横浜市営地下鉄ブルーライン(あざみ野~湘南台間)の新型車両4000形。現行車両で最も古い形式である3000A形に代わる車両として、5月2日にデビューする。全8編成を順次導入する計画で、2022年度に5編成、2023年度に3編成の運行開始を予定している。

  • 横浜市営地下鉄ブルーラインの新型車両4000形。5月2日から営業運転を開始する

新型車両4000形は、川崎車両により製造されたオールステンレス製の車両。第1編成は昨年12月に納車された後、試運転等を行い、3月30日に行われたプレス撮影会で報道関係者らにお披露目された。プレス撮影会では既存の3000V形と並んで展示された。

4000形の第1編成は、湘南台方先頭車が「4621」(Tc1 / 30.5トン)、中間車が「4622」(M2 / 34.0トン)、「4623」(M3 / 32.5トン)、「4624」(M4 / 34.0トン)、「4625」(M5 / 33.0トン)、あざみ野方先頭車が「4626」(Tc6 / 30.0トン)の6両編成(4M2T)。4000形の定員は先頭車121人(座席39人、立席82人)、中間車131人(座席45人、立席86人)。6両合計で766人(座席258人、立席508人)。設計最高速度は90km/h、営業最高速度は80km/hとのこと。加速度は3.2km/h/s、減速度は(常用)3.5km/h/s・(非常)4.5km/h/sとされている。

  • 3月30日のプレス撮影会では、新型車両4000形と既存の3000V形が並んで展示された。4000形では車体前面の案内表示装置にデビュー記念の特別な表示も用意している

エクステリアに関して、横浜市の各種調査から「横浜のイメージ」や「横浜らしさ」を抽出し、「海辺の先進的な都会感」をコンセプトに位置づけ、「凛とした佇まいとスピード感を感じさせるデザイン」にしたという。先頭車は従来のブルーラインの面影を残しつつ、全体的に平面や直線のエッジを際立たせた構成とし、「様々な方向を向いた面が、見る角度とともに先頭形状の表情を変化させ、躍動感を感じさせるデザイン」としている。車体前面・側面の案内表示装置はフルカラーLEDに。種別・行先の表示に加え、4000形のデビューを記念した特別な表示も用意された。

車内においては、床面やシートをブルー、壁面をグレーで配色。着座位置のわかりやすいバケットシートはそのままに、座席幅を従来の470mmから480mmに拡大し、座面の材質も見直して座り心地を向上させた。シート端部の袖仕切りを大型化したほか、車両貫通扉をガラス製とし、衝突防止対策として横浜をイメージしたパターンを施している。「ゆずりあいシート」部は床面を赤、壁面を白で配色し、認識しやすいカラーリングとした。

ドア付近の床面は注意喚起色である黄色で配色。ドア開閉予告灯や車いす固定具といった従来のバリアフリー機能に加え、車いす・ベビーカーエリアに2段手すりを設け、床面表示も行った。車内案内表示装置はドア上に2画面(運行用・広告用)設置し、17.5型のLCD表示方式としている。セキュリティ向上を目的とした車内防犯カメラは1両あたり3台設置。より安心して利用できるように、車内抗菌も実施したとのこと。

  • 4000形の車内はオールロングシート。貫通扉のガラス部分に、横浜をイメージしたパターンが施されている

  • 車内案内表示装置はドア上に2画面(運行用・広告用)。車内防犯カメラも設置されている。運転台も公開された

その他、4000形の主要諸元について、配布された資料をもとにまとめた。

  • 車両寸法(先頭車) : 18,540(L)×幅2,760(W)×高さ3,535(H)mm(クーラー上面)
  • 車両寸法(中間車) : 18,000(L)×幅2,760(W)×高さ3,535(H)mm(クーラー上面)
  • 台車中心間距離 : 12,000mm
  • 台車 : ボルスタレス空気バネ台車(固定軸距 : 2,100mm / 車輪直径 : 860mm)
  • 基礎ブレーキ装置 : 全車ディスクブレーキ方式(M車 : 1軸1ディスク / T車 : 1軸2ディスク)
  • 主電動機 : かご形三相誘導電動機(4極) 出力140kW(電動車4台/両)
  • 制御装置 : 応荷重及び回生制動付VVVFインバータ制御装置(純電気ブレーキ機能付)
  • ブレーキ装置 : 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ 保安ブレーキ装置付
  • 電動空気圧縮機 : 2段圧縮単動往復ピストン形(3相交流式) 吐出空気量2,000l/min
  • 補助電源装置 : 静止形インバータ装置 定格出力135kVA(自動受給電装置付)
  • 蓄電池 : 焼結式アルカリ蓄電池 DC100V・DC24V
  • 連結装置 : 密着連結器(編成車端寄)、半永久連結器(固定連結寄)
  • 戸閉装置 : 電磁空気式単動直結ベルト駆動式、再開閉装置、戸閉保安装置及び戸挟み防止機構付
  • 非常通報装置 : 客室スイッチインターホン方式 確認表示灯付 4台/両
  • 放送装置 : 自動音量調節機能付自動放送、車外放送付
  • 列車無線装置 : 誘導無線方式
  • 自動列車制御装置(ATC装置) : 車内信号方式3重系一体形ATC装置(受信回路方式 : 高周波連続誘導式 / 照査回賂方式 : マイコンによるデジタル周波数演算方式)
  • 自動列車運転装置(ATO装置) : 地点検知車上演算方式
  • 列車制御管理装置(YTM装置) : 制御伝送、モニタ伝送、車両試験機能

新型車両4000形は、5月1日の「4000形試乗と市営交通施設見学ツアー」を経て、5月2日に営業運転を開始する。なお、4000形の第1編成では、車体前面・側面に「4000 DEBUT」の装飾を行っているが、この装飾はデビュー後しばらくして外す予定とのことだった。

  • 横浜市営地下鉄ブルーライン新型車両4000形の車内・外観