日本人にとってはカレンダーで目にする機会も多い「六曜」。行事の日程を決めるときにこの六曜を気にする人は多いですが、そもそも「六曜ってどのような意味があるの?」「行事の日取りを決める際に六曜を気にするのはどうして?」といった疑問を抱いたことはありませんか?
この記事では六曜の基本的な意味や由来、六曜のカレンダー上の順番の決まり方などについて解説します。一粒万倍日などその他の吉日についてもまとめました。
六曜とは? 意味をわかりやすく解説
はじめに、六曜の意味を簡単に知っておきましょう。六曜がなぜ行事に影響するのか、なぜカレンダーに記載されているのかがわかります。
六曜は日々の吉凶を占う指標
六曜は「ろくよう/りくよう」と読みます。かつて暦には日にちの他に、その日の運勢や方角などを表す「暦注(れきちゅう)」があり、六曜は暦注の一つで、その日の吉兆を占う指標のようなものでした。六曜は六耀とも書きます。また、六輝(ろっき)ともいいます。
六曜の由来と歴史
六曜の由来と、その歴史を知ることで、六曜への理解を深めましょう。
六曜の由来
六曜は中国から伝わったとされていますが、くわしい起源については諸説あります。三国志に登場する軍師の諸葛孔明(しょかつこうめい)がつくったという説や、唐代の天文学者・数学者である李淳風(りじゅんぷう)が書いた「六壬承訣(りくじんしょうけつ)」がベースになっているという説が有名です。
現在知られている六曜は後述するように「先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口」ですが、「六壬承訣」に記載されている六曜は「大安・留連・速喜・赤口・将吉・空亡」なので、確かに似ているところがあるかもしれません。
そして中国から日本に伝わり、世間一般に広く知られるようになったのは江戸時代頃からといわれています。
六曜は歴史上、一度禁止されている!?
六曜は、実は一度禁止された歴史があります。江戸時代から世間一般に広く知られるようになった六曜は、当時の人々が運勢を占う際に活用したようです。ただ、旧暦と結びついている六曜は、新暦を普及させようとしていた明治政府にとって煙たい存在であったため、「六曜は迷信だ」などと喧伝し、六曜を禁止としました。
その後、六曜の統制が解除されましたが、現代でも六曜を使用することについては賛否両論あるようです。2015年には大分県佐伯市で市民に配布予定だった制作済みの冊子の配布を取りやめるという事態が発生。その理由は、科学的根拠がない六曜をカレンダーに記載していたためだとされています。
六曜の種類一覧とそれぞれの意味・読み方や、結婚式など適した行事
六曜は吉兆を占う指標ですが、名称を見ただけではどのような運気になるのかがわかりにくいでしょう。六曜のそれぞれの意味と、どのような行事に適しているかをご紹介します。
先勝(せんしょう)
先勝は「先んずれば即ち(すなわち)勝つ」という意味です。この日は午前中が吉・午後は凶なので、吉である午前中に何事も済ませておくといいとされています。特に訴訟事にいい日ですが、結婚式などのお祝い事もいい日とされています。「せんかち/さきがち/さきかち」とも読みます。
友引(ともびき/ゆういん)
友引は「凶事に友を引く」という意味で、慶事や凶事の両方で「友を引く」とされており、葬式、法事など弔事は避けた方がいいでしょう。お祝いごとは問題ないとされています。また、この日において朝夕は吉・昼は凶とされています。
先負(さきまけ/せんぶ)
先負は「先んずれば即ち(すなわち)負ける」という意味です。つまり、何事も急がず慌てずに、控えめにした方がよい日とされています。
公用や急な用事は避けた方がいいとされていますが、例えばお見舞いのような、運気より人の体調が最優先の行事などでどうしても先負に行う場合、凶の午前中ではなく、小吉とされる午後に行うといいかもしれません。
仏滅(ぶつめつ)
仏滅は「仏すらも滅する」大凶日です。六曜の中では最も縁起の悪い日とされ、何事も慎む日とされています。婚礼などのお祝いごとは避けるべき日、としてご存じの方も多いでしょう。一方で、別れたい人と別れるときや仏事には問題ない日とされています。
大安(たいあん/だいあん)
大安は「大いに安し」という意味です。時間帯による吉凶の区分がなく、一日中大吉とされています。何をするにも吉なので、慶事に最もふさわしい日といえるでしょう。
結婚式や引っ越し、住宅の購入日などに大安を選ぶ方は多いです。一方で、神社仏閣へのお参りなどは宗教によるもので六曜とは関連性がないため、大安にこだわる必要はないとされています。
赤口(しゃっこう/しゃっく/せきぐち)
赤口は「すべてが滅びる凶日」です。陰陽道で凶日とされる「赤舌日(しゃくぜつにち)」に由来し、朝夕凶で正午のみ吉とされています。特に火の元、刃物には要注意とされ、「万事に用いない悪日」とされています。
六曜のカレンダー上の順番には意味がない?
六曜はカレンダーにおいて、基本的に「先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口」の順に並んでいますが、その順番が崩れることもあります。六曜の順番にどのような意味があるのか解説しましょう。
六曜の順番を決める2つの法則
六曜の順番には、2つの法則があります。1つ目は、前述したように「先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口」を繰り返す基本的な法則です。2つ目は旧暦の毎月1日に、各月に割り振られた六曜を適用する法則です。そのため旧暦の1日になると、前日がどの六曜だとしても、六曜の順番がリセットされ、2日以降は1つ目の法則通りの順番になります。
前述の2つ目の法則によって、旧暦の毎月1日には下記のように六曜が割り振られています。
先勝: 1月・7月の1日
友引: 2月・8月の1日
先負: 3月・9月の1日
仏滅: 4月・10月の1日
大安: 5月・11月の1日
赤口: 6月・12月の1日
これにより、例えば大安の翌日は赤口であるはずなのに、旧暦の1日にあたるために再び大安になるというように、同じ六曜が連続してしまうことがあります。また、旧暦の1日が現代の暦の1日に該当するとは限らないため、時には月半ばで不規則な並びになることもあります。
六曜が迷信といわれているのは順番のせい!?
