サントリービールでは、氷を入れて炭酸水で割ってつくるビールの新製品「ビアボール」を今夏より全国発売する。同社調べでは、炭酸水で割ることを訴求するビールは日本初だという。業務用中瓶(500ml)は948円で10月4日から、家庭用小瓶(334ml)は768円で11月15日から販売予定。なお一部の飲食店では7月5日より、数量限定で先行販売する。6月21日、都内では商品発表会が開催された。
新商品「ビアボール」の楽しみ方とは
新商品「ビアボール」は炭酸水で割ることを前提にしており、そのためアルコール度数は16%と高めに設定されている。
飲み方は自由。例えば、ビアボール1:炭酸水3なら、ほどよいビール感がある爽快な飲み口のAlc.4%のビールとなる。ビアボール1:炭酸水1なら濃密なコクと余韻のあるAlc.8%のビールに、ビアボール1:炭酸水7ならスッキリとした後味のライトなAlc.2%のビールに。
割り方にもよるが、1杯あたり40mlを使った場合、家庭用小瓶では8杯あまりのビアボールが楽しめる。なお開栓しても、要冷蔵で2週間以内なら美味しく飲めるという。
もちろん炭酸水を混ぜずに、氷だけで飲むことも可能。そこで筆者もAlc.16%のビアボール、つまりオンザロックを試飲してみた。なるほど、香り豊かなビールの風味は残しつつ、まるでウイスキーのような重厚な味わい。とても美味しい。飲みやすいため、ついつい短時間で杯を空けてしまったが、後からしっかり酔いが回ってきた。そして炭酸水で割ったものも試飲。アルコール度数が変わるたびに、別の商品のように味わいが変化する。Alc.2%まで薄めたものは、軽いカクテルを飲んでいるよう。水っぽさのようなものは感じず、ちゃんとアルコール飲料の体をなしているのが面白く感じた。
革新のアイデア✕伝統の中味づくり
サントリービールでは2021年4月、ワクワクする楽しさを提案する社内部署「イノベーション部」を創設。そこで開発された商品の第1弾が、ビアボールとなった。商品発表会に登壇した、サントリービール 代表取締役社長の西田英一郎氏は「革新のアイデアと、伝統の中味づくりをかけあわせた商品になりました」とアピールする。
「かつて瓶ビールが主流だった時代、1本の瓶を差しつ差されつして分かち合う、ビールならではの文化がありました。現在はお酒の楽しみ方も広がり、多様化の時代を迎えていますが、1本で色いろなビールの味わいが楽しめるビアボールは、ビール本来の価値を持った新しい時代の商品であると自負しています」と西田社長。
ビアボールの中期目標としては、業務用中瓶+家庭用小瓶の合計で2022年に23億円(13万ケース)、2023年に120億円(70万ケース)、2024年に170億円(100万ケース)を見込んでいる。西田社長は「ビアボールを通じて新たなビール文化をつくっていければ」と語り、商品展開に期待を寄せた。
このあと、サントリービール マーケティング本部の佐藤勇介氏がプロモーション戦略について説明した。ビアボールでは、ビール好きはもちろん、ビールから離れた層、もともとビールを飲まない層など、幅広い層をターゲットに想定している。そのなかでも、未来の酒類市場をつくる「MZ世代」(ミレニアル世代+Z世代、20~40歳前半)に向けた認知拡大に特に注力していくという。
佐藤氏はMZ世代のお酒の楽しみ方について「仲間と共有できる体験を大事にしている」と分析。一方でビールに対しては「決まった味わいで自由さがない」「温くなると美味しくなくなるのでゆっくり楽しめない」「全部、同じ味わいで楽しめない」といったイメージを抱いていると紹介。
そこでMZ世代が集まるようなポップアップストア(ミカン下北、b8ta Tokyo - Shibuya、心斎橋BIGSTEPなど)で顧客接点をつくり、ビアボールの「自分好みにつくれる自由さがある」「氷を入れてゆっくり楽しめる」「苦味が少なく爽快でスッキリ飲みやすい」という3つの特徴を訴求していくと説明した。