楽天グループは「楽天市場」「楽天ブックス」「楽天トラベル」「Rakuten Music」「楽天ママ割」など幅広いサービスを提供しているが、この夏はどのようなスタイルの旅行やお出かけに注目が集まっているのだろうか。楽天トラベルの予約動向から、今夏の旅行トレンドを読み解きたい。
「リベンジ」で今夏の旅行予約はコロナ前を上回る?
旅行・レジャーに関して、楽天が発表した今夏のキーワードは「リベンジ」「非日常」「宿満喫側ステイ」の3つ。
2022年、コロナ禍以降はじめて行動制限のない夏休みを迎える。コロナ禍で移動自粛や人との接触を控える期間が長く続いたことへの「リベンジ」として、今年の夏は旅行予約の大幅な回復が見込まれている。
すでに、楽天トラベルにおける2022年7~8月の宿泊予約状況は、今年6月上旬時点で前年同期比約1.7倍増となった。コロナ前の数年の傾向値などを踏まえて予測すると、今年の7~8月の旅行予約はコロナ前の2019年を上回る見込みだという。
すべての旅行スタイルで予約が伸びているが、特に3名以上でのグループの予約と子連れファミリーの予約は、いずれも前年同期比2.3倍に伸長。コロナ禍で控える人が多かったグループ旅行が目に見えて回復している。
年代別では、20代の若年層による予約が最も多く、前年同期比約2倍。また、60代以上のシニア層の予約も約1.8倍と、全年代の平均伸び率を上回った。
初訪問・お祭りなど「非日常」を味わう旅が人気
2つめのキーワードは「非日常」だ。今夏の旅行予約においては、自宅があるエリア外への旅行が目立って増えており、楽天トラベルにおける2022年7~8月の宿泊予約状況をみると、自宅エリア外の遠方に出かける旅行者の割合が2022年上期(1~6月)と比べ、12.4ポイント増加している。
過去に訪れたことがない旅先を選ぶ傾向も強まっており、楽天トラベルユーザーを対象に、今年予約をしている旅行先エリアが過去の旅行先エリアと同一かを調べたところ、過去に訪れたことのない行き先を選ぶ旅行者の割合(54%)が2019年の同期(49%)を上回った。
旅の目的地を都道府県別にみると、人気の旅行先は「1位:北海道、2位:沖縄県、3位:東京都」という顔ぶれ。また、人気上昇率ランキングは「1位:徳島県、2位:沖縄県、3位:高知県」となっており、2位の沖縄以外はいずれも四国地方であることに注目だ。とりわけ1位の徳島県は、2019年比で約1.1倍とコロナ禍前よりも好調となっている。
徳島県は8月に3年ぶりに阿波踊りを本格開催、3位の高知県でも8月に3年ぶりに「よさこい祭り」が開催されることから、本来の人出が戻りつつあるようだ。
ようやく旅行がしやすい状況が戻ってきたことで、自宅から離れた自然豊かな場所を訪れたり、大規模なお祭りを旅の目的にしたりと、普段とは異なる環境や体験を求める傾向が強まっていることがわかる。こうした状況は、コロナ禍で自宅から1~2時間程度の近隣エリアを訪れる「マイクロツーリズム」が注目された反動といえるかもしれない。
また、ゴルフ場予約サイト「楽天GORA」においては、2022年7~8月の宿泊を伴うゴルフの予約件数が2019年同期比で約1.5倍に伸長しており、“ゴルフ旅”も増加傾向にある。
高級宿・スイートなど「宿満喫」の旅行スタイルに注目
3つめのキーワードは「宿満喫ステイ」。設備・サービスが充実した宿や、ハイグレードな客室の予約がコロナ前を上回る人気を集めている。
楽天トラベルが独自に設定している「高級宿カテゴリ」における2022年7~8月の宿泊予約数は、2019年同期比で約1.3倍に増加。また、「スイート」「最上階」「クラブフロア」「ラウンジ」などのハイクラスな部屋条件をキーワードに含む客室の予約が約1.3倍に伸びており、コロナ禍前の2019年を上回っている。
さらに、夕食付き宿泊プランのシェアも2019年から約7ポイント増加。設備やサービスが充実した宿泊先を選んで、宿での滞在時間を満喫する旅行スタイルがコロナ以前よりも増えている傾向が見てとれる。
コロナ禍で、近場のホテルでのおこもりステイを楽しむ「ステイケーション」が注目されるようになり、宿そのものを旅の目的にする人が増えた。「滞在」を旅の主目的にするとなると、自然と宿泊施設に一定のクオリティやラグジュアリー感を求めるようになることから、高級宿の人気が高まっていると考えられる。
コロナ前の2019年を上回るほどの勢いを見せつつある今夏の旅行熱。ただ、単純にコロナ前に戻るというよりは、コロナ禍で人気が出た「宿満喫ステイ」のトレンドが継続するなど、旅のスタイルも多様化しているようだ。早ければ7月からスタートするといわれている全国旅行支援が始まれば、旅行熱はさらに過熱するかもしれない。