「泣く女は嫌いだ」――主人公のこの台詞に第1話から多くの共感を集めているドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』(カンテレ・フジテレビ系毎週月曜22:00~)。広瀬アリス演じる「恋なんて人生のムダ!」と宣言している恋愛経験・男性経験ゼロの桜沢純と、SixTONESの松村北斗演じる、女性を癒やす天才で「来る者拒まず去る者追わず」の刹那恋愛主義男子・長峰柊磨の恋模様を中心に、西野七瀬、飯豊まりえ、岡山天音、藤木直人演じる恋に本気になれない6人の群像ラブストーリーを描いている。
マイナビニュースでは、今作でプライム帯ドラマ初主演を務める広瀬に、ドラマの見どころや9年ぶりの共演となった松村の印象、人生観についてインタビュー。「あまり仕事のことで“泣く女”ではないのですが」と言いながらも、ドラマ撮影と『R-1グランプリ』初司会での“涙”を明かしてくれた。
■松村北斗は「気付いたら陰キャラに(笑)」
――純を翻弄する刹那恋愛主義男子・柊磨を演じる松村北斗さんとは『黒の女教師』以来9年ぶりの共演となりますが、いかがでしたか。
9年前共演したときにも結構お話していた方だったので、気心の知れた方が相手ということで少し気持ちが楽になりました。私は知っている方とお芝居をするほうが安心感を持てます。
――9年前と比べて、松村さんが変わったなと感じる点はありますか。
気付いたら、陰キャラになってました(笑)。昔はもうちょっと明るい方だったんだけどな、と(笑)。最初は他の共演者の方と「喋れない」と言っていましたが、撮影が進むにつれどんどん打ち解けていました。
――広瀬さんは『探偵が早すぎる 春のトリック返し祭り』でも滝藤賢一さんとW主演を務めていて、同じクールで2本同時に主演作品が放送されます。撮影期間が重なっていなくても、番宣期間が重なるので今かなりお忙しいのでは。
これまでで一番忙しいかもしれません。滝藤さんも同じくこのクールでもう1本主演作品が放送されているので(BS東急松竹『家電侍』)、『探偵が早すぎる』については「売れっ子俳優同士のドラマだから当たりますね!」と冗談を言って自分たちで褒め合っています(笑)。
■人生は一度きりだから、冒険がしたい
――広瀬さん演じる純は、27歳にしてすでにローンを組んでマンションを買っているほどしっかりと人生を設計しているキャラクター。広瀬さんは人生の計画を綿密に立てるほうですか。
私は計画的に生きるのはまったく好きじゃなくて、行き当たりばったりがちょうど良いと思っています。もしトラブルに巻き込まれたらそのときに考えればいい、と。純の思い描く「無駄のない生活」にも共感できますが、先々のことまでは決めたくないタイプです。
――行き当たりばったりの人生にあこがれる理由は。
冒険がしたいんです。人生一度きりなので、型にはまった人生はつまらない。人に迷惑をかけながらでも、死ぬ直前に「あーなんか楽しかった!」と思えるような人生が理想です。そのとき自分が1人でも誰かと一緒でも、どんな状況であろうとも、自分の歩んできた人生を楽しいと言えればいいなって。
――「楽しい」という気持ちを大切にされているんですね。
そうですね。仕事を続けているのも楽しいからです。もし仕事以上に楽しいことを見つけたら、そっちにいってしまうかもしれません。
■当時の“地獄”も「ありがたい機会だった」と回顧
――今作の記者会見の場では、本気でやっていることを聞かれて「仕事」と仰っていました。本気で向き合うからこその“苦しさ”はありますか。
本気で向き合うことほど、難しさや苦しさにも多く直面します。小学校の頃やっていたバスケットボール以来やっと本気になれたのがこの仕事なのですが、バスケも楽しいと感じたのは一瞬しかありませんでした。
――子どもの頃のスポーツは、「練習のしんどさ」の思い出が色濃くなりがちですよね。
めちゃくちゃしんどかったです。当時はまだ先生や先輩も厳しくて怖くて。悔しい思いや苦しい思い、「あぁもうやだな」という思い出のほうが圧倒的に多いんですけど、だからこそ、ふとしたときに感じたやりがいが自分の糧になっていたんだと感じます。
――そのときに鍛えられた“アスリート魂”は今の仕事ぶりにも根付いてますか。
もともと負けず嫌いですし、根性だけはあったので、スポーツの経験は大きいと思います。
――純は過去の経験から「泣く女は嫌い」という思いを持っています。お仕事で涙した忘れられない経験はありますか。
芸能界で大御所と呼ばれる大先輩を前に24テイク重ねたことがあって。「もう1回、もう1回」と言われ続けて、次第に何がいいのか何がダメなのかも分からなくなってきて、足は震えてくるし、台詞もたった一言なのに言えなくなってしまって、そのときはさすがに泣きましたね。「辞めようかな」「もうドラマなんてやらない」って(笑)。
――そこから立ち上がることができたきっかけは。
撮影が終わったあと監督に、「アリス、“いい”んだよ」とさらっと肯定されて救われました。このお仕事は二十歳を超えると、何も言われなくなっていくんですよね。アメとムチじゃないですけど、ありがたい機会でした。その監督のことはもちろん大好きですし、追い込んでいただけて良かったなと今は感謝しかありません。当時は地獄だと泣いていましたが(笑)。