしまいますが、今後の行方気になりますよね?
――気になります! 倉科さん的にも最後まで演じたいという思いはありますか。
そうですね! 「どうなるの!?」って私自身も気になります!(笑)
――塚本さんはどんな存在でしたか。
私にとってお兄ちゃんのような存在です。8年間、いろんなことがあって落ち込むことも多かったのですが、塚本さんが入ってきてくださって、バディになってくださって撮影が毎日楽しかったです。スタッフさんへの気遣いも、気遣いに見せないように自然とできる方で、明るく現場の士気を高めてくださって……塚本さんがバディで本当に良かったです。すごく感謝しています。
――それでは最後に、8年という長い付き合いになった環への思いを教えてください。
環は、もう1人の私のような存在。男社会の中で頑張っていて、いい意味でも悪い意味でも「負けるもんか」って肩ひじを張りながらも、まっすぐに自分の意見を言える人。私の憧れです。環は髪の色が明るかったりするのですが、「能力さえ高ければ、やることをやれば何をしたっていい、自分の個性を大切にするべきだ」という意識を持っていて、「女性刑事だからってどうして黒髪じゃないといけないの?」という固定観念や思い込みの常識を破っていけるような女性でした。8年間環に支えられていたからこそ、私もぶれることなく歩んでこれました。離れるのがすごく寂しいです……私が一番環を愛していたから、大好きだったから!
1987年12月23日生まれ、熊本県出身。2009年にNHK連続テレビ小説『ウェルかめ』で主演に抜擢。近年の主な出演映画は『遠くでずっとそばにいる』(17)や『3月のライオン』(17)、『あいあい傘』(18)、『女たち』(21)など。ドラマは『刑事7人』(15~21)、『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(21)、『カンパニー 逆転のスワン』(21)、『らせんの迷宮~DNA科学捜査~』(21)、『婚姻届に判を捺しただけですが』(21)、『命のバトン~赤ちゃん縁組がつなぐ絆~』(21)、『正直不動産』(22)、『寂しい丘で狩りをする』(22)など。舞台は『パークビューライフ』(21)、こまつ座『雨』(21)、『ガラスの動物園』(21)などがあり、21年には『第29回読売演劇大賞』で「優秀女優賞」を受賞。22年は『お勢、断行』で主演を務めた。