国税庁が発表した「令和2年分民間給与実態統計調査」によると給与所得者の平均給与は433万円となっています。一般的に高収入と言われる年収は、1,000万円程度と言われていますが、どのくらいいて、どんな業種に就いているのでしょうか? リアルなデータを見てみると、意外な結果も見えてきました。同調査結果を元に、具体的にどんな企業、職種が年収1,000円超えしているのか見てみましょう。

年収1,000万円超えの人の割合と収入の高い業種は?

令和2年分民間給与実態統計調査によると、年収が1,000万円超えの人は240万6,121人で、全体の4.5%となっています。

また、業種別の平均給与のトップ3は、

1位 電気・ガス・熱供給・水道業 715万円
2位 金融業、保険業 630万円
3位 情報通信業 611万円

となっています。

この1位〜3位のデータを見て、ある共通点が浮かんできませんか?

それは、いずれもサブスクリプションサービスであることです。

電気やガス、水道は生きるために必ず使うもので、毎月使用料金を支払っています。

金融業である銀行や証券会社は、金融商品の金利や手数料が定期的な売上になりますし、保険業は、顧客が毎月保険料を納めることで収益になります。お客様から預かった多額の資産で運用するため、大きな利益を出せることもあります。

情報通信業は、スマホ代やネット回線が、私たちがよく利用しているサービスの代表です。テレビ業界も収入が高いと言われています。テレビコマーシャルによる、スポンサー収入が定期的に入るためです。これらの業種で働く方たちが、安定した収入を得られることは、想像しやすいでしょう。

しかし、この上位3業種の仕事に就いている人達の多くが、年収1,000万円以超えしているかというとそうでもないことも分かっています。

各業種の中央値で見る年収1,000万円超えの業種は?

先ほど挙げた1から3位までのランキングは、業種別の平均給与です。今度は、各業種の給与階級別、つまり中央値で見てみましょう。年収1,000万円超えの人が多い業種のベスト3は、次のようになります。

1位 製造業 53万5,572人 1.02%
2位 学術研究、専門・技術サービス、教育、学習支援業 19万2,761人 0.37%
3位 金融保険業 19万2,217人 0.37%

となっています。(%は、給与所得者数給与所得者52,446,000人に対しての数値)

まず、年収1,000万円超えの人が、製造業に圧倒的に多い理由は、製造業に勤める人の割合が1,016万1,738人と全業種の約2割弱と1番多いことが考えられます。

製造業と言えば、トヨタ自動車を思い浮かべる方も多いと思います。2021年3月期有価証券報告書によると、平均年収は約858万円となっています。また、同じ製造業で年収が高い企業と言えば、FA(ファクトリー・オートメーション)センサーを扱うキーエンスが有名です。同社の2021年3月期の有価証券報告書を見ると、平均年間給与は約1,752万円となっています。

2位の学術研究、専門・技術サービス教育、学習支援業は、具体的にどのような職業でしょうか?

専門サービス業とは、司法書士、公認会計士、社会保険労務士などいわゆる士業と言われる職種や、経営コンサルタント業なども含まれます。

士業は、資格試験が難関であり、貴重なスキルであること、原価のかからないビジネスモデルのため、収入が高くなる傾向にあります。

経営コンサルタントは、コンサルのフィーで収益を得るビジネスモデルで、この業種も原価がかからない業種です。

3位の金融保険業は、一番イメージしやすいと思います。大手証券会社、野村證券の2021年3月期の有価証券報告書によると年間平均給与は約1,415万円となっています。営業マン、証券会社のトレーダー、投資信託会社や生命保険で働くファンドマネージャーは業績連動型収入であることも多いでしょう。

まとめ

中央値で見ると、どのような業種の人たちが年収1,000万円超えの人が多いかが見えてきました。働く人が多い製造業や、高いスキルが必要かつ、設備投資など経費のかからない業種、業績連動型の職種は高収入の人が多いと言えるでしょう。