アニソンシンガー・亜咲花によるライブイベント「亜咲花 SONG Extra Edition Vol.1」が5月21日、浅草花劇場にて開催された。

亜咲花の自主企画によるライブイベントとなった本公演は、新曲「Sun Is Coming Up」からカバー曲まで、楽曲ジャンルも含め幅広い楽曲を歌唱したギュッと詰まったものとなった。本稿ではそのうち、2部の模様をお届けする。

  • 「亜咲花 SONG Extra Edition Vol.1」

バラード、ロック、そしてカバー曲……次々披露される多彩な楽曲たち

優しくほほえみをたたえながらステージに登場した亜咲花、まずは「Place of promise」でライブをスタートさせる。温かながらも徐々に伸びやかさを増していく歌声で観客を惹き込み、じっくり聴かせるナンバーを披露していくと、続けてミドルナンバー「Childhood’s End」へ。こちらもたおやかさいっぱいに歌唱していく。

ファルセットも多用されているが、一言一言が伝わる強さのある、「言葉の届く」歌声であるところも非常に魅力的。想いを伝えるための下地になる強さの上に、優しさや温かさを込めて観客の心へと染み込ませていた。

特にフェス出演時に多い「アッパーなナンバーをパワフルに歌って盛り上がる」という姿とは違う形でじっくり歌声を聴かせてくれる曲でこれほどまでに惹き込んでくれたのは、キャリアを重ねたからこそ身についた、単なる強弱を超えた表現力あればこそのものだろう。

曲明けのMCでは、2部は1部よりもしっとりめの曲を選曲したことを明かし、「今回は”Extra Edition”=番外編というタイトルで、普段あまりスポットがあたっていない曲を歌う」というコンセプトを自ら説明。

そんな「曲との出会いの場」として開催したこのライブで、次に披露したのは単独イベント初歌唱のロックナンバー「RED ECLIPSE」。イントロからとにかく激しいナンバーで、圧ある歌声に鋭さや力強さを乗せ、冒頭2曲とは違った側面をみせる。

Bメロには少々がなるように歌声にトゲをもたせるなど、アッパーなナンバーにもバラードのような細やかさをもって聴かせどころを満載にしつつ、表情を見ればとにかく楽しそう。これらトータルの印象から、もはや無敵感さえ感じさせられたなか続けられた「NO MORE PEAKY MODE」も、激しさいっぱいのナンバー。

1曲目から絶好調だった歌声、特に伸びが尻上がりにさらに良くなってきたよう。歌声のパワフルさや間奏での楽しそうな満面の笑みはここでも変わらず、後奏のコール部分では亜咲花自身がスキャットのように自らコールを担当。そこにペンライトと拳で心のコールを飛ばして交わすという光景は、前半の山場となるアツい光景だった。

ちなみにこの日の衣装は、6月29日リリースの新曲「Sun Is Coming Up」のもの。ということで、激しい曲ながらも比較的暴れないように我慢もしていたとの裏話もこぼしつつ、自ら歌詞を手掛けたこの2曲に込めた想いを語っていった。

さて、中盤となるここからはカバーコーナー。セットリストは1部からほぼ入れ替えということで、「新しい引き出し」と宣言しつつ、まずは名曲・絢香の「三日月」から披露。イントロ流れた瞬間に目を伏せてスイッチを切り替えると、伸びと美しさを両立させたこの曲のポイントのひとつでもあるサビのファルセットなどの聴かせどころを通じて、改めて観客を音楽の世界に没入させてくれる。

曲調に応じてじわじわ歌声に力を込めて会場全体を包み込んでいくと、弾むリズムのポップなナンバー、あいみょんの「愛を伝えたいだとか」へ。曲のリズムにしっかり乗りながらも、やはり彼女ならではのパワー感も健在。

楽曲から発せられる魅力を引き出しつつ、彼女ならではの個性を再認識させてくれた1曲にもなった。そしてもう1曲、メロディアスなボカロの名曲・40mP「恋愛裁判」のカバーもとにかく楽しそうに歌唱。それでいて彼女が楽曲から汲み取ったもの由来なのか、操る歌声からやや艶っぽさが感じられたのもこの曲ならではのポイントか。

また楽曲終盤では観客のクラップを煽り、曲明けのMCで「カバーしたいボカロ曲は湯水のように出てくる」と語るほどに好きなもので、ファンと一緒に楽しく本気で遊んでいたように感じられた。

また、カバー曲3曲は偶然にも全てラブソング。それを呼び水に、実は自身の曲にも意外とラブソングが多いという事実や、次のシングルのカップリング曲がウェディングソングであることにも触れていく。そして「人生経験とか価値観を歌に入れていけばいくほど味が出ると思うし、ステージに立っているときも歌声だけじゃなくて言葉も、0から100まで全部”亜咲花”で伝えていきたい」とステージに立つうえでの今の意気込みも語ってくれた。