JR九州は6日、新D&S列車「ふたつ星 4047」の改造キックオフセレモニーを開催し、改造前の車両を公開した。「はやとの風」2両の中間に「いさぶろう・しんぺい」1両を組み合わせた黒・赤・黒の3両編成。改造後は白を基調とした外観デザインに変更される。

  • JR九州が「ふたつ星 4047」の改造キックオフセレモニーを開催。改造前の車両(「はやとの風」2両、「いさぶろう・しんぺい」1両)が公開された

「ふたつ星 4047(ふたつぼし よんまるよんなな)」は、西九州新幹線の開業に合わせ、2022年9月23日から運行開始する予定。「西九州の海めぐり列車」をコンセプトに、午前は武雄温泉駅から長崎本線経由で長崎駅へ、午後は長崎駅から大村線経由で武雄温泉駅へ運行され、日本一の干満差を誇る有明海、波静かで「琴の海」とも称される大村湾など、景色の異なる西九州の海を巡る。

車両は今年3月まで特急「はやとの風」で活躍した「キハ47-8092」「キハ147-1045」の2両と、特急「いさぶろう・しんぺい」の予備車両「キハ140-2125」を使用した3両編成に。改造後の車体は、有明海と大村湾の水面に映えるパールメタリックを基調に、金色のロゴとラインをあしらい、西九州の自然に映えるデザインにするとのこと。佐賀県・長崎県という九州の観光の「スター」が並び立つ様子をイメージしたロゴマークも掲出する。

1・3号車(「はやとの風」を改造)は普通車指定席とし、座席数は1号車38席、3号車48席、合計86席の予定。1号車に車いす対応座席の設置も予定している。中間の2号車(「いさぶろう・しんぺい」予備車両を改造)は、1両すべて共用スペース「ラウンジ 40」とし、ゆったりくつろげるソファーや窓側を向いたカウンター席などを設け、沿線の景色を楽しみながらゆっくり過ごせる贅沢な空間に。車内にリーチイン冷蔵庫や開放的な販売カウンターも設置し、沿線の特色を生かしたスイーツ等の軽食や飲料、「ふたつ星 4047」オリジナル商品の販売を検討しているとのこと。

  • 「ふたつ星 4047」は、3月まで「はやとの風」として活躍したキハ47形・キハ147形(黒色の車両)と、「いさぶろう・しんぺい」の予備車両だったキハ140形(赤色の車両)を連結した3両編成に。改造後は白を基調としたデザインに変更される

改造キックオフセレモニーは小倉総合車両センターで開催され、JR九州代表取締役社長執行役員に就任した古宮洋二氏、「ふたつ星 4047」のトータルデザインマネージメントを担当する水戸岡鋭治氏らが出席。古宮社長は挨拶の中で、車両を「はやとの風」など既存車両の改造としたことについて、「『はやとの風』はお客様のご利用が少なくなっていましたし、申し訳ないけど今回はこちら(『ふたつ星 4047』)に変わってもらおうということになりました」と明かした。D&S列車は一部を除き、これまで2両編成での運行が多かったが、「ふたつ星 4047」では「ラウンジ 40」を加えた3両編成に。「今回は本当にチャレンジです」とコメントした。

改造後の車両が白を基調としたデザインとなることに関して、「白は本当に素晴らしい色。この色をきちんと保つことで、海や空の青い景色に物凄く映える車両になるのではないか」と古宮社長。一方、水戸岡氏はデザインを手がけるにあたり、「JR九州は一番難しい色を使う。白や黒といった、車両の世界でタブー、非常識とされる色を使うことによって、お客様が『美しい』『楽しい』『かっこいい』と言ってくださる。『ふたつ星 4047』も、『いまの時代にこんなことできっこないよね』というものをなんとか作り上げ、沿線の方々が一度乗りたくなるような車両にして、自分たちの地域の素晴らしい景色を再認識する旅をしてほしいと思います」と話した。

車両イメージにおいて、シートの一部に唐草模様を用いるなど、西九州新幹線「かもめ」との共通点も。「『かもめ』の物語と少し被せていきたいとの思いがありました。今年デビューする列車などにおいて、統一した物語を作っていこうとしています」と水戸岡氏は語った。

  • これから改造を行う車両とのフォトセッション。JR九州代表取締役社長執行役員の古宮洋二氏、「ふたつ星 4047」のデザインを担当する水戸岡鋭治氏へのインタビューも行われた

  • 「ふたつ星 4047」の概要説明。「ラウンジ 40」をはじめ、「車窓・地域」や「おいしいもの」もポイントに挙げた

「ふたつ星 4047」は土日祝日を中心に、午前便・午後便の各ルート1日1本、各ルート3時間程度の運行を予定している。通常の特急列車と同じ価格帯・発売条件を予定しており、全車指定席で運行されるため、乗車券・指定席特急券の購入で乗車可能。武雄温泉~長崎間の運賃・料金は、午前便(長崎本線経由)が合計4,180円、午後便(大村線経由)が合計4,500円となる。具体的な時刻や車内サービス等の内容は決まり次第、改めて発表される。