サントリーワインインターナショナルは6月8日、日本ワインの価値を発信する新ブランド「SUNTORY FROM FARM(サントリーフロムファーム)」を発表した。従来の商品ラインナップを刷新し、新たに4シリーズ19品目のワインを9月6日より全国で発売する。担当者は「お客様接点を強化するとともに、持続可能な日本ワインづくりにも取り組んでいきます」と意気込む。本稿では、都内で開催された記者説明会の様子をレポートする。

  • 新ブランド「SUNTORY FROM FARM」がスタートする。写真は、サントリーワインインターナショナル 代表取締役社長の吉雄敬子氏

新商品のラインナップ

ブランドは「シンボルシリーズ」「ワイナリーシリーズ」「テロワールシリーズ」「品種シリーズ」の4シリーズで展開する。容量はいずれも750mlで、価格はオープン。進化した中味のポイントとして、担当者は「凝縮感が増し、より自然な果実味を引き出せた」としている。

  • 日本での最高峰、世界が感動する品質を目指すシンボルシリーズ。参考価格は13,200円~16,500円

  • 同社の長年にわたるものづくりのこだわりを味わうワイナリーシリーズ。参考価格は3,300円~5,940円

  • 青森県、山形県、長野県というテロワールの違い、産地ならではの味わいの個性を楽しめるテロワールシリーズ。参考価格は3,003円~5,390円

  • 日本固有のぶどう品種「甲州」「マスカット・ベーリーA」の味わいを楽しむ品種シリーズ。参考価格は2,002円

説明会に登壇したサントリーワインインターナショナルの吉雄社長はその冒頭、日本ワインの市場が変化しつつあることに触れた。「いまワイナリーの数が増加しています。農地法改正(2009年)、日本ワインの基準の明確化(2015年)などを経て、直近5年では約150ワイナリーも増えました。日本ワインの市場は、出荷ベースでこの10年間で約1.5倍も成長しています」と同氏。

  • 日本ワイン 市場環境の変化

そこで同社では、この契機にFROM FARMというコンセプトを掲げ、文字通り『ぶどう畑を起点に』して日本ワインの魅力を発信していく。その一環として、サントリー登美の丘ワイナリー(山梨県甲斐市)を9月9日にリニューアルオープンさせる。

  • サントリー登美の丘ワイナリーにおけるリニューアルの概要

サントリー登美の丘ワイナリーは100年以上の歴史がある農園。現在、150haの広大な敷地に50区画ものぶどう畑が広がっている。同社では当地に約5億円の投資を行い、日本ワインの本質的な価値を伝えるスポットにしていく構え。具体的には、熟成を体感できる「樽熟庫」のほか、ものづくりを語る「ワインショップ」、富士山を背景にしたぶどう畑の大パノラマのなかでワインを楽しむ「ワインテラス」、つくり手と飲み手が語り合う「セミナールーム」などの整備が計画されている。

吉雄社長は「ものづくりにかける技と愛情を中核とした、自然の恵みとワインの美味しさを体験できるワイナリーとしてオープンさせます。大自然のなかで、ぶどうづくりを学べるワイナリーツアーも計画しています」と説明する。

また同社では、日本ワインの中味品質の向上、生産能力の増強のため、登美の丘ワイナリー、塩尻ワイナリーなどの生産施設に総額約10億円の投資を行っていく。

  • 垂直型圧搾機を導入、小容量発酵タンクを増設し、また樽瓶熟庫、貯蔵能力の増強などを図る

持続可能なワインづくりにも注力する。例えば、気候変動に対応した栽培に挑戦するという。また農家の高齢化・離農に対応するため、地域の農業復興支援も積極的に行っていく。「サステナブルな活動は1社でできることは限られています。けれど地域、そしていずれは全国で取り組むことで、変化につながるものだと考えています。サントリーではこうした活動を推進することで、今後もお客様に美味しい日本ワインをお届けし続け、日本ワインの文化を守り育てていきます」。

  • 地域の農業復興支援

サントリーワインでは中期販売計画として、品質向上にこだわりながら2022年5.9万ケース(前年比111%)、2030年10万ケース(20年比で約2倍)の販売数量を目指す。吉雄社長は「ワインの品質を大きく向上させるとともに、高品質ぶどうの受給の安定化も図っていきます。日本ワイン市場のさらなる活性化に寄与したい」とまとめた。

  • SUNTORY FROM FARMのラインナップ