是枝裕和監督作品『ベイビー・ブローカー』(6月24日公開)が「第75回カンヌ国際映画祭」のコンペティション部門に正式出品されたことを受け、是枝監督、ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、イ・ジウン(歌手名:IU)、イ・ジュヨンの5人がカンヌ入りし、現地時間26日にレッドカーペットを歩いて公式上映の会場に入った。

  • 是枝裕和監督ら『ベイビー・ブローカー』チームが「第75回カンヌ国際映画祭」レッドカーペットに登場

本作は、赤ちゃんポストをきっかけに出会った赤ん坊の母親、ベイビー・ブローカーの男たち、そして彼らを現行犯逮捕しようと静かに追いかける刑事――彼らが絡み合いながら繰り広げる一風変わった旅路を描くヒューマンドラマ。是枝監督作品がカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出されるのは、最高賞のパルムドールを受賞した2018年の『万引き家族』以来4年ぶり、6回目(同映画祭への出品自体は8回目)となる。また本作は韓国の製作・俳優陣と長年温めてきたオリジナル企画を映画化した是枝監督初の韓国映画となり、2020年アカデミー賞作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』のソン・ガンホが主演を務める。

カンヌの澄み渡る空の下、大勢の取材陣や観客が注目する中、レッドカーペットに黄色い歓声と共に迎え入れられたのは、アルマーニのタキシードにサングラスをかけた正装の是枝裕和監督と、同じくタキシードにサングラスの出で立ちでひげをたくわえ、さすがの貫録を見せるソン・ガンホ率いる『ベイビー・ブローカー』チーム。2人に続くのは、ルイ・ヴィトンのスパンコールタキシードで長身を生かしたスタイルの良さが一段と目を引くカン・ドンウォン。そして、最も注目を集めたのは、胸元にポイントのおかれたオフショルダーのグレーのロングドレスにショーメのアクセサリーでエレガントに登場したイ・ジウンだ。アップにしたヘアスタイルと透明感のあるメイクがその可憐さをさらに際立たせる。さらに、胸元が大きく開いたシンプルな白いロングドレスに身を包んだイ・ジュヨンも横に並ぶ。

イ・ジウンはファンサービスにも丁寧に応じ、アジア、そしてヨーロッパの観客からはIUコールも起こり、一目見ようと木に登ったり、中には泣きくずれるファンもいて世界的な人気ぶりがうかがえた。

全員が一列に並んだタイミングからは、『ベイビー・ブローカー』の音楽を手掛けたチョン・ジェイルの美しいピアノの旋律にのせ、ゆっくりと階段をあがる監督とキャスト陣。パルムドールを受賞した『万引き家族』の是枝裕和監督と『パラサイト 半地下の家族』のソン・ガンホがタッグを組んだ作品ということで、世界から集まったメディアや観客からの注目度は非常に高く、盛り上がりを見せるレッドカーペットとなった。

会場に向かう直前に心境を聞かれた是枝監督は「毎回持ってくる作品も違いますし、チームも違うので、何度来てもいつも新鮮な思いで臨んでいます。今回は特に会場へ向けての出発場所となるホテルの壁に作品の垂れ幕がかかっているので、ちょっと背筋が伸びる思いです。でも、作品の出来上がりには自分的にとても満足しているので、そんなに何かが負担になったり、過剰な期待をしたり、それで落胆したりという、今回はそこは卒業できたのかなと思っています。あとはみんなと楽しみたいと思います」と語っていた。

また、レッドカーペット上のインタビューでは、「言葉を越えてつながれたという印象がスタッフともキャストともあるので、自分でも納得ができる作品でまたここに帰ってこられて本当にうれしいです」「ベイビー・ボックス自体は韓国だけでなく、日本にもあるのですが、今回はベイビー・ボックスがあるなしにかかわらず、生まれてきた命に対して大人たちがどう関われるのか、それを旅を通して描いてみたいなと思いました」と語り、さらに大好きなケン・ローチと同じようにもう一つパルムドールを獲ってしまうのでは?という質問に対しては「そんなことが起きたら、本当にうれしい」と素直な思いを伝えた。

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