日本全国の素材や食材を使った商品開発に力を入れる、カルビーのプロジェクト「日本を愉しむ」の第3弾となる新商品が7月11日に発売。それに先立ち、7月1日に開催された「カルビー 日本を愉しむプロジェクト新商品発表会」でお披露目された。

  • 「カルビー 日本を愉しむプロジェクト新商品発表会」

プロジェクト「日本を愉しむ」とは

同プロジェクトは、2021年10月から展開されている。カルビーの商品ブランドと共通点のある素材を組み合わせることで、商品や素材自体の魅力や背景を知る機会や、愉しむ機会を提供したいという思いからスタートした。

フードアドバイザーにはフレンチシェフの三國清三氏が就任。第1弾として北海道産素材にこだわった「ア・ラ・ポテト」と北海道産羅臼昆布を100%使用した「ア・ラ・ポテト 羅臼昆布しょうゆ味」「ア・ラ・ポテト 羅臼昆布しょうゆ味」を発売。

今年3月には第2弾となる「堅あげポテト 七味味」を発売し、伝統的な釜揚げ製法で作られる「堅あげポテト」と、"一子相伝"の製法により、伝統の味を守り続ける、京都祇園の老舗「原了郭」の「黒七味」の味を再現した。

  • 「日本を愉しむ」プロジェクトの概要

  • プロジェクト第1弾の商品「ア・ラ・ポテト 羅臼昆布しょうゆ味」

  • プロジェクト第2弾の商品「堅あげポテト 七味味」

第3弾となる今回は、「夏ポテト」と熊本県天草市のレモンのコラボレーション。「夏ポテト」は、国産の夏の"新じゃが"のみを使用した季節限定の厚切りポテトチップスブランドで、九州地方から収穫が始まる夏の新じゃがにちなんで、"九州"つながりから天草産のレモンが選ばれた。

  • プロジェクト第3弾で選ばれたのは「夏ポテト」は1993年に初登場したブランドで、水分が多くみずみずしい夏の新じゃがの特長を生かし、波型の厚切りカットでフライすることでサックリとした軽い食感を実現し、夏の定番として長年人気を得ている

  • 鹿児島工場で限定生産される「日本を愉しむ」プロジェクトバージョンの「夏ポテト」では、天草のレモンとコラボ

「料理の鉄人」を手がけた小山薫堂氏がアドバイス

今回、天草のレモンが選ばれた背景には、天草市出身の放送作家/脚本家の小山薫堂氏が関わっているとのこと。小山氏と言えば、テレビ番組「料理の鉄人」(フジテレビ)「カノッサの屈辱」(フジテレビ)や映画「おくりびと」(松竹)の脚本、"くまモン"の生みの親などで知られている。

料理バラエティー番組時代から長きにわたって交流のあるフードアドバイザーを務める三國シェフが、九州出身の小山氏に相談したところ、天草レモンを紹介されたそうだ。

発表会にゲストとして登場した、小山氏は「天草レモンは、出荷が早く、果汁が少なくて、香りが強いのが特徴。天草ではもともと柑橘類の栽培は盛んでしたが、レモン自体は実は20年ぐらいで、熊本の人でさえ、知っている人が少ない。天草には塩とか天草大王とか有名な食材がありますが、この機会にレモンも多くの方に知ってもらえたら」と話した。

  • 会場で行われた座談会

会場で行われた座談会では、ゲストの三國清三シェフと小山薫堂氏が新商品を試食。「香りと酸味が利いていて、お酒のつまみにちょうどいいですね」と三國シェフ。

「風味がすごくよい。酸味がよく合う。レモンの香りがパッと崩れる感じ」とコメントした小山氏に対し、カルビー 代表取締役社長 兼 CEO 伊藤秀二氏が「九州産のじゃがいもは水分が豊かで食感が柔らかいんです。その崩れていく感じと酸味がよく合う。香りもよくて、隠し味に生姜とブラックペッパーを加えて工夫しました」と補足した

日本全国の素材や食材を使うカルビー

カルビーでは、これまでにも日本全国の素材や食材を使った商品を多数発売。例えば、2017年から展開している、各地方自治体や地元住民と手を組み、地元ならではの味をポテトチップスで再現する「JPN(ラブジャパン)」プロジェクトもその1つ。

「ラブジャパン」は、ポテトチップス商品群の中で展開していたのに対し、「日本を愉しむプロジェクト」は「商品のブランドがあって、その商品ブランドと関係のある土地とそことゆかりのある素材を組み合わせることで、商品や素材自体の魅力や背景を知ってもらうことを目的としている」(マーケティング本部堅あげチーム ブランドマネージャー 山本千夏氏)と、相違点を説明した。

  • 2017年から展開している「JPN(ラブジャパン)」プロジェクトも、カルビーが取り組む、地域に根差した製品開発プロジェクトの1つ

  • カルビー マーケティング本部堅あげチーム ブランドマネージャー 山本千夏氏

第3弾でスポットを当てられた地域は、"九州"。1949年に広島県広島市で創業したカルビーは、1964年に発売した「かっぱえびせん」が大ヒット。また1975年に発売し、現在も同社の代表的商品となっている「ポテトチップス」の製造拠点として鹿児島工場の操業を開始した。

カルビー 代表取締役社長 兼 CEO 伊藤秀二氏は「当時、西日本の生産拠点として鹿児島工場の操業を開始したのが弊社と九州とのつながりの始まりです」と説明。翌1976年には九州産馬鈴薯の試作に着手し、1977年からは九州産馬鈴薯の契約栽培を開始しているという。

「馬鈴薯と言えば、北海道のイメージですが、実は全国の馬鈴薯の2割近くは九州産。カルビーでは2008年から九州産の環境に適した加工用馬鈴薯を鹿児島県農業開発総合センターと共同で新品種の開発。

他にも、収量安定のための栽培技術支援や、収穫時や品種栽培テストの栽培管理サポートを行うなど、地元の契約生産者と強固な関係作りを行っている」と、同社と九州との深い関係を説明した。

  • カルビーの九州とのつながりは、1975年の鹿児島工場の操業開始から40年以上にわたる

  • 以降、馬鈴薯の契約生産者との新品種の開発や栽培管理の支援など強固な関係作りが続いている

カルビーのこうした取り組みは、サステナブル経営のための8つの重点課題がベースになっており、今回のプロジェクトもその一環。

「単純に食品製造しているのではなく、いろんな関わりを持って商品を作っている。生農工商一体となった正しい循環が必要。地域社会・地域農業の持続的成長に貢献していきたい」と語り、同日、カルビーの地元に根差した取り組みを発信するウェブサイト「地ものがたり」を開設したことを発表した。

  • 食材の生産者と工・商業者が一体となったサステナブルな循環社会を通した地域社会・農業への持続的成長がカルビーが目指している経営目標

  • カルビー 代表取締役社長 兼 CEO 伊藤秀二氏

同プロジェクト第3弾の「夏ポテト 天草のレモン味」の内容量は58g、市場想定価格は155円前後。7月11日から中四国・九州エリアにおいて数量限定で販売される(コンビニエンスストアでの取り扱いはなし)他、九州地方のアンテナショップや、カルビー商品専用のアンテナショップ「カルビープラス」の一部店舗でも販売予定。また、カルビー公式オンラインショップ「カルビーマルシェ」において、数量限定の先行事前予約を受け付けている。

  • カルビー「夏ポテト」のラインナップ。数量・エリア限定の"天草レモン味"の他に、"対馬の浜御塩味"と"紀州の南高梅味"が昨年に続いてラインナップする