大学のレポートやビジネスシーン、インターネット上でも使われる「考察」という言葉。

「言葉の意味はなんとなくわかるけれど、正しい使い方がわからない」
「考察って感想や結果と何が違うの?」
など、意味や使い方がわからず困っているという人もいるかもしれません。この記事では、「考察」の正しい意味やポイントを例文付きでご紹介します。

  • 考察とは簡単にいうと?

    「考察」という言葉の意味やポイントについてご紹介します

考察の意味を簡単に言うと?

「考察」とは、物事について明らかにするため、よく調べ考えることです。例えば、プレゼンテーションやレポートなどで一つのテーマや調査する内容について深く調べ、そのことについての論理的な根拠などを提示しながら考えを述べることを指します。

感想や結果との違いは?

「考え」を表すというと、「感想」との違いがわからない人もいるかもしれません。「感想」は、あくまで自分の視点で思ったことや感情のことです。一方「考察」は、主観的な感想ではなく、正確で客観的なデータなどの裏付けを基に、論理的に構成する必要があります。

また、「結果」とも違いがあります。「考察」は物事について調べたり考えたりすることですが、「結果」は何かを行ったことに対する最終の状態や結末、数字で出る記録などのことです。そのため、「結果」を踏まえて考察をすることがよくあるでしょう。

なお「結論」という言葉も意味が異なります。「結論」は「結果」を基に「考察」が行われた後の、最終的なまとめを指します。

簡単にまとめると、「結果」は調査や実験の結果など客観的なデータ、「考察」はそのデータなどを基にした論理的な意見、「結論」は「結果」「考察」を経て、最終的にまとめた意見や判断のことです。

  • 考察の意味

    まずは「考察」の基本的な意味を理解しましょう

考察の使用シーン

ここからは実際にどのような場面で「考察」という言葉を使ったり考察したりするのかをご紹介します。考察を適切に行うことで、説得力のある報告書を提出できたり、プレゼンテーションを行ったりすることができるでしょう。

レポート・論文・報告書

何かの調査や実験を行った結果を報告したり、主張したりするレポートや論文、報告書では、考察の記載が必要です。

レポートや論文、報告書では、何を明らかにしたいのかやどんな課題を改善したいのかといった目的、実験などを行う前に立てた仮説、実験方法や調査方法とその結果を記載します。そしてその結果から最終的な判断を下すために考察を行い、結論を出すという順番が一般的です。

プレゼンテーション

プレゼンテーションで考察をする際にも、レポートや報告書と同じ流れで行います。ビジネスシーンでのプレゼンテーションは、企画会議や仕事の成果を報告する際に行われることが多いでしょう。

そもそもプレゼンテーションは、相手を説得し何らかの行動を起こしてもらったり、許可をもらったりするために行います。

例えば、自分の企画を通すためのプレゼンテーションの場合、その企画が相手の利益につながると思わせることが大切です。そのための準備として、まず企画に関してのニーズ調査を行ったり、利用できそうなデータを探したりします。そのデータを基に、企画がどれほどの利益につながるかを客観的な視点で考察し、結論を導き出します。

繰り返しになりますが、あくまで客観的なデータに基づいて考察を行うことがポイントです。そうすることで、熱意だけではない説得力のあるプレゼンテーションを行えるでしょう。

  • 考察の使用シーン

    考察は、会社で何かを報告したり企画の立案をしたりするときなど、さまざま場面で使用されます

考察の書き出し方は? 例文を紹介

考察の書き出しは、結果のまとめや、一般論を書くのが良いといわれています。その後、結果から分かることや考えたことを記述するようにしましょう。

■考察の書き出しの例文

  • 一般的に〇〇といわれる□□だが、分析の結果は△△になった。このことから~

  • 今回の分析により、□□は△△という結果になった。この結果から~

レポートをの考察の例文

下記に、考察の例文をご紹介します。

B支店、C支店の売り上げアップを目的に、全店平均の3倍の売り上げを持つA支店について調査を行った。
その結果、お客さま一人当たりの対応時間が予想通り平均よりも長く、約2倍であることが判明した。また、お客さまと会話している時間のうち、約7割がお客さまの発言している時間であることもわかった。この結果から、売り上げアップのためにはお客さまに対応する時間を増やし、かつ適切な情報を引き出すためのヒアリングスキルが重要だと考えた。
したがって、B支店、C支店の社員に対し、ヒアリングスキルの向上のための研修を行うことを提案する。

  • 考察の書き方・書き出し・例文

    考察は、自分の感想や意見を軸とするのではなく、客観的なデータや調査結果などを基に行います

考察の書き方のポイント

ここからは、考察を行う際に気を付けるべきポイントをご紹介します。

誰に向けた考察なのかをはっきりさせる

最初に、考察が誰に向けたものなのかをはっきりさせることは重要なポイントです。例えば、会社で企画を通したいと考えたとき、企画を実行する許可をもらうことが必要です。

この場合、考察はこの企画を通すかどうかを決める決定権を持つ人へ向けたものになります。この相手へ内容が伝わらなければプレゼンテーションは成功しないため、どのような人物に何を伝えたいのか、何をしてほしいのかを明確にした上で考察を行います。相手の理解度を鑑み、その人に伝わりやすい書き方を心掛けるといいでしょう。

考察は自分の意見ではない

考察は、前述のように客観的なデータに基づいて構成されるものです。例えばアンケートで調査した世間一般の意見や、過去のデータに基づいて分析したり考えたりして、結論につなげます。

目的に対して結果がどうだったかを述べる

目的や仮説と結果を照らし合わせ、実際に目的に結び付く結果となった点、結び付かなかった点を述べます。

新しいことや関係のないことは取り入れない

考察はあくまで、あるテーマに対しての調査結果や実験結果、客観的な意見を基に行われるものです。そのため、考察でそのテーマに対して関連性が低いものを取り入れると、話がまとまりにくくなります。

調査結果や実験結果でわかったことを、端的に考察するように心掛けましょう。

さまざまな視点から考える

考察とはある物事を調査し、深く考えることです。深く考えるためには、客観的なデータや一般的な意見を基に、さまざまな視点から論理的に考える必要があります。偏ったこじつけに陥らないよう注意しましょう。

考察の類語表現

「考察」には、いくつかの類語表現があります。例えば、「考慮(こうりょ)」という言葉は、物事について、さまざまな要素を含めてよく考えることを意味します。

また、似た意味で「勘案(かんあん)」という言葉もあります。こちらもよく考えること、複数の物事を考え合わせるときに使用する言葉です。

他にも「見解(けんかい)」という言葉を挙げることができます。ただし「考察」は客観的な視点や根拠のあるデータを基にした考えのことですが、「見

考察の書き出し・書き方を知ればレポートも簡単

本記事では「考察」の意味や使用シーン、おさえるべきポイントについてご紹介しました。「考察」は、主観的な意見を述べるのではなく、調査結果や正確なデータ、一般的な意見などを基に行います。

「考察」を正しく理解して行うことで、難しい課題の解決などの手助けになります。また、正確なデータなどに基づいて考察することで説得力が増し、企画や提案をする際に決定を後押しする材料にもできるでしょう。