現代の新暦に対して旧暦の1日に順番がリセットされる法則を適用していることもあり、そのアンバランスさから、ただの迷信・俗信と捉えられることもあります。
縁起のいい順番は別にある
なお六曜を縁起のいい順番に並べると「大安→友引→先勝→先負→赤口→仏滅」となり、暦上の並びとは異なっていることがわかります。大安は何をするにもいい日とされているので、結婚式や引っ越しなどを土日の大安にしようとすると業者が予約でいっぱいになっていたり、通常より価格が上がっていたりします。
予算を抑えたい人は、予定を決める際に大安の次に運気のいい友引、その次の先勝、と日程の候補を幅広くしておくといいでしょう。
六曜の順番が暦上で飛ぶ理由や、縁起のいい順番は? 六曜の意味や法則を解説
六曜に信ぴょう性はある? 気にした方がいい?
行事を決める際に、六曜を意識する方は多いですが、実際のところ六曜の信ぴょう性はそれほど高くないともいわれています。なぜなら中国発祥とはいわれているものの具体的な起源は明確になっておらず、陰陽道に由来する赤口があるかと思えば「仏」の入った仏滅があるなどが挙げられます。
また、単なる暦注に吉凶を関連付けた占いなので明確な根拠がないことも、信ぴょう性に欠ける理由とされています。
ですが、それでも長い間、多くの人の関心事であり、日本の社会や生活において深く結びついてきた考え方であることは事実です。
六曜の意味とあわせて覚えたい、運勢を表すその他の暦用語
六曜は暦注の一つであり、暦には他にも吉日や凶日とされる日があります。六曜と組み合わせてより運気を高める、という考え方もあるので、他の暦用語も覚えておくといいでしょう。
一粒万倍日
一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)は、「一粒の籾が万倍にも実り、立派な稲穂になる」という意味を持つ吉日です。何事を始めるにもいい日とされ、特に商売や結婚など人生で大きな転機を迎えるイベントの際に意識する方も多いでしょう。
金運アップのご利益もあるとされ、財布を新調するといいともいわれています。一粒万倍日は月に4~6日ほどあるので、六曜と合わさって運気の高まる開運日も多くなっています。
一粒万倍日/天赦日/大安吉日/寅の日が重なる日は? 2023年最強開運日カレンダー
寅の日
寅(とら) は「千里行って千里戻ってくることができる」ということわざから、旅立ちの日に向いているとされています。また黄色の寅は金運の象徴であり、お金がまた戻ってくるという意味も含まれるため、金運アップも期待できる吉日です。
寅の日は干支の順番が元になっているため、12日ごとにめぐってきます。
天赦日
天赦日(てんしゃにち)は「天が万物の罪を赦す」という意味から、日本の暦の上でも最も運気の高い吉日とされています。すべての神様が天に昇る日で、この日に始めたことはすべてうまくいくともいわれるほどです。年に5~6回ほどめぐってくる吉日ですが、一粒万倍日と重なると最強の開運日とされます。
神吉日
神吉日(かみよしにち/かみよしび)は、神社のお参りやお墓参りに適した日とされています。六曜のように暦注の大半は中国から伝わったものですが、神吉日は珍しく日本の暦で生まれた吉日です。
日本の暦には2種類の干支を組み合わせてあてはめる風習がありますが、神吉日はその日の干支によって決められています。60種類ある組み合わせのうち33種類が神吉日になるため、1年の中でも比較的多い吉日といえるでしょう。
天一天上
天一天上(てんいちてんじょう)は方角の神様である天一神(なかがみ)が天に昇っている期間をいいます。癸巳(みずのとみ)の日から戊申(つちのえさる)の日までの16日間のことを指し、この期間中は天一神のたたりがないため、どの方角を向いて何をやってもいいといわれています。
相場師の中にはこの期間に取引を行う人もいるようです。逆にこの16日以外の日は天一神が地上にいるため、その方角に向かって事を成してはならないともいわれています。
不成就日
不成就日(ふじょうじゅび)は何をやってもうまくいかないとされる日です。この日に何かを始めたり、人生の転機になったりするような行事は避けた方がいいとされています。
当然他の吉日と重なることもあるので、行事を決める際は注意しましょう。不成就日だからこそ神社にお参りしたり、お守りを購入したりして気持ちを切り替えるのもいいようです。
三隣亡
三隣亡(さんりんぼう)は建築業界に伝わる凶日です。「三軒隣まで滅ぼすほどの大火を起こす」とされる日で、大安であっても三隣亡がかぶると引っ越しを避けるという風習があります。
六曜(六輝)の意味を知って、結婚式など行事の日程決めに役立てよう
本記事では六曜の意味や由来についてまとめました。前述のように、六曜は信ぴょう性がそれほど高いわけではないので、気にするかどうかは人それぞれです。
しかし六曜の意味を知っておくと、より行事が楽しめるなど、意識が変わることもあるでしょう。あまり気にしすぎることはありませんが、ケースバイケースで上手に使いこなしていきましょう。