だんだん暑い日も増えてきた今日このごろ。暑くなると美味しくなるのが、そう、ビール!

コロナ禍で工場見学を中止していたキリンビールは、この4月から見学を再開しました。ビールづくりの秘密を知ったらさらに美味しく飲めるかも! と思い、キリンビール横浜工場を見学してきたのでその様子をレポートします。

「キリン一番搾り おいしさ実感ツアー」、予約方法は?

神奈川県横浜市のキリンビール横浜工場で実施している「工場だけの特別体験。キリン一番搾り おいしさ実感ツアー」は、「キリン一番搾り生ビール」のこだわりや美味しさの秘密がわかる工場見学。

工場見学とビールのテイスティングを楽しめて、見学時間は約90分。休館日の月曜日(月曜が祝日の場合は営業、翌平日が休館日)を除く毎日10時~15時の間に実施しています。参加費は、20歳以上の方は1人500円。事前にキリンビールのWebサイトで予約が必要です。

なお横浜工場以外にも、北海道千歳、仙台、取手、名古屋、滋賀、神戸、岡山、福岡と全国9箇所のキリンビールの工場でも受付をしています。

ビールの原料ってどんな味?

「キリン一番搾り おいしさ実感ツアー」、早速工場見学……の前に、まずは「キリンビールが目指す理想のビール」がどんなものか知っておきたいところ。

スクリーンのあるシアターは、大画面で迫力たっぷり! キリンビールの歴史やビールづくりについて、また「キリンビールが目指す理想のビール」がわかる映像が上映されます。最後には、キリンビールのCMでもおなじみのあの人からのメッセージも。誰なのかは工場見学に来てチェックしてみてくださいね。

シアターを出たら、いよいよ工場へ。まずはビールの原料である「水」「麦芽」「ホップ」について理解を深めるコーナーから。「麦芽」「ホップ」の名前は知っているけれど、ビールの状態でしか馴染みがないの方も多いのでは?

加工する前の大麦を食べてみたり、カサカサとした手触りのホップに触る機会はなかなかないもの。ホップはビールに苦味と香りをつける植物で、「ビールの魂」とも言われるほどビールづくりに重要な素材のひとつ。収穫する年によって品質が少しずつ違うため「ホップの番人」と呼ばれる職人が産地まで訪れて確認するほどこだわりがあると言います。

この原料から、どうやってビールがつくられていくのでしょうか。通路を進んでいくと、銀色の「仕込釜」がずらりと並ぶエリアへ! 工場見学っぽい!

この大きな仕込釜のなかで、麦芽を絞ってつくった麦汁にホップを加え、ビール独特の香りと苦味を引き出す「一番搾り製法」の仕込みが行われています。仕込釜にプロジェクションマッピングで映される様子はダイナミックで見応え抜群!

そういえば「キリン 一番搾り」って何を「一番搾って」いるのでしょうか? その答えはこの仕込釜に入っている「麦汁」です。工場見学ではこの麦汁の飲み比べも楽しめます。

  • 左は一番搾り麦汁、右は二番搾り麦汁。味の違いにびっくり!

ビールで使う麦汁は、麦芽を砕いて煮込み、おかゆ状になった「もろみ」を濾過してつくります。ここで最初に流れ出るのが「キリン 一番搾り」で使う「一番搾り麦汁」。「二番搾り麦汁」は「本麒麟」などに使われているそう。一番目と二番目でそんなに味が違うもの? と思うかもしれませんが、飲んだらその香りと甘みの違いにきっと驚くはず!

「一番搾り麦汁」にホップを加えて仕込んでも、この時点ではまだ「おいしい麦ジュース」。ここから「発酵」の工程を経てビールになります。

続く「発酵」のコーナーでは、麦汁に酵母を加え、発酵タンクで低温発酵する工程を体験できます。液晶画面の机の上に指で"しずく"のかたちをつくると、酵母が麦汁の中に含まれる「糖分」をパクパクと食べ、「炭酸ガス」と「アルコール」に分解するアニメーションも楽しめます。なんだかかわいいぞ……。

