天然パーマにコンプレックスを抱く大学生・久能整が、常識にも疑う視点を持ち、普通は見逃してしまうわずかな違和感にも気づき、結果的に難事件を解決。同時に人の心の闇も晴らしていく――俳優の菅田将暉が主演するフジテレビ系ドラマ『ミステリと言う勿れ』(毎週月曜21:00~)が28日、ついに最終回を迎える。

YouTubeやTikTok、Netflixなどの動画配信サービスなどの台頭で、メディアが多様化したこともあり、テレビの視聴率不振が取り沙汰される昨今だが、「なんだかんだと言われてもテレビドラマは観られている。テレビの連続ドラマが好きだし、この場でも戦わなければならないと思っている」と想いを吐露する菅田。

「テレビの強さを信じている」と語る彼が、テレビの連ドラが好きな理由、そして背負っている責任感とは――。

  • 『ミステリと言う勿れ』主演の菅田将暉 撮影:蔦野裕

    『ミステリと言う勿れ』に主演する菅田将暉 撮影:蔦野裕

■様々な議論が勃発している肌感

――視聴率や見逃し配信の再生数が好調で。SNSでも大きな話題を呼んでいますが、この反響についてどうお考えでしょうか。

本当に色々な感想が寄せられていて、それももちろん賛否両論なのですが、これまでやらせてもらったドラマと大きく違うと感じた点は、話題性といいますか。エンタテインメントとして感想が“右へならえ”ではないことですね。「感動した」とか「泣けた」とか「笑えた」だけじゃない。このドラマをきっかけに、いろいろな方がいろんなことを考えてしゃべったり、「ここは違うと思う」「私はこう思う」と、多くの議論がさまざまな場所で勃発している。そんな肌感がすごくあります。

――やはりこのドラマをやって良かったと。

良かったと思いますし、同時にやっぱり改善点も感じましたね。現代にテレビで連続ドラマを作る上ですごく大事な作品になったと感じています。というのは、地上波の連ドラというものが、ピンチを迎えていると思うからです。僕らより歳の若い一人暮らしをしている人って、家にテレビを置いてないという人がすごく多いんですね。これに「どうしたものか」と危惧を抱いていたのですが、今回の作品はしっかり観られている。反響がある。

――今や、テレビドラマもテレビだけで観る時代じゃなくなりましたから。

そうなんです。スマートフォンで観ていたり、パソコンで観ていたり。見逃し配信で観る方も多く、視聴率というだけじゃなく僕たちは数字を聞けるじゃないですか。つまり観る媒体がテレビじゃなくなっている人もいるけど、いろいろな形で気にしてくれて、しかも議論をしてくれたことが僕にとってはとても大きな出来事だなと思いました。

――これほど大きな反響が得られたのは、なぜだと分析されますか?

それはもう原作の力。田村由美先生の思考の力じゃないですか。整くんの意見に同調しない人たちの間で小さなケンカが勃発していたり(笑)。僕自身も、普段あまり会っていない叔父であるとか、友達から、それぞれ自分事として、「こう思った」「ああ思った」と身の上話をしてくれるので、それだけでも「ああ良かった」と思いますね。そしてそれは、原作コミックがこれだけヒットした理由と同じじゃないかと考えます。

――皆がそれぞれの意見を言ってくれたことで安心したのですね。

はい。良くも悪くも反響があるということは、僕らなりに、原作にあるメッセージを丁寧に届けられた証左になるのかなと。