フジテレビ系で3夜連続放送されるドラマ『脚本芸人』(22~24日23:00~)の第1夜で、ドラマ脚本に初挑戦したお笑い芸人の吉住。『女芸人No.1決定戦 THE W 2020』の優勝でブレイクを果たしてから1年半、様々なバラエティ番組で活躍する姿を見せているが、意外にも「テレビはそんなに得意じゃない」と語る。
そんな中で、時間をかけて作ったネタを披露できる番組には安心感があるという彼女は、今回のドラマ脚本にどのような心境で臨んだのか――。
■コントの発想では作れなかったドラマ脚本
“自分の闇をネタに昇華している”と周りからよく言われるという吉住。まず、自分の中で日常とズレた設定を着想すると、自然と展開が生まれていくというが、今回、初のドラマ脚本に挑むにあたって、「いつものようにやってみようと思ったんですけど、そういう感じじゃないなと思って」と方針を転換した。
「脚本の書き方すら全く分からなかったので、以前脚本の仕事をしたことのある芸人さんたちに『どうやって書きましたか?』といろいろ質問させていただいて、そこでいくつかヒントをいただきました。私はコントを作るとき設定だけを決めて走り出すことが多いのですが、ドラマの脚本では30分以上の尺をもたせるためにいくつかの起点となる要素を準備してから書き始めるようにしました。日常の設定だと、その流れのまま書いたところで何も起きないので、ポストイットに何が起こるのかというのを書いて、骨組みから考えるというやり方を初めてやってみました」
■より“奥行き”が必要な作業
ドラマや映画の脚本への興味は以前からあったそうで、「以前だと松本人志さんとか、最近だとバカリズムさんとか劇団ひとりさんとか、芸人の先輩方が実績を作られてきたので、それで自分にもチャンスをもらえたのかなと思います」と謙虚に語るが、その先に見据えるのはコントの精度向上だ。
「ずっとコントを作り続けているとマンネリしそうな怖さがあるんです。脳が凝り固まって同じものしか生み出せなくなるんじゃないのかという不安がある中で、他の仕事をやることでいつもと違う脳の使い方をしてみたいなとか、違う角度から台本を書けるのかなっていう期待もあったりして、興味がありました」
コントを作るとき、キャラクターにバックボーンを持たせ、ネタに奥行きを付けることを意識した結果、『THE W』の優勝につながったという吉住。ドラマ脚本は、その作業がより必要だったという。
「第一稿、第二稿と書き上げていく中で、スタッフさんから、『ここはどうしてこういう感情になってるんですか?』と聞かれたことがあって。自分の中では自然な流れだったとしても、客観的に見るとズレが生じることがあるんだ、と。脚本は、そこまで考えて文字に起こして伝えなきゃいけない仕事なんだなって思ったときに、もっと深く考えなきゃと感じましたし、キャラクターに説得力を持たせられるよう勉強したいところでもありました」
それもコント作りに生かせると感じたそうで、「私はかもめんたるさんのコントが好きで、何で好きなんだろうって考えたときに、5分なり7分なりのコントでもちゃんと奥行きが見えるんです。日常の一場面を切り取ってるんだけど、この人が後で家に帰ったらどういう晩ごはんを食べるんだろうって想像してしまうような、本当に生きている人間に見えるところがすごく好きだったんですよね。そういうコントを自分でも書けるようになりたいと思っていたので、すごく必要なスキルだなと思いました」と、自らの技術向上に余念がない。