なおキリンでは約800種類ものビール酵母をストックしており、理想のビールの味や香りに合う酵母を選んでいるそう。

約1週間かけて発酵したあとはタンクの中で約1~2ヶ月ほどの熟成を経て、香りや風味を調和させていきます。

  • 写真提供:キリンビール

なお、このタンクは高さ21m。1本のタンクは350ml缶に換算すると約147万本分! キリンビール横浜工場にはこの貯蔵タンクが129本あり、「キリン 一番搾り」をはじめとしたビールや酒類を手掛けているといいます。

熟成の期間が終わって完成したら、厳しい検査を経てパッケージングの工程へ。流れるように缶に詰められ、ラベルが印刷されて見知ったパッケージになっていく様子はずっと見ていられます。こんな工程があるんだ! とか、こんな動きをする機会があるんだ! と発見が沢山あるはず

大量のビールをつくるキリンビールの工場ですが、熟成のタイミングなど、実は熟練の職人の方が見て決めているそう。さらに最近では仕込みや発酵の工程でAIを活用することで、熟練技術の継承や、それによってつくられた時間で品質管理向上に向けた取り組みも行われていると言います。

スーパーやコンビニにずらりと並ぶ缶ビールは工業製品のようにも見えますが、工場見学を体験すると、大麦やホップの畑からスタートして酵母の力で発酵し、職人の手によって大切につくられていることがわかります。普段飲んでいるビールの味も、ちょっと変わってくるかもしれません。

できたての一杯で美味しさを実感!

工場見学が終わったら、お待ちかねのテイスティング体験!

美味しい生ビールを提供するための知識や技術を習得した「ブルワリードラフトマスター」が注いでくれた一杯は、工場内を歩き「キリン 一番搾り」のこだわりを知った後ならさらに美味しく飲めそうです。

また「一番搾り」シリーズ3種類の飲み比べもできます。今回は、ここまでつくる工程を見てきた「一番搾り」、黒ビール「一番搾り〈黒生〉」、そしてギフトやキリンの家庭用ビアサーバー・ホームタップ限定の「一番搾りプレミアム 」の3種類。ミニセミナー形式で、キリンのビールづくりのこだわりや、それぞれのビールの特長を教えてもらいながら味わうことができます。

さらに、見学に参加した人だけがアクセスできるオンライン工場見学や、キリンのLINEに登録するとビアグラスがもらえるおまけも嬉しいところ。帰った後も、工場見学や「一番搾り」をおいしく飲む動画コンテンツを見ながらビールを楽しめそうです。

また、テイスティングをするエリアにある「キリンファクトリーショップ」で買い物もできます。工場限定のオリジナルグッズやテイスティングで提供されるおつまみも購入できるので、お気に入りのアイテムを探してみては?

ノミモノ・ラボで自分好みのビールを探してみよう

工場見学に行く前や、終わったあとに立ち寄りたいのが入り口にある「ノミモノ・ラボ」。ここではビールづくりの解説や、キリンビールにまつわるトリビアがたっぷり紹介されています。

見るだけでなく、選択肢に答えることで自分好みのビールがつくれるバーチャル体験「Myビールをつくってみよう!」も楽しい! 麦芽の種類はスッキリ系? コクがある系? 迷いながらホップを入れる量を調整したり、果汁も入れてみちゃったり……。

「Myビール」を完成させると、キリンの手掛けるビールを比較したカードももらえます。自分の好みに近いビールと新しく出会えるかもしれません。

「Myカートンをつくってみよう!」のコーナーでは、自分の写真がプリントされた手のひらサイズの缶ビールカートンのペーパークラフトがつくれます。今回は「キリン 一番搾り」でしたが、商品は定期的に入れ替わるそう。しかも貯金箱になるので、思い出として家に持って帰った後も楽しめます。

また、外に出ると工場の敷地内には緑豊かな庭園があるので、晴れた日は散策するのも楽しそう。様々な生物が生息するビオトープもあり、地元の子どもたちも遊びに来るそうです。

工場見学でビールがつくられる様子やこだわりを知ると、さらに美味しく飲めるだけでなく「このビールはどんなつくり方をしてるんだろう……」と深く知りたくなってくるもの。大人の社会科見学にはぴったりな「キリン一番搾り おいしさ実感ツアー」、今度の休みに遊びに行ってみてはいかがでしょうか。

キリンビール 横浜工場
住所:神奈川県横浜市鶴見区生麦1-17-1
アクセス:京浜急行線「生麦駅」より徒歩約10分
公式サイト:キリンの工場見学 キリンビール 横浜工場