「ご武運を(ごぶうんを)」は、時代劇の出陣シーンなどでよく使われる表現です。また、『キングダム』や『鬼滅の刃』などのアニメ作品にも登場するフレーズなので、見聞きしたことがある人も多いのではないでしょうか。

この記事では「ご武運を」の意味やビジネスで使えるのか、言い換えフレーズや英語表現などを紹介します。

  • 「ご武運を」の意味や使い方などを解説する記事です

    「ご武運を」の意味や使い方などを解説する記事です

「ご武運を」の意味

「ご武運を」の読み方は「ごぶうんを」です。まずは基本的な意味や由来を紹介します。

「武運」の由来とは

「ご武運を」に使われている「武運」とは、「戦いにおける勝ち負けの運命」「武士や軍人としての運命」という意味がある言葉です。

「武運」は南北朝時代の軍記物語である太平記にも既に登場しており、日本で古くから使われていた言葉であることがわかります。

「ご武運を」は応援、励ましの言葉

「ご武運を」は、「ご武運をお祈りしております」という意味があります。かつてより戦いに出向く人に対して、勝利を祈る応援の言葉として使われていました。

また、敬語表現の「ご」がついていることから、目上の人に対して使っても差し支えない表現とされています。

特にビジネスでの使用は諸説あり

「ご武運を」は、もともとは出征する人に対して使われていた言葉であり、とても重い意味がある言葉です。そのため、現代のビジネスシーンで使用することの賛否については諸説あります。

確かに、プレゼンテーションや大きな取引は、戦い、争いごととも言えなくはないので、それらに向かう人に対して「ご武運を」と、比喩的に声掛けする場合もあるかもしれません。

しかし、ビジネスシーンに限らず日常生活においても、「ご武運を」を使う場合は、親しい関係性が構築できている相手にのみ使用するのが、無難と言えるでしょう。

  • 「ご武運を」はもともと、戦に向かう人に向けて、応援の意味で使われる表現です

    「ご武運を」はもともと、戦に向かう人に向けて、応援の意味で使われる表現です

「ご武運を」の使い方

ここでは、「ご武運を」の具体的な使用例を紹介します。ただし前述のように、「ご武運を」はもともと戦争に向かう人への声掛けなので、現代の日常生活で使用すると仰々しいと感じてしまう人もいるでしょう。相手との関係性に留意して使用するようにしましょう。

「ご武運を」の例文

現代においては、「ご武運を」を「頑張ってください」「成功しますように」などの気持ちを伝えたいときに使用するケースもあるでしょう。

・合格できますよう、ご武運を
・全員がけがせず、無事に帰還できますよう、どうかご武運を

「ご武運を」の丁寧な言い回し

・これまでの努力が実を結びますよう、ご武運をお祈り申し上げます
・転職先でもご活躍されますよう、ご武運をお祈りいたします
・皆さまがプロジェクトで全力を発揮できますよう、ご武運をお祈りします

「ご武運を」の後に、「お祈りします」「お祈り申し上げます」「お祈りいたします」などを加えると、より丁寧な印象になるでしょう。

「ご武運を」と言われた場合の返事の仕方

A:無事合格できますように。ご武運を!
B:ありがとうございます

A:新天地でもご活躍されますよう、ご武運をお祈り申し上げます
B:感謝申し上げます

「ご武運を」と声を掛けた相手は、自分のことを応援してくれています。「ご武運を」と言われたら、「ありがとうございます」など、感謝の気持ちを伝えましょう。

「武運長久(ぶうんちょうきゅう)」とは

「ご武運を」を使った言葉で、「武運長久」という言葉もあります。「長久」には「長く続くこと」という意味があります。つまり「武運長久」の意味は、「戦において、武運が長く続くこと」で、「武運」のさらに硬い表現です。

災害派遣されることになったとのこと、武運長久をお祈りしております

  • 「ご武運を」の使い方と例文を紹介しました

    「ご武運を」の使い方と例文を紹介しました

「ご武運を」の言い換え表現

「ご武運を」は、これから戦いや仕事、試験などに臨もうとしている相手に対して、応援や励ましのために掛ける言葉です。

人によっては意味がよくわからないという場合や、前述のように仰々しいと感じてしまう場合もありますので、状況に合わせて言い換えられるよう、代わりのフレーズを覚えておきましょう。

ご多幸(たこう)を・幸せを祈る

新天地でもご活躍されますよう、ご多幸をお祈り申し上げます

「多幸」の意味は、「非常に幸せな様子」です。「ご武運を」に比べて「ご多幸を」や「幸せを」の方が柔らかく、よく使われているフレーズです。

健闘(けんとう)を祈る

全国大会で優勝できるよう、健闘を祈ります

「健闘」の意味は、「困難に屈することなく、一生懸命に闘うこと」です。人を応援する意味で使える言葉です。ただし、目上の人に対して「一生懸命に闘う、頑張ることを祈っている」というのは失礼と感じる人もいるため、注意が必要です。

頑張ってください

今年こそ合格できますよう、頑張ってください

「頑張って」とは、「困難にめげずに我慢してやり抜いてください」という意味がある言葉です。「ご武運を」よりも柔らかい言い回しであり、特に口語表現でよく使われます。

ただしこちらも目上の人に対して使うのはあまり一般的ではありません。また、既に全力を尽くしている人に使うと、追い詰められているととらえられてしまうケースもあるので、状況を見極めて使うようにしましょう。

その他、「ご活躍をお祈りしています」「応援しています」「お気をつけて行ってらっしゃいませ」などを使うのもいいでしょう。

  • 状況に合わせて、「ご武運を」の言い換え表現を上手に使いましょう

    状況に合わせて、「ご武運を」の言い換え表現を上手に使いましょう

「ご武運を」の英語表現

日常会話やビジネスシーンで英語を使うのであれば「ご武運を」の英語表現を覚えておくのもいいでしょう。戦に限らず、日常的に応援として使える英語表現をご紹介します。

Good luck

・I wish him good luck.
(彼の幸運をお祈りしております)

・Good luck!
(頑張ってね!)

「Good luck」には「幸運や成功、健闘を祈ります」などの意味があり、口語表現としてもよく使われます。

victorious

・May you be victorious!
(あなたの勝利をお祈りしております)

「victorious」とは、「勝利を得た」「勝利の」などの意味がある英語の形容詞です。

  • 「ご武運を」に近い英語表現には「good luck」などがあります

    「ご武運を」に近い英語表現には「good luck」などがあります

「ご武運を」は相手を応援したいときの表現

「武運」は「戦いの勝ち負けの運命」という意味がある言葉。そのため「ご武運を」は「負けずに生き抜いてください」「頑張ってください」などの意味で使われます。

もともとは戦いに出陣する人に対して用いられていた言葉なので、ビジネスシーンや日常生活で使う場合は注意が必要です。比喩表現として、相手との関係性を考慮して慎重に使用するか、あるいは言い換え表現を上手に使ってみてくださいね。