沖縄ロケでの印象的なシーンを尋ねると「どの沖縄のシーンでも、改めて自然の美しさを実感しますが、特にドローンで撮った最初のシーンでしょうか」と、1話の冒頭で展開される沖縄の海とシークワーサーの木のシーンを挙げる。「海から始まり、シークワーサーの木の下に立っている暢子のところまで行くので、あのカットが撮れた時は、そこからこの物語が始まるということで、かなりテンションが上がりました。そもそもその場所は風が強くて、ドローンが飛べないかもしれないという話もあったので。そういう不安要素があった分、すごくいいものが撮れた時にはうれしくて、思い出に残っています」

タイトルの『ちむどんどん』とは、沖縄 のことばで「胸がわくわくする気持ち」を意味するが、現場で“ちむどんどん”したシーンについて尋ねると「そのドローンで撮ったカット以外だと、沖縄の海のそばで、暢子と友だちの早苗(高田夏帆)がしゃべっているシーンですね。海が本当にきれいでしたし、そういう場所で撮影ができること自体がうれしいなと思いました」

また、黒島の得意な沖縄料理はフーチャンプルーだとか。好きな沖縄料理については「毎回違うことを言っている気がするのですが、その時々でハマるものや好きなものは変わります。最近、友達のお家でラフテーを作ったのですが、改めてお酒と黒糖で煮て、ちゃんと作って食べてみたら、すごくおいしくて。だから今はラフテーです」と語る。

本作は、暢子をはじめ、竜星涼演じる兄で長男の賢秀や、川口春奈演じる姉で長女の良子、上白石萌歌演じる三女・歌子と4兄妹の物語となるが、現場ではすでに4人で意気投合し、良い関係性が築けていたようだ。

「沖縄ロケが昨年の11月、12月でしたが、4人がとても仲良くなれました。その後で東京での撮影もありましたが、4人がそろうとすごくホッとするんです。今は沖縄から上京したあとのシーンを撮影しているので、お母ちゃん(仲間由紀恵)やネーネー、歌子とは電話のシーンしかないので、すごく寂しいですし、たまに会えるととてもうれしいです。まるで本当の家族になったみたいで、懐かしい気持ちになれますし、この4人で兄妹が演じられたことは、すごく良かったなと思います」

最後に、改めて黒島にとって沖縄がどういう存在なのかについても聞いてみた。

「自分にとって沖縄という帰る場所があることは、私の中ではとても心の拠り所になっています。コロナ禍では、なかなか気軽に帰ることが難しくなってしまいましたが、以前ならちょっとつらいことがあった時や、2日休みになった時は、1泊だけでもいいから沖縄に帰って、ちょっと海を見て家族に会って帰るといったこともよくありました。だから、何かあった時に、帰って一旦リセットできるような場所といった感じです」

沖縄出身の黒島ならではの生き生きとしたヒロイン像への期待感に、今から“ちむどんどん”する。

■黒島結菜(くろしま・ゆいな)
1997年3月15日生まれ、沖縄県出身。『ひまわり~沖縄は忘れない あの日の空を~』(13)で映画初出演。ドラマ『アオイホノオ』(14/テレビ東京)で連続ドラマに初出演、連続テレビ小説『マッサン』(15/NHK)で朝ドラ初出演。映画『あしたになれば。』(15)で映画初主演を果たし、『カツベン!』(19)で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。映画の近作は『明け方の若者たち』(21)で、今後『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』が5月20日公開予定、『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』が6月24日公開予定。

(C)NHK