NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)で、歌手の森山良子がハリウッドのキャスティングディレクター、アニー・ヒラカワ役を演じていることが、25日の放送で明らかになった。森山が本作出演についてコメントを寄せた。
森山は、出演が決定したときの心境を「ひと言では言い表せないような気持ちです。ストーリーを伺った時に、なぜ私のところへ依頼をくださったのかしらと、本当に不思議でたまりませんでした」と振り返る。
「というのも、私の父(森山久)がジャズミュージシャンでトランペッターだったからです。そして、ルイ・アームストロングの大ファン!父は日系2世で日本語より英語の方がずっと上手だったものですから、ルイ・アームストロングが日本に来るときに羽田まで自分の車を運転して迎えにいったんです。ただ、大好きなだけなのに(笑)。サッチモ(ルイ・アームストロング)もすごく心を開いてくれて、父の車で宿泊するホテルに入り、いろんなおしゃべりをして…というエピソードを、私は小さいときからたくさん父から聞いてきました。サッチモが生きていた当時は差別がひどかったと思いますが、そんな中でも人に笑顔しか見せない人だったそうです」と、ルイ・アームストロングと父の関係を説明。
「父はサッチモのことが大好きだったので、今回のことも天国で喜んでいると思います。そんな繋がりがあるルイ・アームストロングは、私にとっても子供の頃からとっても特別な人でした。出演が決まった時は、私もこの作品にえも言われぬご縁を感じて、なんとも言えない本当に胸が詰まるような思いになりました」と心境を明かした。
アニー役を演じるうえで「あまり感情過多になりすぎないように」ということだけ気を付けたという。また、「英語のセリフが多いですが、幼少期の経験が支えになっています」とのこと。
「小学生くらいの時に、アメリカンポップスというかオールディーズが流行っていたんですが、音楽に合わせて歌っていると父に呼ばれて、8小節を1時間くらいかけて直されるんです(笑)。英語の発音も直されて、また電蓄(電気蓄音機)のあるところへ戻って歌い始めると、また呼ばれて直されて・・。もう、鼻歌も歌えない状況でした(笑)。小さい時から『私は歌い手になる』と言っていたので、父も母も私がシンガーになるだろうということを察して直していたんでしょうね。そのころの父のダメ出しが、今こうして歌を歌うのに役立っていますが、アニーの英語のセリフを話すうえで『言葉』としても役立っているのはすごくうれしいです」
そして、「この壮大な100年の物語は、それぞれの登場人物の細かい心情が丁寧に描かれていて、全部のセリフが人生や生き様、いろんなことにリンクしていくような感じです。もちろん計算されていると思うんですが、計算されているとは気づかないかもしれないような網目の中をくぐっていくセリフのやりとりというのが、本当にすばらしい」と物語を称賛し、「ただ立ち尽くして、唖然とするシーンがあったんですが、それだけで『おおお~!』と、感動して本当に涙が溢れてきたこともありました。私、家でも『エモーショナル良子』と呼ばれていて、なんでも『きゅっ』ときちゃう方なんです」とコメント。
「ひなた役の川栄さんは、とても頑張り屋さんです。日本語も英語も膨大な量をあの体の中に全部インプットしてこの役に臨まれています。一方、私は3行ぐらい覚えるのに『うわああ~!覚えられない!覚えられない!』と言っています(笑)。それくらいすさまじい努力をなさっていると思いますね」とひなた役の川栄李奈を称えた。
そして、視聴者に向けて、「100年に渡る壮大な家族のドラマです。人それぞれのご家庭があると思いますが、いろいろな人、いろいろな出会い、ひとつひとつが全て大事なシーンであるし、すべてが大事な出会いであるし、生きているということは本当に毎日が大事なんだなと、本当にそういうふうに思う作品です。どうぞ最後までご覧ください!」とメッセージを送った。
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