「踏んだり蹴ったり」という言葉は日常的に使われますが、正しい意味や語源を知らないという人も多いのではないでしょうか。
本記事では、「踏んだり蹴ったり」の意味や語源、対義語などについて解説します。正しい使い方や例文、英語表現も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「踏んだり蹴ったり」の意味
「踏んだり蹴ったり」は「重ね重ねひどい目にあう」という意味の慣用句です。
例えば、急なクレーム案件で遅くまで残業になり、なんとか対応を終わらせ帰宅したところで会社に家の鍵を置いてきてしまっていたら、「なんでこんなに不運が続くんだ」と落ち込んでしまいますよね。このように、重ね重ねひどい目にあった日は「今日は踏んだり蹴ったりの一日だった」というように表現できます。
「踏んだり蹴ったり」の語源
「重ね重ねひどい目にあう」のであれば「踏まれたり蹴られたり」になるはずですが、このような使い方はされていません。本来は加害者視点で「嫌なものをついつい踏んだり蹴ったりしてしまう」の意味で使われていたと考えられています。
「踏んだり蹴ったり」の使い方と例文
「踏んだり蹴ったり」は小さな不運が立て続けに起きた際にも使うため、日常会話やビジネスシーンで用いても不自然ではありません。
- ひどい頭痛が原因で遅刻をしたら、上司にやる気ないと怒鳴られた。これでは踏んだり蹴ったりだ
- 電車が遅れて待ち合わせ時間に間に合わず、おまけに雨まで降ってきた。まさに踏んだり蹴ったりな一日だった
どちらも日常的に起こり得る不運続きといえるでしょう。上記の例文のように些細な不調や不運も重なれば「踏んだり蹴ったり」になります。
- 事故で大怪我をした日の夜、大型台風が直撃して家の中が水浸しになった。踏んだり蹴ったりだ
上記の例文のように、大きな災害や不運が重なった場合にも「踏んだり蹴ったり」が使えます。
「踏んだり蹴ったり」の類語
ここからは、「踏んだり蹴ったり」の類語を3つ紹介していきます。
「泣きっ面に蜂」
「泣きっ面に蜂(なきっつらにはち)」は、「好ましくない状況が重なること」のたとえです。「泣いている時に蜂に刺される様子」を表しているため、不運や不幸が続けて起こった時にも使われます。もともとは「泣き面に蜂」でしたが、現在では「泣きっ面に蜂」と表現するケースが多いです。
「一難去ってまた一難」
「一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん)」は、「災難を逃れてほっとする暇もなく、別の災難が降りかかること」のたとえです。災難に次々と見舞われる際に使うので「踏んだり蹴ったり」の類語になります。
「弱り目に祟り目」
「弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ)」とは、「不運な状況に不運が重なる」という意味の言葉です。「弱り目」は弱っている状態、「祟り目」は災難にあうことを意味します。「不運が重なる」という意味合いがあるため、「踏んだり蹴ったり」の類語として使用可能です。
「踏んだり蹴ったり」の対義語
「踏んだり蹴ったり」の対義語は厳密には規定されていませんが、「悪い状況下で良いことが起きる」や「良いことが続く」という意味の言葉が対義語だと考えられます。
「悪い状況下で良いことが起きる」という意味での対義語の一つとしては、「干天の慈雨(かんてんのじう)」が挙げられます。
「干天の慈雨」には、「待ち望んでいたものが叶えられる」や「困難な時に救いに恵まれる」といった意味があります。辛い状況で待ち望んでいた助けに恵まれることを表しているため、「踏んだり蹴ったり」の対義語になります。あくまでも「辛い状況」に訪れた助けなので、苦労なく幸運に恵まれた場合には「干天の慈雨」は使えません。
「良いことが続く」という意味での対義語としては、「順風満帆」「万事順調」などが挙げられるでしょう。
「踏んだり蹴ったり」の英語表現
「踏んだり蹴ったり」の英語表現の一つとして以下が挙げられます。
意味:踏んだり蹴ったり
英文:That is adding insult to injury.
意味:それは踏んだり蹴ったりだったね
直訳すると「怪我に侮辱を加える」になり、悪いことが続く様子を表しています。「踏んだり蹴ったり」の類語「泣きっ面に蜂」の英語表現としても使えるので、覚えておくといいでしょう。
「踏んだり蹴ったり」の意味と類語をチェックして使いこなせるようにしよう
「踏んだり蹴ったり」は「重ね重ねひどい目にあう」という意味の慣用句です。もともとは加害者目線で使われていましたが、現在では「ひどい目にあった側」の視点で用いられています。
日常会話やビジネスシーンでも使う機会が多いので、類語や英語表現などと合わせて使い方を覚えておきましょう。